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第202話 小さなライブハウス

ライブハウスって行ってことありますか?

 レコードを手に入れたグリム達は、最低限の目的を達成した。

 しかし時間が余っている。

 まだ本題が何も解決していないので、グリム達は目的地へ行く。


「この辺りかな?」

「そうだねー。地図見たらこの変かも」

「あっ、グリムさん、フェスタさん。アレじゃないですか!」

「「どれ? おっ、コレだ」」


 タクト・ムジュウムを歩いていると、ようやく目的地に辿り着いた。

 そこはバロック様式風の建物の合間に挟まるように、細長い建物が建っている。

 看板が出ているが、そこには楽器のマークが刻まれている。


「ライブハウスですか?」

「そうだね。だけど私達の知っているものとは、少し違うかな」


 グリムやフェスタが知っているライブハウスとは趣が全然違う。

 現実のものはスタイリッシュな感じだが、ここは奥ゆかしい。

 そもそもの話、雰囲気がまるで違っている。


「見てよ、マークがギターじゃないよ!」

「そうだね。コレはバイオリンかな?」

「そうですね。もしかして、小さな音楽堂?」

「いや、地図にはライブハウスって書いてあるよ。もしかすると、クラシック系のライブハウスかな?」


 可能性は充分あった。

 何せバイオリンのマークに弓が重なっている。

 明らかにギターやキーボードは無さそうだが、とりあえず中に赴く。


「おっ、シックだね」

「ウッド調ですよね。綺麗です」

「本当―。でもライブハウス感は無い?」

「その辺は気にしたらダメだよ」


 ライブハウスの中はライブハウス感がまるでなかった。

 一もない完全に〇で、ダークな板張りが壁一面に施されている。

 けれどよく見れば吸音素材になっているのか、壁には小さな穴が幾つも開いていた。


 とは言え、直視する内は見つからない。

 超至近距離で目を凝らした時に限って穴が窺える。

 それだけ隠すような形で吸音板が取られていて、ライブハウスと言うよりもライブもできるカフェの様だった。


「とは言え、思った以上に広いね」

「そうそう。二階建てかな?」

「階段が一つ、二つ、三つ……四階建てですよ!」

「しかも地下まであるんだね。一階は受付かな?」


 建物と建物の間と言うこともあり、そこまでの幅は無い。

 けれど立てに伸びる形で構えられた建物は、天井を吹き抜けにしている。

 そのおかげで各階から差し込む光が解放感を生み出し、窮屈にさせないよう配慮がされていた。


「にしても人もチラホラいるね」


 ライブハウスの中は、ただのライブハウスじゃない。

 二階にはテーブルとチェアの姿もあり、完全にカフェと一体化している。

 三階と四階の様子は確認できないが、恐らくは楽器やスコアを取り揃えているに違いない。グリムの知っているライブハウス兼楽器屋はそんな感じだった。


「あのさー、この雰囲気でギターとかベースとかって、ありなの?」

「いいと思うよ。現にギターケースを抱えているプレイヤーもいるからね」


 あまりにも雰囲気にマッチしていなかった。それでもギターケースを持ったプレイヤーは見かける。

 もちろんバイオリンやトランペット等の楽器を持ち込んでいる人も居た。

 この小さなライブハウス=ピッコロ・スオノは密かな賑わいを見せていた。


「さてと、私達の探しているのは……」

「なにかお探しのものはございますか?」


 グリムはキョロキョロと店内を見回す。

 もちろん見ているのは物じゃない。捜しているのは人だ。

 そんなことを怪しく始める中、NPCに声を掛けられた。


「あっ、変だったかな?」

「いえ、なにかお探しのものがございますか? よければお手伝い致しますよ」

「親切な人だね。ありがとう」

「はい。当店をご利用の方の多くは知識のある方ですから、私の仕事が無いんですよ。ですので、暇で暇で……ですので、お手伝い致しますよ」


 NPCの女性は心に溜まっていた愚痴を吐き出す。

 確かに仕事が無いのは暇だ。少し忙しいくらいの方がモチベーションは上がる。

 それを潰されれば不服になる気持ちがあり、ここは頼むことにした。


「それじゃあ音楽に精通したプレイヤーを知らない?」

「音楽に精通ですか? ここを訪れる方は、大抵が音楽に精通していると思いますけど」

「まあそれはそうだね。その中でも、私達と同じくらいのプレイヤーを知らないかな?」

「貴女達とですか? そうですね……でしたら」


 NPCの女性はキョロキョロ周りを見回す。

 よく訪れるプレイヤーがいるのか、かなり顔が利くらしい。

 どんな人を紹介してくれるだろうか。それ次第では、グリム達の目的も早く済む。


「見つかるといいね」

「うんうん。じゃないとあの森攻略できないもんね」

「そうだね。でも、私としてはできれば……」


 仲間に引き込みたいプレイヤーは決まっていた。

 けれどあの調子だと絶対に無理だろう。

 そう思った直後、NPCの女性は声を張り上げた。

 目的の人物を見つけてくれたらしく、近付いて声を掛けてくれた。


「あっ、少しいいですか?」

「なに、#―プさん?」

「実はミュージュさんに合って欲しい方達がいるんです」

「会って欲しい人? 別に時間はあるからいいわよ。それで、その会って欲しい人は何処にいるの……げっ」


 偶然ってあるんだ。グリムは偶然を引き寄せて、必然に変えた。

 狙ってプレイヤーを個の広大な世界から再び引き当てるなんて、普通に無理な話だ。

 けれどグリム達はミュージュと再び出会い、凄い嫌そうな顔をされてしまった。

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