第145話 資金集めは完璧
次からいよいよ第4章。
毎日投稿の終わりも近いぞ!
「と、いう訳で全員お疲れ様」
「「お疲れ」様でした」
〈《アルカナ》〉はいつもの喫茶店にやって来た。
マスターに頼んで全員同じものを注文すると、店内一番奥の部屋を陣取り、今回のイベントの慰労会を始めた。
「はぁー、達成感あるー」
「そうですね、フェスタさん。グリムさんもそう思いますよね!」
「もちろん。無事に上位入賞は果たせなかったけど、大量のPが手に入ったからね」
グリム達は今回のイベントで頑張った。
そのおかげか、それぞれに大量のPが配分されている。
受取ったP。その合計額は優に百万を超えており、正直財布事情はふはふはだった。
「よーし、このお金でなに買おっかなー」
「フェスタ、無駄遣いは良くないよ」
「むぅ。分かってるよー。と言うより、グリムは買わなすぎだよー」
「別にミニマリストじゃないから安心していいよ。使う時は使うから。今回みたいにね」
グリムはフェスタに無駄遣いを避けるように念押しする。
今回手に入ったPのほとんどはギルドホーム購入の資金になる。
下手に使い過ぎて痛い目を見るのは嫌なのだ。
「ですがグリムさん、最後は惜しかったですよね」
「そうだね、あんなに頑張ったのにね」
グリムは頬杖を付いていた。
Dの声を受けると、首を縦に振る。
「でもさー、あんなに苦戦したモンスターがまさか十万って……安くない?」
フェスタも不満が溜まっていた。
確かにあれだけ苦戦した砂の手を倒して、貰えたポイントが一人分だけ。
しかも十万そこそこで、一切の逆転にならなかった。
「確かにあれだけじゃなんの足しにもならないね」
「でしょー。やっぱり今回の勝ち筋はプレイヤーを襲うことだったんだよー」
「ふぇ、フェスタさん、ちょっと怖いです」
「そうかなー? にしても一位の人、これなに? 百万って、あり得ないスコアなんだけど」
フェスタは自分達のやって来た行いを全て無かったかのように奪い去った上位プレイヤーが許せなかった。
確かにこれだけを見ればそう思っても不思議ではない。
けれどグリムはそうは思わない。実際、二位に滑り込む道筋は残されていたからだ。
「反省に次ぐ反省で悪いけど、私達も二位入りはできたよ」
「ポイント譲渡でしょー? はぁ、忘れたね」
「そうですね。プレイヤーが倒されると、ポイントの半分が倒したプレイヤーに行きますが、譲渡であれば全部受け渡すことができる。そのシステムを使っていれば、今頃は……」
嘆いていても始まらないことだった。
グリム達は誰もが分かっているにもかかわらず、同じことにグルグル落ちる。
「でも私達は強くなれたよ」
「それはそうだねー」
グリムはこの状況を引き合いに掛け、話を一転させる。
話題を変えたことで、真っ先にフェスタが乗ってくれる。
「レベルもちょっとだけ上がって、スキルは全然増えて無いけど……」
「それぞれ見事な立ち回りだったね。モンスターもプレイヤーも、的確に仕留めた」
「だねだね。だから元気出そうよ、D」
一人落ち込んでいるDを励ますように声を上げる。
テンションも同時に駆け上ると、キラキラとした笑みを浮かべた。
けれどDはあまり喜べていないようで、少しだけ落ち込んでいる。
如何やら自分はあまり活躍できなかったことを嘆いているようだ。
「私がもう少しお二人のサポートができていたら」
「いいや、ナイスだったよ」
「そうそう。魔法? 私達は使えないし、砂の手の時だってねー」
グリムとフェスタは戦いの最中、Dのしてくれた活躍を覚えていた。
一つ一つは細かなものだが、積み重ねれば高くなる。
魔法が使えないグリムとフェスタを援護するDの活躍は今回の高ポイントに繋がったのは間違いなかった。
「だから誇っていいよ」
「グリムさん……私、役に立てましたか?」
「充分過ぎるよ。だからこれからも力を貸してくれるかな?」
グリムはスッと手を伸ばした。
するとDは目を丸くする。今にも泣き出しそうな程の嬉々が生まれ、そっとグリムの手を取った。
「はい、頑張ります、グリムさん!」
「うん。フェスタもお願いね」
「任せてー。それじゃあイベントの話はここまでとして、盛大に……イェイ!」
「「乾杯」」
フェスタのコールで改めて乾杯をした。
もはやここにイベントでの反省は無い。
完全な慰労だけが残ると、静かな喫茶店の中、マスターに文句を言われることも無い、楽しい一幕を送るのだった。
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