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第2話 キャラクリエイトの時間

 気が付くと、童輪は真っ白な空間にいた。

 ここは何処なのか。

 そんな疑問をぶつける矛先を探すと、目の前に女性が一人立っていた。往年のアンドロイドのコスプレをしており、世界観にはややそぐわないネオンピンクに発光するヘッドホンを着用していた。


「ようこそ! プレシャスコード・オンラインへ。私は、ナビゲーターのアイと言います。以後、お見知り置きを」


 とっても流暢に話すAIだった。

 まるで人間そのもので、衣装以外は本物そっくりだった。

 如何やらこのゲームのNPC達は、相当高度なAIを搭載しているらしく、童輪も人間として見る。


「こんにちは。私は……」

「新条童輪さんですね。既に貴女の個人情報は、VRドライブを通じて登録済みです」

「マジ?」

「はい」


 笑みを浮かべて頷かれても困る。

 今時の技術をズドンとわからされ、童輪は技術の進歩がこの数年で目覚ましいことを、客観的に体感した。


「さてと、これよりキャラクリエイトを始めたいと思いますが。その前に」


 パチン!


 アイは指を鳴らした。

 白い空間に何処へ向かうでもなく反響した。

 すると童輪の目の前に、謎の手型が現れる。


「なに、コレ?」

「まずはそちらの手型に利き手を置いてください」

「置けばいいの? はい」


 何のためにするのかは見えてこないが、きっと必要なことなのだろう。

 童輪は少し怪しむが、すんなりと手を置いた。

 ピーピーピーピーと電子音が流れ出し、ピコン! と、解析完了とでも言いたげに、軽快な音が鳴る。


「ダウンロードが終わったような音だけど、うわぁ!」


 童輪の目の前に、大量の文字列が表示される。

 その隣には数値を示すグラフもある。

 突出している面はほとんどなく、もの凄く伸びも小さい。


 突然のことに驚いた童輪はコレが何かよく分からなかった。

 そんな童輪にアイは優しく説明する。


「今測定したのは、童輪さんのパラメータをステータスとして表示するための作業です。そして現在の童輪さんのステータスを、目の前のステータスバーで表示しています」

「コレが、私のステータス?」


 あまり良いとは言えなかった。

 とは言え、これがゲームである以上、最初から高過ぎるステータスだとゲームとして成り立たないので、あくまでもこのくらいの目安になっているのだ。

 見たところ、10〜20くらいの数字がちらほらある。たまに30を超えるものもあるが、何がいいのか分からない。


「次に武器を選択してください」

「武器? 先にステータスをいじらないの?」

「それだと、武器を選んでいないので、後で変更ができなくなります」


 アイはそう説明すると、幾つか武器を見せてくれる。

 定番で使いやすそうな剣、扱いは難しいけど中距離からの攻撃ができる槍、遠距離筆頭の弓や、盾持ちお馴染みの大盾、意外にも短剣なども用意されていた。


「迷うね。でも私のステータス的に、扱いやすい剣が良いかな」


 とりあえず剣を選んで様子見。

 後でゲームにログインしてから、武器を見繕うことにする。


「分かりました。それではこちらをどうぞ」


 そう言うと、アイは“プラス補正値100”をくれた。

 何をしたら良いのかピンとこず、童輪は首を捻る。


「まずはプレイヤーネームを記入してください。それから今与えた100ポイントを好きに振り分け、ステータスを設定してください」

「プレイヤーネームと、ステータスの増強?」

「はい。ちなみにですが、性別や身長など、大きく現実との差が出ないようにしておりますので、その点はご了承ください」


 如何やら見た目や身長を変えることはできないらしい。

 それはそうだと、後でトラブルにならないことに安堵する。

 とは言え目の色や髪の色などは変えられるそうなので、童輪は何となく髪は白のショート、目は真っ赤にしてみた。カッコよく仕上がり満足する。


「えーっとステータスを見るに、私は器用さとか精神面が強いのかな? それじゃあ、伸びやすいものはガッツリ伸ばして、後は満遍なく均等にしてと」


 とりあえずステータスを振る。

 この手のゲームでは、自分に合ったもの、即ち伸びやすいものを中心に上げていくのが大事だと思う。


「後は名前だけど、決めたなかったな。こんな時は本名をモジるとか、連想から……童輪、童話、アンデルセン、ちょっと違うかな。そうだ、グリム童話。グリムにしよう」


 完全に連想ゲームで、名前を決めてしまった。

 グリムと記入し、空欄は無くなる。

 少し気になるところもあるが、とりあえずこれで完了らしい。


「それでは、これで登録させていただきますね。また、一度登録したアカウントを再設定することはできませんので、注意してください」

「はい」

「それではグリムさん。これより、プレシャスコード・オンラインの世界が貴女を待っています。思う存分、世界を駆け抜けてくださいね」


 グリムはそう見送られると、白い空間から吐き出される。

 全身が眩く輝き出すと、アイにそう言われるがまま、プレシャスコード・オンラインの世界へと最初の一歩を踏み出した。

【ちょこっと解説】


 本作ではゲームシステムに関係するもの、例えばカウントやステータスの値、レベルなどは英数字で表します。

 日常会話程度のものは、漢数字で表します。

 そのように区別するため、以後お読みください。

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