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第247話 リュウマとの再会

「危なかったね」


 グリムは大鎌を使って刀を抑え込んだ。

 両手を使い最小限の力だけを掛ける。

 すると刀は刃毀れをする勢いで受け止められてしまい、グリムに届かない。


「グリムさん!?」

「ちょっとちょっと、なにしてるのさー」

「さぁ、なにしてるのかな? それは私の相手に言って欲しいよ」


 フェスタとDは振り返った。

 突然の急襲。一体何が起きたのか。

 グリムは自分に問われる言葉の矢を、そっくりそのまま、目の前の男性に訊ねた。


「なんだ、グリムか。脅かしなさなんな」

「リュウマ、どうしてここに?」


 現れた男性の正体はリュウマだった。

 しかも刀を振りかざしている。

 けれど相手が私だと判ると、刀をソッと鞘に納めた。


「にしても動きがえいねや」

「突然攻撃されたからね」

「そうやねや!」


 本当に悪いと思っているのだろうか?

 完全にパッションで動いている。

 グリムは呆れてしまうと、頬を掻いた。


「それで、どうしてここに?」

「決まっちゅーろ。龍の噂を聞きつけたんじゃ!」

「龍? リュウマも龍の噂に誘われたの?」

「そうや!」


 まさか同じ穴の狢だとは思わなかった。

 グリム達は噂に対する真偽がより明確化される。

 これだけ広がった噂だ。もしかすると本当かもしれない。


「興味深いね」

「グリムさん、楽しんでいますか?」

「まぁね。それでリュウマ、もう攻撃は仕掛けて来ないよね?」

「当り前や。フレンドを殺そうなんて真似、する訳ないじゃろ!」


 一応確認を取るも、ヤハリ攻撃の意思は感じられない。

 敵意のようなものはすっかり失せている。

 それにしても鋭い刀捌きだった。

 坂本龍馬をイメージしているのだから、もしかして拳銃も……なんて野暮なことは考えない。


「それにしても、リュウマまで……ねぇ、噂って何処から聞いたの?」

「ギルドじゃな!」

「ギルド? もしかしてギルド会館……」

「おう。ギルド会館に寄った際に聞こえて来たがじゃ」


 何となく読めた気がする。

 グリムが龍の噂を嗅ぎ付けたのも、ギルド会館だった。

 つまりはギルド会館の中ではこの噂が伝染している。

 流布はされていないもの、少しずつ、龍の噂はプレイヤーの耳に入っているのだ。


「なるほど。そうやって情報が……」


 あまりにも普通なことだった。

 何処が噂の発信源か、それを見極めることは情報戦においては、大きな影響を与える。

 グリムは心残りを一つ払い落とすと、リュウマに笑みを浮かべた。


「とりあえず狙いが同じでよかったよ。無事もね」

「お互いそうやねや」

「それでこれからどうするの?」

「龍と戦い……おんしらがおるとなると、一人で龍に挑むは可哀そうやねや」


 リュウマは困っていた。

 腕を組んで考え込むと、何か閃いたらしい。

 如何やら一人で戦う予定だったらしいが、それを崩す。


「一緒にやるか!」

「一緒にって、また急な……」


 あまりにも急な展開だった。

 今まで組んだこともない相手とのパーティー。

 上手く行くかは分からないが、リュウマの目が痛い。


「どうじゃ?」

「この圧……そうだね」


 色々と腑に落ちない点はある。

 けれどそれを今考えるのは無駄なこと。

 ここは単純に行く。答えはシンプルだ。


「まあいっか」


 この誘いは乗っておいて問題ない。

 実際、リュウマはかなり強い。

 先程大鎌で受け止めた斬撃。少しでも逸れていれば死んでいた。

 迷いがなかったことにゾクリとさせられると、グリムは振り返った。仲間の顔を覗く。


「いいかな?」

「全然OKだよー」

「はい。グリムさんが言うなら」


 またしてもこの展開だ。

 グリムは苦笑いを浮かべてしまう。

 とは言えこれで一人仲間が増えた。

 戦力の増強はどんな形であれ助かる。


「それじゃあ龍を……」


 もはや仕方が無かった。

 グリムは溜息交じりに龍探しに戻った。

 如何やらここにいても成果は上げられそうにないからだ。


「ファドラァァァァァァァァァァァァァァァ!」


 そんな中、本当に絶好のタイミングだった。

 森の奥方から遠吠えが聞こえた。

 明らかに異様な声に、グリム達は反応する。


「グリムさん、今のは!?」

「明らかにモンスターの鳴き声だね。この奥かな?」


 ビビってしまったD。当然だ。空気を震わし熱を伝える。

 そんなものを直に浴びたら誰だって怖くなる。

 グリムだって精神的に据わっているだけ。

 そうでなければ……


「それじゃあ早速行ってみようよー」

「待って、フェルノ。早計な判断は……」

「龍だったら逃げちゃうでしょ?」


 フェルノのテンションが高い。

 目がキラキラしている。

 昂った感情が背中を押すと、足をバタバタさせる。


「なにを言うがじゃ! 龍がおるなら戦いたいろ!」

「はーい、私も戦いたい派でーす」

「そうちゃな!」

「イェイ!」


 リュウマと同様にタイプ。

 グリムは世話が焼けてしまい、心の中では項垂れる。

 けれどそれさえ上手くまとめ上げると決め、グリムは指示を出す。


「仕方が無いね。戦うかは別にしても行ってみようか」

「よっしゃぁ! それじゃあ行くぞー」

「儂が倒しちゃるぞ!」

「いやいや、私だってのーだ」


 フェルノとリュウマは先行する。

 本当にテンションが高かった。

 すり張り状に抉れた地面を上手く回り込みながら、二人のは森の奥へと向かう。


「グリムさん、よかったんですか?」

「なにが?」

「お二人だけ、先に行かせてしまいましたけど……」

「ああ、そんなこと? 大丈夫だよ。なんたって、二人は強いからね」


 グリムは知っている、否、気が付いている。

 フェスタもリュウマも相当強い。

 だから安心して先行させられると、グリムはDを連れゆっくり背中を追い掛けた。

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