表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

248/254

第248話 龍の罠

龍は賢い。このゲームだと大抵そう。

 フェスタとリュウマは先行した。

 森の中へと突入すると、しばらく走っていた。

 しかし立ち止まって腹の底から声を出す。


「おーい、何処―。いたら出て来てよー」

「そうやぞ。いたら返事くらいしぃや!」


 フェスタとリュウマは叫んだ。

 けれど一切返事は返って来ない。

 そのせいか、二人して立ち尽くしてしまった。


「出て来ないねー」

「そうやねや」


 フェスタとリュウマは放心する。

 先程聞いた鳴き声は一体なんだったのか?

 気のせいだったとは言わせない。それだけは誰が何と言おうと許さなかった。


「叫んで出てきてくれたら、美味しすぎないかな?」

「そうですよね。ですがグリムさん、どうして吠えたのでしょうか?」


 そこにやって来たグリムとD。

 正直な話、マジレスしてしまった。

 一体何故龍が吠えたのか。明らかにバカな真似だと悟る。


「そんなの決まっているよ。私達は、誘き寄せられ(・・・・・・)たんだ(・・・)

「誘き寄せられたんですか!?」


 グリムは確信に突いた言葉を吐く。

 あくまでもグリム達は龍の手のひらの上。

 簡単に言えば、“誘き寄せられた”だけであり、その術中にハマっていた。


「どうしてそう思うがよ?」

「単純な話だよ。私達はここまで誘き寄せられたんだ。そうでもしないと、わざわざ存在を示すような証拠を残さないよね?」


 リュウマに問われてしまった。

 けれどグリムは臆したりしない。

 ちゃんと返す札を持っており、グリムは淡々と自分自身の憶測を認めつつも、リュウマ達に問う。


「まあ、あくまでも私の意見。客観的に捉えただけだよ。それよりみんなはどう思う? ……あれ?」


 グリムは全員の顔をしっかりと見た。

 目と目を合わせると、何も思い付いていないらしい。

 勝ち負けの話じゃないが、グリムに優勢ではある。


「どうしたの? なにか言って欲しいな」

「いやいや、考えてみればそうだよねー」

「グリムさんが言うなら間違いありませんね」

「うん、それはあまりにも押し付けが過ぎるよ」


 グリムの言葉にフェスタとDは賛同する。

 一瞬にして天秤が傾いた。

 分水嶺は常にグリムの言葉に導かれると、Dに至っては心酔のし過ぎ。

 グリムは困り果て、頬を掻いた。


「リュウマは? ……リュウマ?」


 グリムはリュウマに視線を配る。

 すると表情に陰を落としている。

 ゆっくりとグリムに近付くと、目の前まで来て眼圧をぶつけた。


「グリム、確かにおまんの意見は正しいかもしれん」

「ありがとう」

「けんど、それだとつまらのうないか?」


 グリムは褒められると同時に貶される。

 もちろんリュウマとしてみれば、この不安さえ楽しみたいのだろう。

 あらゆる困難を渡る船の様に乗り越える。

 そんなイメージが伝わった。


「つまらないは別にしても、油断は禁物だよ」

「そうですよ、リュウマさん。今だってどんな罠が待ち受けているか分からな……はっ!」


 グリムの意見はある程度正しい。どんな状況でも油断は禁物だ。

 もちろんDもグリムに従うと、リュウマは渋い顔をした。

 一触即発……とまではいかない状況下、Dは何かに気が付くと、後ろを振り返る。


「皆さん伏せてください。来ます!」


 突然Dが叫んだ。

 グリム達は耳を澄まし、背筋をピンと伸ばす。

 体を突き動かされると、急いでしゃがんだ。地面スレスレまで伏せると、突然頭上を赤い熱線が走る。


「なにが起きたのー!?」

「儂が見ちゃる」

「リュウマ、顔を上げないで」


 リュウマは顔を上げようとした。

 もちろん第二撃が来ないとは限らない。

 顔を上げないようにと言葉で圧を掛けると、流石に思い留まった。


「今のは熱線? しかも炎を直接……まさか!」


 グリムは嫌な予感がした。

 脳が高速で回転し、視界の先を映し出す。

 そこには木がある。樹皮に炎が灯ると、今にも燃えてしまいそうだ。


「マズい、木が!」

「このままじゃ火事になっちゃうよー」

「で、ですが、頭を上げれば次に狙われるのは……」


 またしても木が燃えている。しかも一本だけだ。

 樹皮に火が灯ると、そのまま上へ下へと火が移動。

 このままだと木が一本丸々燃えてしまうかもしれない。

 今すぐにでも消した方がいいのだろうが、それさえ罠だった。


「キャッ!」

「D!? 一体なにが狙って……ん?」


 Dの悲鳴が上がった。

 微かな熱線が最小限の火力でDの頭を狙ったらしい。

 まるでスパイ映画でよく投影される赤外線センサーのようで、細いが威力は高い。


 何とか躱したDだったが、代わりに地面に穴が開く。

 もちろん小さな穴だった。

 けれどアレが頭に当たっていたらと思うと、想像もしたくない。


 それにしてもどんな方法で攻撃しているのか。

 きっと隠れてしまっている筈。

 だから見つけることはできないと悟りつつも、グリムは振り返った。


「どんぶり?」

「そうだね。どんぶりだね」


 まさか攻撃して来ていたのはどんぶりだった。

 空になっている器をこちらに向けている。

 奥に何か仕掛けがあるのか? 何故か宙に浮いているどんぶりはエネルギーを溜めると、再び熱線を放つ用意をする。


「嘘でしょー!?」

「いや、嘘じゃないみたいだよ」


 溜め込んだエネルギーを一気にぶっ放す。

 すると真っ赤な熱線が、烈火を伴い放たれる。

 グリム達は逃げるような、避けるような隙も間もなく、熱線を直視していた。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)


ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。


また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ