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第240話 卓を囲んで

EX2です。

この話は何のために存在するのか。

 ガラガラガラガラ!

 ガラガラガラガラ!


 グリムとフェスタはデンショバトに足を運んだ。

 今日の所は買い物に来たわけじゃない。

 あくまでも交流の一環で足を運んで居た。


 カチッカチカチカチカチカチ!

 カチッカチカチカチカチカチ!


 四角い卓上を囲い、グリム達はそれぞれ配置に着く。

 グリムが北。東にフェスタ。

 多くの人にとっては意味の無いは一だが、実は意味があった。


「まさかおまんらも囲えるんじゃな。知らなかったぜよ」

「リュウマ、その口調、相変わらず疲れない?」


 この場に珍しいプレイヤーの姿があった。

 それはリュウマであり、グリムの対面(といめん)に座っている。


「ん? 確かにそうかもしれんな」

「そうだよ、珍しいよー。しかも来て早々これだよー?」


 フェスタはノリがいい方だった。

 けれどこんなことになるとは想定していない。

 タイミングの問題だったのか、見せの扉を開けた瞬間、捕まってしまったのだ。


「でもちょうどよかったわ。ありがとう」

「どういたしまして、でいいんですかね?」


 もう一人は〈《デンショバト》〉のメンバーの一人、ミソカツ。

 グリム達とは今日が二回目。

 まだそれほど交流は無いのだが、こうして囲むとなると話は別だ。


「それにしてもミソカツがリュウマと卓を囲むなんて」

「ええ感じの台を手に入れたで、相手を捜いとったら適任が現れたでな。ピジョンも鋼もできんで丁度よかった」


 ミソカツは楽しそうに牌をこねくり回す。

 その指先はとても楽しそう。

 牌を触っている時よりも、卓を触っていることを楽しんでいた。


 そんな姿をグリム達は眺める。

 その背後で、パサッパサッと紙を捲る音。

 耳たぶを撫でるような感触に浚われると、ポツリと呟かれる。


「どうでもいいけど、早く終わらせてほしいんだけど?」


 そう言ったのは、この卓に座っていない少女。

 ミュージュが催促するようにグリム達に言う。

 けれどそれは無理な話で、ここから一時間は掛かる。


「無理だよ。なにせ今回のルールは」

「東風じゃないからな、半荘だから無理だぞ!」

「そういうことだよ。ミュージュ、ってことで諦めて」

「はぁ。麻雀をするなんて……付いて来るんじゃなかったわ」


 ミュージュは呆れてしまった。

 溜息を付くと、項垂れてしまう。

 それはグリムとフェスタも同じで、半荘だとは思っていなかった。


「まぁまぁ、ミュージュさん。少し落ち着きましょう」

「落ち着いてるわよ、私は」


 店の奥からピジョンが出て来た。

 トレイを持っており、その上にはオレンジジュースが置かれている。

 椅子に腰かけ、暇を持て余しているミュージュに、オレンジジュースが置かれた。


「どうぞ」

「ありがと。ピジョンも大変ね、こんな人達をまとめて。グリムみたいに放任主義じゃないんでしょ?」

「えへへ、私がやるしかなかったんですよ」

「気の毒ね。同情するわ」


 ミュージュとピジョンが意気投合している。

 完全にグリム達が悪い者扱いだ。

 そのせいか、一応は謝っておく。


「ごめんね、ピジョン」

「いいですよ。でも皆さん、待っている方の身にもなってくださいね」

「「「はい」」」


 これは早打ちするしかない。

 空気感が湿り出し、一層ヒリ付く。

 その感覚を全員で共有し合うと、グリム達は早速始めた。


「それじゃ始めるぞ」


 山も並べ終わったので、サイコロを振って親を決める。

 出目の数は順当に東を指す。

 フェスタが親番だ。


「私が親だなー。それじゃあ」

「はい、サイコロ」

「ありがと。それっ!」


 次は取る山を決める。

 一、二、三、四……九。

 それぞれが山から手牌を取り自分の前に並べた。


「やっと始まるのね。長かったわ」

「今の時代、自動雀卓が普通ですからね。ここに有るのは全部手動ですから」

「盲牌し放題じゃな! がーはっはっはっ、まあ、そんな野暮な真似はせんがの。どれどれ、儂の手配は……まずまずじゃな」


 確かにイカサマし放題ではあった。

 けれど誰もそんなことをする気は今の所ない。

 全員が手牌を確認、素早く並び替える。ちなみにグリムの手配は白のみ。

 ここから色々と繋げられそうで、悪くは無かった。


「全然分からないんだけど」

「まあ、ルールが分からないとそうですよね」


 ミュージュは手牌を覗き込んだ。けれど全然分からない。

 ピジョンも「あはは」と苦笑いを浮かべている。

 ルールが分からないと楽しめない。覚えれば単純だが、一見複雑そうなゲームは、こうして珍紛漢紛にさせてしまった。覚えれば一生遊べるんだけどね。


「しっかしの、こうして卓を囲むと思い出すな」

「思いだす? ああ、リュウマと初めて会った時のことだね」

「そうなの? 変な出会いね」

「いいや、全く関係無いけどね」


 冗談にも程があった。事実とまるで合っていない。

 リュウマも笑って誤魔化すと、ミュージュからの辛辣な眼差しが送られる。

 本気で怒りそうで怖いので、ここは麻雀を遊びながら、ちゃんと話すことにした。

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