第163話 絶対そこだよね?
ついに総合評価700を超えました!
ありがとうみなさん、1000を目指して頑張るぞ!
あはは、がんばってるけどねー。あはは〜はぁ
グリム達は屋敷の中をくまなく探してみることにした。
とは言え、何処を探せばいいのか、全く目星が付かない。
それもその筈、ヒントがなにも無いのだ。
「シルキー、なにか覚えていることは無い?」
『お・ほ・え・て・い・る・こ・と・で・す・か?』
「うん。なにか一つでもいいんだけど……」
『そ・う・い・え・ば……』
シルキーは思いだしてくれそうだ。
それまではグリム達であちらこちら探してみる。
「この屋敷の間取り図によると、怪しいのは一階かな?」
グリムは不動産会社で貰った資料の中から、間取り図をコピーしていた。
万が一のために用意していたが、ちゃんと役に立ってくれる。
データとして全員に配布すると、グリムは一階を指さす。
「えー、どうして一階なの?」
「そうですよね。どうして一階なんですか?」
「単純だよ。二階の構造を見て、ほとんど同じ造りだよ」
間取り図を見る限り、一階は複雑になっているが、二階に関しては基本的に同じような造りだった。
ましてやそれ以外を見ても怪しいのは、庭先や裏庭だろうか?
どちらにしても一度絞る必要があると考えたグリムは、まずは集合している一階を見て行くことにした。
「一度重点的に一階を見て回ろう。それが手っ取り早いよ」
「そうですね、フェスタさん、頑張って探しましょう!」
「むぅ~、やるって言ったけど、私、探す能力低いよ?」
フェスタは面倒そうにしていた。
だけどグリムはフェスタのやる気を底上げさせる。
「大丈夫だよ。確かに一階は滅茶苦茶広いけど、フェスタの機動力なら私とDの観察眼を合わせれば見つけられないものは無いよ」
「本当?」
「もちろんだよ。早速この部屋から見てみようか」
そう言うと、リビングを見て回った。
この屋敷に来て数日。このリビングは生活の拠点だ。
とは言え、リビングには古いアンティーク品が多く置いてある。
下手に触ると危ない。それだけじゃない、物が多すぎて見て回るだけで大変だった。
「とりあえずさー、なに探せばいいの?」
「そうだね。本当は違和感なんだけど……」
「違和感だらけですよね」
「そうだね。私達の生活とは縁遠いものばかりだから……」
この屋敷には色んなものが多い。
しかも高級品ばかりで、見慣れない物ばかりだ。
だからこそ、全てに意識が向いてしまう。
何が違和感なのかも明確には分からない中、グリム達の手は動き続けた。
「この時計の針を動かしても……スイッチじゃないか」
「この置物高そう……って、裏になにも無いかー」
「このテーブルの脚に変なものは……付いてないですね」
グリム達の眼光が鋭く光る。
けれど大きな違和感は何もない。
時計の針を回しても、置物の裏を見ても、テーブルやソファーの下を見ても、全く無い。
「うーん。リビングにはなにも無しか。他の部屋も洗ってみよう」
「そうだねー。なーんか、逆に燃えて来た」
グリム達は次の部屋に向かった。
となれば、まずは応接室だ。
「ここが応接室……豪華だね」
『は・い。こ・の・や・し・き・に・は・ほ・と・ん・ど・お・き・や・く・さ・ま・は・こ・ら・れ・ま・せ・ん・で・し・た・け・ど・ま・ん・が・い・ち・に・そ・な・え・よ・う・い・し・て・い・た・ん・で・す』
「なるほどね。ってことは、秘密とかありそうだね」
逆にこういう所にこそ、仕掛けが施されている筈だった。
普段使いしないからこそ、隠せるものを隠しておく。
グリムは思考を切り離して考えると、応接室に設置されたテーブルやチェア、本棚を見て回る。
「グリムー、私達は別の部屋見て来るねー」
「ありがとう。それじゃあフェスタは寝室、Dはキッチンを頼めるかな?」
「OK」
「は、はい。任せ下さい!」
グリムは応接室をくまなく探した。
その間、フェスタとDには他の部屋を任せる。
一番可能性がある場所。それはこう言った特徴的な部屋、そう思うのが妥当だった。
「まあ、なんてことの無い部屋の方がありそうだけどね」
グリムは愚痴を吐きながらも、適宜応接室を見て回る。
しかしこの部屋にもスイッチらしきものは無い。
スキル【観察眼】を使っても【眼光】を鋭くしても、違和感らしき違和感はない。
否、違和感になりそうなものが多すぎて、とにかく目が疲れるんだ。
「ダメだ。全部が手掛かりに見える」
こうなったら感性を一回捨ててみるしかないか。
先入観が邪魔をしているとしか思えず、グリムは一度首を振る。
もう一度応接室を見る時間を確保して、再度扉まで確認するが、何も無いと分かると、首の凝りが気になり始めた。
「ダメだね。この部屋じゃない気がする」
一時間近く応接室を始めとして近くの部屋を見て回った。
しかし何も出て来ず、手掛かりは〇。未だに、シルキーからのヒントもないので、完全な無駄足だった。
「グリムー」
「おっ、フェスタとD。そっちはどうだった?」
そんな中、フェスタとDが戻って来た。
これは期待できそうだ。
グリムは救いを求めるような目を向けるが、残念なことに、二人共落胆だった。
「ダーメ、全然ダメ。手がかりの一つも無いよー」
「こっちもでした。あの、ごめんなさい、グリムさん。私が足を引っ張っちゃって」
「そんなこと無いよ。でもそうか、そうなると残るは……」
グリムは落ち込むDの頭を優しく撫でる。
これは誰も悪くない。グリムもフェスタもDも。シルキーでさえ同じだ。
となれば一体誰にこの怒りを向ければいいのか?
そんなものは何もない。完全に甚だしかった。
「書斎かな?」
「書斎ですか?」
「うん。書斎なら、この間取り図に書いてないような情報も……ん?」
『そ・う・で・す。お・も・い・だ・し・ま・し・た!』
グリムの意識が書斎に向くと、丁度持って来ていたこっくりさんの紙とコインが動く。
シルキーが興奮した様子だった。
一体なに? と思った直後、そこには“ひらがな”を動かすシルキーの姿があった。
「どうしたの、シルキー?」
『お・も・い・だ・し・ま・し・た。た・し・か・あ・の・ひ・わ・た・し・は・し・よ・さ・い・に・い・た・は・ず・で・す』
「そこだ。絶対にそこだよね?」
グリムも興奮してしまった。
シルキーから出た最大のヒント。
それは頼るしかない。完全に綱渡りの中、グリム達は一度書斎に向かった。
きっとそこならなにかある筈。そんな絶対の信頼さえ寄せていた。
少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。
下の方に☆☆☆☆☆があるので、気軽に☆マークをくれると嬉しいです。(面白かったら5つ、面白くなかったら1つと気軽で大丈夫です。☆が多ければ多いほど、個人的には創作意欲が燃えます!)
ブックマークやいいねに感想など、気軽にしていただけると励みになります。
また次のお話も、読んでいただけると嬉しいです。