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第167話 地下室から戻れない?

ぽ、ぽ、ぽ、ポルターガイスト!?

 グリム達の目の前に現れた骨のモンスター。

 スケルトンと言うべきか、狂骨と呼ぶべきなのか、なにを隠そう骸骨が動いている。

 しかもこちらの様子を窺っている節があり、非常に妙だった。


「アレは一体……」

「グリムさん、なんだか不気味ですよね」


 Dが震えていて、グリムの服の袖を掴む。

 怯え切っていて、唇が紫色になっている。

 グリムは優しく頭に手を置くと、ゆっくりスライドさせ、丁寧に撫でた。

 まずは落ち着いて貰うこと。それが大事だ。


「大丈夫だよ。こちらが手を出さなければ襲ってはこない筈だから」

「そうなのー?」

「うん。現に襲っては来ていないからね」


 恐らくは勘付かれている。

 けれど手を出してこない辺り、こちらの様子を窺っている。

 グリムは読み合いで勝ろうとすると、スケルトンは何の気無しに目の前の扉を開ける。


「ふん」


 のほほんとした態度を取ると、地面を浮いたまま、滑るように部屋の中に入った。

 それからガチャン! と音を立てて扉が閉まる。

 如何やら部屋の中に入ってしまったらしいが、深追いするべきだろうか?


「入っちゃったねー」

「そうだね。どうする? 私達も追い掛ける?」

「うんうん、それが一番手っ取り早いでしょー?」

「そうだね。それじゃあ……Dはやっぱり怖い?」

「は、はい……」


 立ち上がろうとするグリムは、Dに引っ張られて立ち上がれなかった。

 そのせいか、Dの顔色を注視する。

 震えているだけじゃない。苦しそうで、息が上がり掛けていた。


「な、なんでしょうか、アレは? どうして、あんな人? が、こんな所にいるんですか?」

「そうだね。気になる所だよね」

「確かにねー。ねぇ、シルキー。なにか知ってる?」


 ・・・——


 反応がない。

 それどころか、コインがプルプル震えている。

 これはただの動揺じゃない。恐怖心と猜疑心が強く出ている証拠で、グリムにはそう受け取れた。


「シルキー?」

『あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ』

「シルキー! 心当たりがあるんだよね?」

『あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ・あ』


 ダメだ。シルキーがおかしくなっている。

 完全に壊れてしまっていて、明らかに因縁があるのは確かだ。

 とは言え、このまま居ても埒が明かない。

 ともなれば、一旦地下室から出て 態勢を立て直すのが吉だろう。


「D、シルキー、一度態勢を立て直すよ。地下室を出ようか」


 グリムはそう促すと、地下室を出ることを決めた。

 大丈夫だ。時間はある。それに地下室なら何をしたって逃げられない。

 袋の鼠状態の中、グリムはとフェスタはDを間に挟むと、地下室から出ようと階段を上った。だけど不思議なことになる。


「おかしいね。光が下りてこない」

「本当だねー。入口は開けっ放しの筈なんだけどなー」


 何故か光が透過していない。

 グリムとフェスタが首を捻ると、地下室の出入り口に異変が起きていた。

 何もしていないのに、何故か出入口が閉じている。


「なるほど、出入り口が閉じられているね」

「へー、変な偶然もあるんだね」

「偶然、かな?」


 グリムは何となく予想していた。

 そのせいだろうか、手を伸ばすと、指がパチンと痺れる。

 一瞬手が拒絶反応を起こしたけど、出入り口に触れ開けようとした。


 ガタ……ガタガタガタ!!


「あれ? 開かないな」


 何故か出入り口は重く開かなかった。

 鍵なんて無かった筈なのにおかしい。

 グリムは首を捻る中、一瞬感じた違和感を思い返す。


「もしかして、閉じ込められた?」

「「えっ!?」」


 フェスタとDは声を上げる。

 狭い空間で騒ぐのは得策じゃない。

 とは言え、驚くのも無理はない。

 明らかにこれは異変だ。しかも外部じゃなく、内部で起きている。


「外から押さえつけられている感じはしないよ。むしろ、内側から圧を感じる」

「ってことはさ、誰かやってる?」

「なにもしてないよ。とは言え、閉じ込められた以上、私達に取れるのは二つだけ。一つは自決して、強制ログアウトのペナルティを受ける。レベルとか少し下がるかもね」

「嫌だなー、そんなの」


 もちろん、グリムだって最後の手段にしたい。

 となれば、残された手立てはもう一つだけ。

 グリムは階段を下り始めると、さっき見かけたスケルトンを追う。


「グリムー、何処行くの?」

「何処にって、私達を閉じ込めた張本人を倒しに行くんだよ」

「ええっ、そんなのがいるの!?」


 もちろん居るに決まっていた。

 そうでも無ければこれは不具合なのか?

 グリムは薄っすらと脳裏に過る言葉を捨てると、スケルトンの消えた部屋、その扉の前に鎮座する。


「扉は……開くかな?」


 木でできた扉に手を触れる。

 開けてみようと、ノブを引こうとした。

 だけど固く閉ざされていてまともに開いてはくれない。


 ガタン……ガタンガタン!!


「開かないか」


 グリムは扉を開けられなかった。

 表情を歪ませると、如何したものかと考える。

 

「グリム、やっぱり倒しに行くんだねー」

「まあね」


 グリムは扉を開けようと、もう一回試みた。

 だけどダメだ。扉が全く開かない。

 如何したらいいんだろう。フェスタも力任せに試すけど、扉は開いてくれない。


 ガタンガタンガタン!!


「あー、ダメだ。どうやったら開くんだろう?」

「そうだね。きっとなにか方法があるんだろうけど……」


 グリムとフェスタが知恵を巡らせる。

 そんな中、Dはこっくりさんの道具を持ったまま、落ち込んだ様子で声を掛ける。


「あ、あの、グリムさん、フェスタさん」

「どうしたの?」

「シルキーさんが動いていて……なにか言いたいことがあるんじゃないでしょうか?」


 シルキーが言いたいことがある。

 確かにこっくりさんの紙とコインが動いていた。

 何か言いたいことがあるのか。クルンクルンと回転する中、グリムとフェスタはシルキーの言葉に耳ではなく、目と神経を傾けた。

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