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第216話 響く振音

皆さん、このタイトルの付け方、分かりますか?

 グリム達はパイプオルガンのパイプが怪しいと睨んだ。

 必死の思いでバリケードを潜り抜け、ようやくパイプの真下にやって来た。

 高い高い竹林を見上げるようにパイプを見てみると、絶望的な程に悲惨な状況だった。


「グリムさん、これって」

「植物の根が絡み付いているね」

「絡み付くって言うよりも、覆ってるわよ!」


 パイプは大量の根に覆われていた。気持ちが悪い程で、見る人によっては吐き気を催す。

 幸いグリム達にそんな人はいなかったが、気持ちが悪いのは確か。

 何本もの太い根・細い根がパイプを絡め取り、絞り上げている。

 今にもパイプが曲がってしまいそうで、非常に不気味だ。


「なんだかヤバくない? これ、切った方がよくない?」

「そうだね。とりあえず根っこを除去しようか」


 フェスタの言い分通り、グリムも同意する。

 何だか嫌な予感がするので、根っこをとりあえず切ってみることにした。


 大鎌を振り上げ、根っこに近付く。

 いくらパイプオルガンの背が高いとはいえ、下の部分は刃が当たる。

 思い切り振り上げて引っ掛けてみると、グリムの狙い通り、大鎌は根っこを捉える。


「よし。後はこのまま体重を掛けて……はっ!」


 グリムは前に体重を掛けた。このまま切り伏せようというのだ。

 ミチミチと根っこが引き絞られる音が聞こえる。

 何処かのタイミングで弾け飛びそうだがなかなか切れない。


「思った以上に頑固だね」

「もうなにやってるのよ!」

「グリムさん、手伝います。皆さんも手伝いましょう!」


 グリム一人では難しそうだった。

 Dは大変そうなグリムを見兼ね、すぐさま手伝いに向かう。


「グリム、手伝いいる? あっ、要りそうだね。それじゃあ手伝うよー」

「ミュージュさんも、行きましょう!」

「なんで私まで? 私、こう見えて軟弱なのよ」

「大丈夫大丈夫。見れば分かるから!」

「ちょっとフェスタ、その言い分どうなのよ。私だって傷付く……はぁ、聞いてないわね」


 ミュージュはフェスタに揶揄われたが、肝心のフェスタはすぐにグリムの手伝いに向かった。

 そのせいか、ミュージュは言い返すことができないので、諦めてグリムを手伝う。

 童話の大きなカブみたいな形で、全員の力を合わせることにした。


「全員で行くよ。せーのっ」

「「「それぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」」」

「そんなに伸ばさなくてもいいのに」


 腹から声を吐き出すと、思いっきり前に体重がのしかかる。

 ミチミチと鳴り出した音がミキミキと悲鳴に変わり、メキメキと今にも千切れそうな音になる。

 ここまで抵抗は一切無い。つまり一つや二つ根っこを失っても問題ないの表れ。

 これは大変な作業になる。そう確信したグリムだったが、根っこが千切れた瞬間、楽器植物(PO体)が凄まじい反応を見せた。



 ギュィンギュィンギュィンギュィンギュィンギュィンギュインギュィンギュインギュインギュインギュインギュインギュインギュイン!!!


「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」


 パイプが根っこに締め付けられ、聴いたことも無いような振動音に変わる。

 耳障りで仕方が無いを通り越し、鼓膜が破けて脳にまで直接伝わりそう。

 頭を押さえて発狂してしまうと、上がったり下がったり、音に転調が激しく、立つことさえできなくなる。


「なに、この音」

「うるさいです、頭が、痛い、です」

「チッ、耳障りね。こんな音、私の前で奏でないでよ!」


 グリムも苦しんではいるが、特に三人には絶大なダメージを与える。

 HPに影響はないが、もっと根本の部分で嫌がらせされている。

 このままだと人体にも影響が出かけない。そう確信したので、グリムはミュージュの傍に寄る。


「ミュージュ、聞こえる?」

「なに、なにいってるの!?」

「聞こえてない……か。それなら」

「ちょ、ちょっとなにするのよ。私の武器!」


 ミュージュに声を掛けたがまるで聞こえていない。

 鼓膜にダメージを受けたせいか、それとも単にうるさいだけか。

 どちらにせよ会話にならないので、グリムはミュージュの武器を手に取らせる。


「ここで指揮しろってこと? 流石にそれは……」

「お願い」

「今、“お願い”って言ったわね。はぁ、私のためだもの、仕方が無いわね!」


 ミュージュは指先まで震えていた。まともに指揮が取れないのは体に影響が出たからだ。

 それでも軽く奏剣を振るうと、振動音を滑らかかつ心地の良いリズムに調整する。



 ギュインギュインギュインギュインギュイン……キュィンキュィンキュィンキュィンキュィン……キュ~ンキュンキュルル~ンキュン♩


「う、気持ち悪い」

「はぁはぁはぁはぁ……今の、ヤバッ」

「はい、苦しかったですけど、ありがとうございましたミュージュさん。おかげで助かりました」

「別に感謝されることでも無いわ。それで、ここからどうするのよ? いくら私が指揮を執ったからって、時間制限はあるのよ」


 ミュージュの活躍により、うるさかった振動音は一時的に止んでくれた。

 とは言えこれも時間との勝負だ。直にミュージュの支配から外れてしまう。

 それなら如何すればいいのか? 視線がグリムに集中する。


「そうだね。なにかヒントがある筈……」

「ヒント?」

「うん。これだけの強敵だよ。石碑にヒントが書かれていたみたいに、なにか弱点がある筈で」

「弱点って、そんなのあったら苦労しないわよ!」

「そうだね。確かにそうなんだけど……」


 グリムは思いだしていた。石碑に全てが書かれている。

 あれだけ意味深に建てられていたのだ、間違いない。

 頭の中で文字起こしをすると、グリムは気になる部分を思い出した。

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