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第132話 ゴライム遺跡に行こう

いよいよ7日目。

舞台になるのは、砂の遺跡?

 ゴールドラッシュ・イベント最終日。

 七日目となると緊張感が高まってしまう。

 それもそのはず、今日で結果が出るのだ。

 ここまでの頑張りを無碍にしないためにも、一層励み最後まで頑張りたいと心が跳ねる。


「グリムさん、とりあえずここからは……」

「馬車に乗り換えだよ」


 フォンスの街で、グリム達〈《アルカナ》〉は馬車乗り場にやって来ていた。

 ここから目指すゴライム遺跡までは遠い。

 正直徒歩での移動はできないので、せめて行きだけでも馬車を利用することになった。


「うーん、楽しみだねー」

「それはフェスタだけでしょ?」

「そっかなー? にしても、人が多くない?」


 フェスタは周囲を見回した。確かに一望すると、プレイヤーの数がやけに多い。

 馬車を利用するということは遠出をするのと同じだ。

 とは言え、こうも日にちが被るとなると、何だか嫌な予感がする。


「もしかするとここにいるプレイヤー全員が敵かも知れないね」

「「敵っ!?」」


 フェスタとDは挙動不審な態度になると、キョロキョロと周囲を見回し始める。

 あまりにも浮ついた行動にグリムは墓穴を掘ったと思った。

 すると周囲のプレイヤー達の視線が一堂に集まる。

 挙動不審な態度を取られ、グリム達は困惑した。


「うわぁ。目が怖い……」

「仕方ないよ。この状況を招いたのは私達だからね」

「ぐ、グリムさんは私達を利用したんですか!」

「そう思ってくれてもいいけど、これで一つ確信したよ。ほら見て」


 グリムが指を指すと、周囲のプレイヤー達が一斉に馬車の中に消えた。

 それぞれ別々の方角に行く馬車で、やはり狙いは当たっていた。


「このイベント、最終日も全力な人が多いみたいだね。それぞれ別々の場所に行って、ポイントが競合しないように画策している」

「ほ、本当だー」

「おまけに見てよ。向かう行先は、砂に関係する場所が多いよ」


 グリムは馬車に掲げられた行先を見てピンと来た。

 園ほとんどには共通して砂の要素がある。

 恐らくだが、一発逆転を狙っているのは間違いがなく、グリムの想像は概ね当たっている。


「砂に関係ってことはさー、この馬車もそうだよね?」

「うん。あくまで経由地だから書いてはいないけどね」


 グリム達が目指すゴライム遺跡も砂には関係している。

 しかしあからさまな砂に関するワードは含まれておらず、ましてや直通は存在していない。

 そのせいでグリム達が乗り込もうとしている馬車に人影はほとんどなく、快調に行けそうで何よりだった。


「お客さん、そろそろ行きますよ?」


 すると馬車の御者台で手綱を持っていたNPCの男性がグリム達を誘った。

 如何やらそろそろ出発のようで、グリム達も馬車へと乗り込む。

 そこまで狭くは無い荷車に腰を預けると、壁にピタリと背中が直角に伸びる。


「結構硬いね」

「仕方ないよー。これが一番安かったんだよー?」

「と言うよりもこの馬車しかありませんでしたよね」


 Dの言う通り、選択肢なんて最初から用意されていない。

 グリム達は三人で独占する形で荷車に残ると、NPCの男性が馬を走らせるのを待った。


「それじゃあ行きますよ!」


 パシュン!


 手綱捌きで馬を的確に走らせると、グリム達の乗った馬車は勢いよく走り出す。

 これは景気もいい。いい風が吹いていると、グリムは荷車の中で黄昏ていた。


「あの、グリムさん?」

「なに、D」


 するとDは躊躇いながらグリムに声を掛けた。

 何やら質問があるようで、グリムは視線を預ける。

 真横で体重をグリムに掛けていたDは悪いと思いピシッとなると、気になっていたことを訊ねた。


「あの。グリムさんはリュウマさんの情報を何処まで……」

「鵜呑みにしているのかって? そんなの大半……とは言い難いね。私は掻い摘んだ中で、状況が情報に的確に嵌る部分を選び取っただけだよ」


 グリムはリュウマがもたらしてくれた情報の全てを信じてはいない。

 むしろそこから噛み砕ける一部だけに目を向けていた。

 あくまでも情報とはその程度のもので、真実を知っているのは本人だけ。

 つまらない情報の群れからいち早く脱出してみせたグリムは、自身の見解を軽く口にした。


「私は“砂の魔人”これがゴライム遺跡の砂岩に関係していると思ったんだよ」

「砂岩ですか……」

「そうだね。となればモンスターの種類もある程度は絞れるよね?」

「そ、それは確かに……」


 ここではあえて口にしない。ネタバレになってしまうからだ。

 グリムは口を噤みつつ、更に必要な情報を配った。


「“黄金”これはゴールドラッシュ・イベントに関連しているけれど、それだけじゃないと思う」

「どういうこと?」

「とうもこうもないよ。場所は遺跡、となればなにがある?」

「ん? ……別に黄金は無いでしょ?」


 確かにそれではあまりにもお粗末だ。遺跡だからと言って黄金は存在していない。

 むしろ黄金=遺跡と言うよりも、発送的には鉱山の方が近い。

 では何があるのか。答えは単純、考古学的な観点だ。


「考古学的には遺跡は黄金そのものだよ」

「「考古学?」」


 あまりにもピンと来ていない。もちろんグリムもそうだ。

 けれど考古学的な観点を武器にしてフィルターに掛け直してみると、自然と遺跡の存在は黄金に匹敵する。

 これは辺りなら、相当の遺跡か考古学ましてやオカルトに興味のある人が運営の中に入るのかもしれない。そう疑ってしまうレベルでの憶測情報で、グリムも何となくで繋ぎ合わせていた。


「正直な話、これ以上にヒントは無いよ」

「えー、じゃあ確信もなにも無いよね?」

「そうだよ。でも二人はそんな私を信用した。違う?」

「違いません! 私はいつだって、グリムさんを信用しています。もちろん信頼だって」


 Dは熱かった。グリムが思う以上に熱かった。

 圧倒的な壁の高さを感じると、やや表情が硬くなる。

 グリムはDの頭をソッと撫でて落ち着かせると、改めて言葉を吐く。


「とにかく答えは自分達の目で見ることだ。それ以外に答えは無いよ」

「大人だなー。まあ、ここまで来た以上引き返せないけどね」


 壁を背もたれにフェスタはだらける。

 箱の中に納められたグリム達は備え付けの木製の窓を開ける。

 簡素な造り。その奥に広がるのは無数の景色。これから向かうのがどんな砂の惑星か、グリム達は用心しつつも黄昏てしまうのだった。

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