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第253話 まだ本気じゃないの!?

ドラゴンですよ、そう簡単に勝たせませんよ!

「先手必勝だぁー!」


 フェルノは突っ走る。

 自慢の大剣、〈戦車の大剣槍〉を肩に掛ける。

 地面を蹴り上げ、目の前の火車龍に叩き付けようとした。


「ほんどりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 パシュン!


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「「「フェスタ!?」」さん!?」


 火車龍は尻尾を使ってフェスタを軽くあしらう。

 ペチンと蚊を叩くみたいにフェスタは吹き飛ばされる。

 ふわりと宙を浮き上がると、フェスタは森の彼方に飛ばされる。


「ど、ど、ど、どうしましょう、グリムさん!?」

「どうするもなにも、助けに行くしか……はっ。全員退避!」


 グリムはフェスタを助けに向かうことにした。

 Dも連れて急いで駆け付けようとする。

 けれどそんな暇は無かった。背後から殺気と熱を感じ取ると、どんぶりが宙に浮いている。

 内側をグリムとDに向けると、熱線を放とうとしていたので急いで退避を宣告する。


「キャッ!」

「よっと……危なかったね」


 グリム達は何とか熱線を躱した。

 けれど森の中に潜んでいた筈が、まんまと誘き寄せられてしまう。

 火車龍の前に引き摺り出され、ピンチを迎えていた。


「あ、あのグリムさん、ありがとうございました」

「それは後回しにしようか、D」

「は、はい。あの、どうすれば……」


 今日のDはそれしか言っていない。

 とは言えこの距離感は非常にマズい。

 火車龍に睨みを利かされると、大きな赤い瞳がグリム達を射る。


「がーはっはっはっ! なかなかやりなさんな」

「リュウマ、呑気に言ってる場合じゃないよ」

「そうやねや。それより早くもうて来い!」


とりあえずリュウマが前線に居ることは救いだ。

 素早く連携を取り合うと、各々が武器を手にした。

 前後はあるものの、内側からグリムが外側にリュウマが待機し前衛を張る。

 Dは後衛にいち早く下がると、火車龍に動じない姿勢を見せつけた。


「さぁ、どう動いて来るかな?」


 グリムは舌なめずりをしてみせる。

 すると火車龍は体勢を一つも変えない。

 ましてや火を吹く訳でもなく、尻尾を叩き付けることもしない。


「ドラァァァァァ!」


 ただ発狂をすると、声で委縮させようと狙う。

 けれどグリムには一切聞かない。

 精神干渉は、グリムの前では無駄だからだ。


「伊達に、【精神相殺】と【マイナス固定】は持っていなんだよね」


 グリムはこれ以上(マイナス)になることは無かった。

 故に常に平然とした態度でいられる。

 それが面白くなかったのか、火車龍は何処からともなくどんぶりを出現させる。


 最初からまともに戦う気はない。

 もはや敵とも認識していない。

 グリムはそう感じると、Dが叫んだ。


「グリムさん、囲まれています!」

「うん、気が付いているよ」


 叫んだDの声が耳に届く。

 グリムは気が付いていた。

 周囲をどんぶりに囲まれており、一つ一つが熱線を放つ準備を整えていることに。


「ちょっとヤバいかな」


 このまま動かなければ熱線の餌食だ。

 それとも〈死神の大鎌〉を信じて全部受け止める。

 グリムは様々な思考を一瞬で処理すると、熱線が放たれた瞬間、後ろに飛んだ。

 無理に攻めるのは止め、一旦回避だ。


 パシュン!!! ジュワァァァァァ!!!


 熱線が幾つも重なる。

 互いの交差し合うと、地面を抉り熱で溶かした。

 もはや炎では温いのだろうか、本気で殺しに来ている。


「危なかった」


 グリムは冷汗を掻いた。

 万に一つ、ほんの一秒未満の時間でもズレていれば死んでいた。

 そう思わせてくれるには充分過ぎる程で、グリムは些か恐怖に絡め取られそうになる。


「大丈夫ですか、グリムさん!」

「うん、一応はね」

「よ、よかったです……」


 D本気で心配していた。

 目元から涙が溢れていて、顔中を滴り落ちる。

 健気なDを安心させるように、グリムは強がってみせると、涙をDは拭いた。


「どうしましょうか、グリムさん?」

「そうだね。とりあえず何とか近付きたいけど」


 まずは如何あれ距離を詰めたい。

 全員近距離武器なせいで、Dの後方支援も意味が無い。

 火車龍の周りをどんぶりが回転すると、グリム達に絶望感を募らせた。


(厳しいんだよね)


 確かにこのままでは近付けない。

 本体に近付く前に、熱線に撃たれる。

 あまりにも厳しい戦況に、リュウマは悪態を付いた。


「クソッ、近付けん!」

「落ち着いてリュウマ。確かに近付けないけど、倒せない相手じゃない筈だよ」

「そうやねや。儂としたことが、忘れとった。がーはっはっはっ!」


 グリムはリュウマの機嫌を取る。

 どんなモンスターであれ、倒せないことは無い。

 レベル差はあるものの、結局は弱点は共通している。

 そこを潰せばいいのだが、なかなか近付けない以上、倒せる気がしない。


「それにしても(どうして飛ばないんだろう?)」


 グリムはある種の違和感を覚える。

 何せ目の前に居るのは龍だ。

 ドラゴンなら飛べる筈で、さっきだってUFOどんぶり状態で飛んでいた。


 本当なら三次元的に戦えるはず。

 そうなればグリム達の勝利は絶望的。

 勝ち目はほとんどなくなり、敗北が濃厚になる。


「それなのに、どうして?」

「グリムさん、どうしましたか?」


 Dは心配してグリムに訊ねる。

 眉間に皺を寄せ、顔色が悪かったせいだろう。

 不安にさせてしまったと反省すると、優しく笑みを浮かべる。


「なんでもないよ。でもマズいのは確かかな。なにか打開策を考えないとね」


 もちろん、打開策なんて早々見つかる筈もない。

 頭を使って考えることにすると、グリムは大鎌を肩に掛ける。

 とりあえず火車龍から目を離してはいけない。睨みを利かせ、強さを演出すると、火車龍も応えてくれた。


「ドラァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 今にも口から火を吐きそう。

 迎撃されても面倒だ。

 グリム達は団子になると、火車龍に再び攻撃を繰り出した。

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