第206話 古びた音楽堂
レビューってどうしたら書いてもらえるのか?
書いてもらった経験がほぼ無いから分からない。
グリム達はそれから何事もなく騒めきの森を進んだ。
もはや“騒めき”ではなくなっており、静かで心地の良い“清音”の森になっていたのは内緒だ。
「なーんだか、静かになったね」
「ミュージュ、貴女の実力は本物だよ」
「止めて、急に褒められたら気持ちが悪いから」
これも全てミュージュの手腕だ。
流石の技術の高さに圧倒されるが、褒めた所で嬉しくもないらしい。
何せストーカー気味に無理やり付き合わせてしまった間柄、変に褒められれば気色悪いのは当然だろう。
「あのミュージュさんは、なにか音楽を習っているんですか?」
「どうしてそう思うのよ?」
「す、すみません。ただなんとなく、この間のピアノがとてもお上手だったので」
ミュージュの人間性にDは興味を示す。
知らずに心の扉にノックすると、ムスッとした表情を浮かべる。
訊かれたくもないことは誰にだってある。ミュージュは神妙な顔になっていた。相当嫌悪している証拠だろう。
「あ、あのすみませんでした。私、ミュージュさんの気も知らないで、つい」
「別に。確かに私はピアノを専攻しているわ。それだけよ」
「ピアノ専攻?」
「なに? おかしなこと言った。確かに私の武器は指揮棒みたいだけど、別に指揮者になる気は無いの」
勘違いもなにも、指揮棒を振るう姿は素人目では完全に指揮者だった。
けれどあの姿そのものが、ミュージュの本質ではない。
そう言われれば納得で、ピアノの腕前がある以上、指揮者としてふるまう必要なんて何処にも無かった。
(なるほど。それにしてもわざわざ“専攻”なんて言葉……)
グリムは微かな言葉の違和感を聞き逃さなかった。
ミュージュは“専攻”している。その過程が今なのか、過去なのか、どちらにせよ学生なのは確かだろう。
如何やら年代も被ると来た。そこから想像できるものがあったが、確証もないのでそれ以上は口にしないし考えない。
「ん?」
「皆さん、森が晴れますよ」
しばらく歩いていれば、次第に森は晴れ始めた。
視界が開け、目の前の景色がハッキリする。
如何やら森の奥に辿り着けたらしく、木々達が木の葉を避けると、窺えるのは切り拓かれた空間だった。
「皆さん見てください。なにかあります!」
真っ先に声を上げたのはDだった。
視線をDの声の先へと向けると、確かにそれはそこにある。
古びた外観の建物。何処となくレトロな佇まいでそびえるそれは、明らかに人の出入りを失っていた。
「かなり古いね。噂通りだよ」
「噂?」
「あれー、ミュージュは知らないの?」
「知らないって、私はここに来たことが無いもの。知る訳が無いでしょ?」
ミュージュは何も知らないらしい。
けれどグリム達は目の前の建物の中にある。
あくまでも噂ではあるが、“音に命を吹き込む”アイテムがあるらしい。
そのことをミュージュに伝えると、首を捻られてしまった。
「ん?」
「まあ、そうなるよね。でも私達は、その真実を確かめるために来たんだよ」
「ふーん、暇人ね」
「暇じゃないよ。でもそれが必要だと思っただけ。ここまで来たからには、ミュージュも協力してくれるよね?」
グリムは改めてミュージュを誘う。もちろん、もう逃がす気は無い。
一瞬溜息を吐きそうになる仕草を見せたが、それさえ飲み込んで受け入れる。
「いいわよ。ここまで来ちゃんたんだから」
「ありがと。さてと、早速この音楽堂? でいいのかな。入りたいけれど」
「入らないんですか?」
「うん。少しね」
グリムは建物の中に入るのを渋っていた。
それもその筈、騒めき野森も一筋縄ではいかない。
そうなれば、建物に入っただけで反撃が待っているかもしれない。
様々な事象を巡らせながら、グリムはスキル【観察眼】と【看破】を使った。
「さてと、周囲に怪しい影は……無いみたいだね」
「そっか。じゃあ行ってみよう!」
「待って、フェスタ。もう少し周囲を調べてみようか」
グリムはガンガン先に行こうとするフェスタを止める。
軽装の襟元を掴み、先に行かせないように引き止める。
面倒そうな顔をして振り返るフェスタ。それでもグリムには従う。
「分かったよー。で、なにを調べるの?」
「そうだね。それじゃあ……えいっ!」
グリムは背の高い草が生い茂っている場所に足を踏み入れる。
そこに向かって大鎌を薙ぎ払う。
バッサリ草丈を切り分けると、奥に隠れていた石碑を見つけた。
「グリムさん、急にどうしたんですか?」
「ちょっとちょっと、なーに、この石?」
「石碑みたいね。如何にもって感じがするわ」
「そうだね。私もそう思ったから調べるんだよ」
如何してここに石碑が隠れていたのか、そんなもの答えは決まっている。
長い時間、誰も足を踏み入れていないせいか、手入れが行き届いていない。
小さな石碑の存在は【看破】を使わなければ気が付かない程で、グリムは意味があると思った。石碑には重要な碑文が書かれているもの、もちろん凝視をしても読めるものでは無かった。
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