第314話 PCO公式動画2
今回は動画編です。
「こんにちは、ナビゲーターのアイです! それから」
「ナビゲータのナミダ」
「始まりました。PCO公式動画。今回も観てくれてありがとう」
「早速本題に入るよ」
PCO公式動画が公開された。
プレミアムで公開されると、同時接続数がかなり増える。
一瞬で一万人を超えると、みんなが期待していた。
「それじゃあ早速本題に入るよ。フシギ、お願い」
「ああ」
裏方のフシギに声を掛けたアイ。
アイとナミダの間に、画面が差し込まれる。
次回開催予定のイベント、mist cityの補足だ。
「気が付いている人も多いと思うけど、改めて発表があります」
「発表?」
「そうだよ、ナミダ。次回開催のmist city。なんとなんと、コラボです!」
パァーン! とクラッカーの効果音。画面一杯にミラーボールが点灯する。
クルクル回って派手さを演出すると、ようやくアイの口から真実が語られる。
「コラボ?」
「うん、コラボだよ。コラボ先はなんと、あの大人気ホラーアクションゲーム、サイレントダーク。今年の夏、いよいよ新作が発売されることを記念して、コラボすることになったんだよ」
アイはナミダの相手のを受けて、楽し気に説明する。
ようやく本当のことを、公式の口から聞けた。
今回のイベント、mist cityはやはりコラボだ。しかもサイレントダーク公式との正式なコラボだった。
「サイレントダーク?」
「あれ? ナミダは遊んだことない?」
「うん。サイレントダークってどんなゲーム?」
ナミダはコラボ元の提供を受け、淡々と質問をした。
サイレントダーク。それは所謂ホラーアクションゲーム。様々なミッションをこなしながら、霧と闇に覆われた廃墟の街を舞台に、主人公が変わり果てた町の真実と潜む陰謀を暴くために駆け回るステルス要素もある作品だ。
シリーズは現在ナンバリングタイトルで3まで出ている。
累計売上は二百万本を記録している大ヒットゲームタイトルでもある。
そんな凄まじいゲームとコラボ出来ただけ、PCOの人気が窺える。本当に、趣味の範囲を超えていた。
「サイレントダークは現在1~3まで発売されていて、累計二百万本を超える大ヒットゲームだよ。霧と闇に覆われた街を舞台に、主人公が最終的にエージェントして、潜む陰謀と真実を暴く物語。映像表現や音楽を巧みに利用して恐怖を演出していて、少しシビアな操作性がリアリティを追及している。なによりも登場する巨大な化物、鬼械とのステルスアクション。それがたまらなく癖になるゲームなんだ」
「へぇー」
「ナミダはいつも淡白だね」
アイの相方は多分間違えていた。
本当はユカイやイサマシの方が聞き役には丁度よかったかもしれない。
などと今更言っても無意味だと悟りつつ、ナミダは頃合いを見て首を捻った。
「あれ? 鬼械って確か、狭間に登場していたよね?」
「正解! きっとプレイヤーの中には気が付いている人もいたと思うけど、実はアレが鬼械です。コラボを伏せた状態で、先行登場させていただく許可が取れました。ありがとうございます!」
アイはひたすら盛り上げようと努力している。
その向かい側では、フシギが死にそうな顔をしていた。
「フシギが一人で作ってくれました。ありがとう、フシギ!」
「おい、憐れむな。恥ずかしいだろ!」
褒めて貰いたい訳ではない。けれどアイの言葉にはカリスマ性がある。
自然と誘導し、フシギを褒めるように促した。
それがくすぐったいらしく、顔が真っ赤になっている。
「フシギ、可愛い」
「可愛くない!」
否定する所がまた可愛い。ここは絶対にカットする。
そう決めたフシギだったが、如何にもそれは出来ない。
何せ編集が今回は外部だからだ。
「それで、もう登場しているのって?」
「サイレントダーク1を筆頭に、各地の限定ダンジョンに登場しているよ。戦ったことがあるプレイヤーもいるんじゃないかな?」
少なくとも、アイ達は知っている。
何処に限定ダンジョンを仕掛け、どれだけのプレイヤーが挑んだのか、総数を記録している。その結果、約二十分の一のプレイヤーが挑戦し、そのほとんどが破れた。圧倒的な性能を誇る脅威、それこそが鬼械で、サイレントダーク本編でも逃げることしか基本出来ない。設定をバッチリ引き継いでいるのだが、それではイベントにならない。
「もしかして、mist cityにも登場するの?」
「もちろんだよ。mist cityにはなんと、ナンバリング2&3からも参戦。おまけに3からの新要素、実体を持つことにより、攻撃が通るようになりました。もちろん、イベント限定の要素です」
細かい部分でイベント仕様に変更していた。
正直限定ダンジョンに登場した鬼械は販促用だ。
強く設定しすぎていたが、イベントでは強さはそれ以上に引き上げつつも、プレイヤーにも対抗手段を与えている。これで対等になる筈だ。
「ちなみにルールは?」
「細かいルールはこの後HPに詳細が公開されるけど、プレイヤーを倒せば一ポイント。鬼械を倒せば十ポイント」
「ん? それって鬼械を倒していれば、勝てるの?」
「そんなことは無いよ。鬼械はとっても強いから、戦わないのがオススメかな」
「サイレントダークの仕様と同じだ」
ルールの詳細はこの後発表される。
とは言えやることはシンプルで、プレイヤーを倒せば一ポイントが手に入る。
強敵である鬼械を倒せばその十倍、十ポイントが手に入るが、あまりのも酷だ。
そのためコラボではあるが、コラボ先からも言われていた通り、本家サイレントダークに倣って無視するのが適切だろう。
「それと一つだけ注意が必要です」
「注意?」
「うん。三日間開催されるイベントで、実際に参加できるのは一日だけ。その一日で」
アイはここで注意を促し掛けた。
それは三日間開催予定のイベントだが、様々な要因から各プレイヤーは、一回だけ、たった一日しか参加が出来ない。
あまり無いことだが、一発本番と言うのも悪くはない……のだろうか?
「どうして、一日だけ?」
「サーバーの問題だ」
「ああ」
サーバーの問題もある。一度にたくさんのプレイヤーを、特設のマップに飛ばすのは不可も大きい。
ましてや最大の三日間参加出来れば、それだけ時間の余裕があるプレイヤーへ有利に働いてしまう。
それは公平性が損なわれてしまうので、流石に無しにした。
「ってことで、イベント開催日まで残り僅か。たくさんの参加、待ってます」
「待ってる」
「たくさん参加されても困るがな」
アイとナミダが手を振っていた。
カメラ向かい、これからプレミアム公開される動画を楽しみにして貰う。
どんな反応が来るか楽しみにしつつ、初めてのコラボに狼狽えた。
「フシギ、せっかくのコラボなんだよ? そんなこと言ったらダメ」
「そう、ダメ」
「……冗談だ」
まるで冗談に聞こえなかったが、コラボ先の企業は、フシギの性格が分かっていて案件を出した。
おかげでコラボが成立したのだが、果たしてサーバーが耐えられるだろうか?
用意した鬼械や背景のオブジェクトが崩れないか心配になりつつも、後はイベント本番に委ねるしかなかった。
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