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第245話 リュウカ森林

リュウ好き過ぎるんだが!?

 グリム達はダンジョンにやって来た。

 フォンスから程近いとは言ってもそれなりに距離はあった。  

そのせいか馬車を使うことになり、途中で下りて徒歩でようやく辿り着いた。


「ここだね」

「おー、ここかー」


 眼下に見下ろせるのは目的のダンジョン。

 広大な緑のマップが広がっている。

 明らかに森林で、樹木自体もかなり古い。相当長い間生えている証拠だ。


「リュウカ森林。一体どんな所なんでしょうか?」

「それは分からないよ。ただ、独自の生態系を形成しているって話だよ」

「独自の!? ってことは面白モンスターがいっぱいいるんだね。楽しみー」

「……行こうか」

「えっと、グリムさん。どうして黙ったんですか?」


 一瞬だけ口を噤んでしまった。

 それもその筈、リュウカ森林は人の手が余り加わっていない。

 つまり原生に近いダンジョンなのだが、フェスタの期待するものとは掛け離れている。


 そのせいかDにもあまり大声では言えない。

 考えて喋ることになったので一瞬だけ黙る。

 それがグリムなりの配慮であり、察して欲しかった。


「いやー、楽しみだなー。どんなモンスターかなー」

「フェスタ、このダンジョンは」

「グリム、D、楽しみだね!」

「は、はい!? そ、そうですね。フェスタさん」


 フェスタはダンジョンがダンジョンなだけあって、とにかく楽しんでいる。

 おまけにフェスタに問われ、Dもそっち側に行ってしまった。

 グリムは困り顔を浮かべると、頬を掻いた。

 まあ実際問題、リュウカ森林に立ち入れば真実が見える筈だ。



「うーん」


 リュウカ森林はグリムの想像通りだった。

 とにかく“平和”。モンスターの影も形も無い。

 噂通りの場所のようで、モンスターが生息(・・・・・・・・)していなかった(・・・・・・・)


「グリムー、つまんないよー」

「仕方が無いよ。この森はモンスターがいないらしいからね」

「ううっ、つまんないよー」


 フェスタは案の定、頬を膨らました。

 つまらなそうに地面を蹴り飛ばす。

 木の幹に足裏を叩き付けたが何も起きず、反撃もされなかった。


「平和なのはいいことですよね」

「そうだね。とは言え、本当にいるのな?」

「本当にいるってー?」

「龍だよ。この森に龍がいるとすれば、他にモンスターが生息がしていないこの森の中だと、一瞬で分かるはずなんだけどね」


 龍のサイズ感が分からない。

 そのせいで何も定かではない。

 けれどグリムは信じてはいる。ギルドに入って来た所詮は噂話でも、それが真実ならば面白い。


「ふふっ、楽しみだよ」

「グリムサンも楽しんでいるんですか?」

「一応はね。もしも本当に龍だとすればだけど」


 とは言え戦う気なんて毛頭ない。

 龍相手にまともに戦って勝てる見込み(ビジョン)がまだ持てない。

 そのせいか、グリムは逃げることを推奨した。


「Dはどう思う?」

「私ですか? 私は……なにかの見間違いだと嬉しいです」

「えー、そんなのつまんないよー」

「つまんないじゃないよ。Dの意見もいいね。見間違いか……確かに、それが一番平和……」

「はっ、皆さん伏せてください!」


 そんな中、突然Dが叫んだ。

 一体なんなんだ。

 グリム達は背筋を伸ばすと、急いでしゃがんだ。


 するととてつもない熱風がグリム達の真上を通る。

 ボワッと感じた強烈な熱さ。

 これは一体なんなのか。ゾクリと背筋に汗が流れる。


「D、今のは?」

「分かりません。ただ私の【気配察知】が反応しただけで」

「Dのスキルが? 【観察眼】」


 グリムも怪しんでしまい、スキルを発動。

 この熱風の正体はなんなのか。

 頭上を通り抜けた熱風はもう無いが、何かおかしい。

 グリムの凝らした目が何かを捉えると、顔色を変えた。血相になる。


「大変だ。急いで消火しないと!」

「消火?」

「グリムさん、消火ってどういう……ええっ!?」


 グリム達の背後の木が燃えていた。

 フェスタとDも気が付くと、インベントリから水を取り出す。

 万が一に備えて大量に持参していた水を樹皮に掛けると、燃え広がる前に鎮火した。


 バシャン!


「ふぅ。なんとかなったね」

「セーフ。でもさ、なんでこの木だけ?」

「確かに。どうしてこの木だけ」


 些か謎が残されている。

 それもその筈、他の木は一切燃えていない。

 しかも燃えたとは言っても樹皮だけだった。

 一部だけに炎が灯ると、木を燃やし掛けたのだ。


「分からないよ。少なくとも、私達の頭を(・・・・・)正確に狙って来た(・・・・・・・・)こと以外はね」

「「えっ!?」」


 グリムの言葉に驚きを隠せない二人。

 しかし熱風が通り抜けた位置関係や、真後ろにあった木だけが燃えたこと。

 完全にグリム達だけを標的に据えている。


「どうやらこの森に潜んでいる龍は……いや、仮に違っていたとしても、恐ろしく狡猾だよ。同時に、余計に自然を破壊しようとはしないと見た」

「グリムさん、それじゃあ私達は」

「うん。とんでもない所に来ちゃったみたいだね。少なくとも、この森を出るまでは油断できないってことかもね」


 グリムの読みは大まかには当たっていた。

 けれど一つだけ見誤っていることがある。

 この森に入った時点で、既に何者かの領域(テリトリー)に入り込んだ。いわば敵であることに変わりなく、ただで帰してはくれないのだ。

少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。


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