第187話 閑話休題な一日1
閑話休題です。
こんな話も書きたいのです。
ドスン!
調理台の上に、ダンボール箱を置いた。
中には大量の野菜が入っている。
もちろん新鮮で、今朝届いたばかり。みずみずしく、サラダにしても美味しそうだ。
サッ……スタッ
その中からレタス、トマト、玉ねぎを取り出す。
他にも辛子も、そのままの状態で袋に収まっている。
必要そうな食材を調理台の上に並べると、早速調理を始めた。
ポタッ……サラサラサラサラ
食材をまずは水洗いだ。
もちろん手も洗っておき、清潔を保つ。
ゴトン
まな板を用意すると、レタスをバラす。
トマトをスパッと切り分け、玉ねぎの皮を剥き、細かく刻む。
欲しい食材の最低限はこれでいい。
プチッ……ガッガッガッガッ
ボウルを用意すると、中に辛子を入れる。
すり鉢の代わりに使うと、お玉の湾曲した面で押し潰す。
ポロ……ポロポロポロポロ
皮が剥がれると、中身が出て来る。
これを使って今からマスタードを作る。
大変だとは思うが、それがより一層旨味を出す。
サッ
マスタードを作る間に、トマトソースも作る。
ボウルの中には、別で用意していたトマトを入れる。
同じくお玉を使って押し潰すと、調味料を使って整える。
素材の味をそのまま使う、ほぼ添加物無しのトマトソースだ。
ザザッ
もちろん忘れてはいけない物がある。
今回の主役だ。
ドスン
取り出したのは解凍した牛肉。
A5ランクの国産牛で、この肉塊を買えば、五万はくだらない。
そんな肉を、今回は大胆に使う。
ボンッ
まな板の上に置くと、包丁を通した。
よく切れる包丁で、肉もほろほろ千切れる。
ある程度の量を取り出すと、今度はフードプロセッサーに掛ける。
簡単に細かくすると、国産牛のミンチができた。
バラバラ
ミンチにした牛肉に繋ぎを入れていく。
ボウルに卵を落とす。
今回は贅沢に黄身が二つだ。
カチャカチャカチャカチャ
卵を溶くと、早速牛肉に混ぜる。
ミンチを成形し、大き目の小判を作る。
しかも分厚い生地で、ザッと二百グラム。これを二枚用意した。
もはや見た目はハンバーグ。
しかもかなりの趣向品で、贅沢の限りだ。
ギュッ
もちろんこれで終わりはしない。
ハンバーグの真ん中に白い塊を入れる。
そう、牛脂だ。牛脂を閉じ込めることで、牛の旨味をより引き立てる。
サッ……トポトポトポトポ
家庭では絶対に使うことの無い、業務用の鉄板。
その上に、水道水を垂らす。
すると、モクモクとした煙が立つ。
ジュワ~
真っ黒な鉄板が、熱々になっている。
耳を近付ければ、心地の良い音色が聞こえる。
ペタッ
その上に、先程作ったハンバーグを置いた。
しかしただ置くだけじゃない。
ヘラを使って、ソッと押し潰すと、中に仕込んだ牛脂が熱で溶ける。
ドパドパドパドパ
牛脂が鉄板の上を浸す。
すると分厚いパティにトロッとした牛脂が覆い被さる。
ジュワ~
ハンバーグが美味しく焼ける。
観ているだけで食欲をそそらせると、軽い焦げ目が付いた。
牛脂のおかげでより焼けるのが早い。
ヘラを使って裏面に返すと、見事な焼き目ができている。
ペタッ
スライスチーズを上に乗せる。
ピッタリ浸り、牛脂と一緒に焦げ目が綺麗だ。
カチャ……カチャカチャ
大きめのハンバーグの正体。
それを明かす前に、ボウルを被せる。
ただ焼くだけじゃない。そんな物で終わらない。
旨味を閉じ込めるため、簡単にではあるが、蒸し焼きにした。
チーン
そうこうしているうちに、もう一つ用意している主役が居た。
これも家庭用では絶対にありえない、効果力のオーブン。
その中から取り出したのは、一斤のパン。
ガタッ
パンをトレイごと取り出すと、細心の注意を支払う。
専用の包丁を使い、パンを切り分ける。
合計二枚、そう、上と下。もう分かる。これはバンズだ、
サラサラ
用意したバンズもそれで終わりじゃない。
最終工程に入る。
まずは表面に蜂蜜を塗る。その状態で、熱々の鉄板に置いた。
トロッ
蜂蜜が溶け出した。
バンズの表面をコーティングすると、照明の加減で美しい。
もちろん焼き過ぎは厳禁だ。
ハンバーグ……ではなく、パティと一緒に見る。
後はタイミング。間違えればお終いだが。失敗する気は無い。
ササッ
ヘラを使ってまずはバンズを救出する。
それからボウルを外し、パティを見守る。
綺麗な焼き目、焦げ目、美味しそうだ。
ボン
焦げ尽きる前に引き上げる。
調理台の上に戻すと、後は盛り付け。
肉々しいパティに新鮮な野菜。
今用意したソース類に、焼き上がったバンズ。
全てを上手く組み合わせると、見た目も味も……お値段も最高のハンバーガーが完成した。
プスッ
最後に可愛らしいピックを刺した。
皿の上に盛り付けると、スマホのカメラ越しに完成系を見守る。
「これでいいかな?」
童輪は撮影を終わらせた。
なんとか上手く行った、いや、いつも通りやった。
もちろん、普段はこんな高級食材は使わない。
ただ今回は映え? とかを気にしつつ、丁度株主優待で送られてきた食材がたくさんあったので使ってみた。
「全く、祭理の思い付きには振り回されるよ。気にはしない……気にするべきか、味かな……あむっ」
童輪は口を大きく開けた。
ハンバーガーを持ち、一口頬張る。
「おっ、これは美味しいね」
当然と言えば当然。だがしかし、味は間違いなく絶品。
口から涎を垂らしてしまいそうな程ジューシーで、野菜はシャキシャキ。
バンズもこんがり焼いてあるので食べ応えも最高で、満足感たっぷりだった。
「うん。作ってみて、よかったよ。普通のでもいいけど」
童輪は決して味にうるさくはない。
だがしかし、どうせなら美味しいものを食べたい。
休日の一間を料理に使うと、満面の笑みを浮かべた。
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