第131話 リュウマの見解
新キャラを唐突に登場!
私もよく分かってません。
デンショバトを後にすると、グリム達は男性プレイヤーに出会った。
それはよく見知った人物で、グリムは首を捻る。
こんな時間に出会うなんて珍しかった。
「リュウマ、今日は早いね」
「よぉ、グリム。相変わらず悩んでるんか?」
やけにフランクに、そして大胆に話す男性。
NPCではなく、もっぱらプレイヤー。
グリム達とフレンド登録をしているリュウマと言う和装姿の剣士だった。
「少しだけね。それよりリュウマはどうしてこんな所に?」
「ん? 別に特に意味はねぇけど、たまたまぶらついてたら、浮かない顔をしたグリム達が見えたんで声を掛けてみたんじゃ」
「なるほどね。それじゃあ話を聞いてくれるんだね」
「まあ、役に立てるならな」
リュウマは人付き合いがとても上手い。
現実ではどんな仕事をしているのかは分からないが、相変わらずのポジティブ思考で様々な相談に乗るらしい。
おまけに雰囲気は好青年でもある。
そのおかげか顔も広く情報網も持っている。
だからだろうか。今の状況においてはもってこいの人物になった。
「それじゃあちなみにだけど、リュウマは知ってる、このイベント?」
グリムはそう言うと、例のイベントについて訊ねた。
身長差のあるリュウマは腰を折ると、グリムの手にしている紙を凝視。
書かれている文章を読み解くと、「あー、これか」ととりあえず上々の反応を見せた。
「もちろん知ってるぞ。これがどうかしたんか?」
「私達、今ゴールドラッシュ・イベントでかなり高水準な順位に位置付けているんだけど、このまま闇雲に敵プレイヤー達を返り討ちにしていてもポイントが稼げないんだよ」
「だからさー、ここはドカンと一発みたいな?」
「で、です!」
各々が最低限の言葉数でリュウマに事情を伝える。
もちろんリュウマにとってはくだらないかも知れず、グリム達にとっても何よりも重要な事項でもない。
だからここで何もなければ明日の最終日を平穏で迎えるのだが、如何やらリュウマは何か勘付いていた。
「ふーん、儂がゴールドラッシュ・イベントに参加してないから知らんが、確かにこのイベントについては臭いな」
「臭いってことは、目測が?」
「見解と言って欲しいな。まあ、大したことじゃねえけど、ここから少し行った先に砂岩エリアがある。ちょっとした遺跡跡になっていて、確か名前はゴライム遺跡だったか?」
ゴライム遺跡。そんな場所、聞いたこともなければ行ってこともない。見当の中にすら無く、グリム達はハッとなる。
何故ならばその場所が砂岩であること。
砂岩ということは、それだけで“砂の魔人”の意味が色濃くなった。
「他には?」
「他って、そうじゃな? 根拠してはゴライム遺跡は全体が砂になってるらしい。とはいえ、砂岩だから決して足は取られない筈……」
「それじゃあ地盤はしっかりしてるんだ」
地盤が整っているのなら、暴れても問題はない。
他にもリュウマは砂岩ではあるものの、緑もあることを教えてくれる。かなり環境的には良さそうだ。
「モンスターは?」
「モンスターについては知らんな。あまり人が立ち入る場所じゃないらしいからの」
「美味しくないんだ」
「ってことになるな」
プレイヤーの出入りが少ない。
運営が仕掛けを施すには打ってつけの場所。
これはさらに臭くなると、リュウマはグリムが欲しがる情報を箇条で取り出した。
「他にもな……」
「ある程度で良いから教えて。情報はいくらあってもいいからね」
ますます情報がひっきりなしになる。
苛烈さた無数に情報の中、グリムは選び取ることに慎重になると、口角を上げて喜んでいた。
「ゴライム遺跡……そこは目ぼしいね」
「じゃろ? まあ、確実性がある訳じゃ無いからな。あんまり信用はするなよ」
「とか言いつつ、信用して欲しそうだけど?」
「気付いたか! じゃあ信用はしておいてくれ。とは言っても、今からじゃな」
リュウマは視線を逸らした。
如何にも今からでは無理そう。
その理由はマップを開いて地図を見ると一目瞭然。圧倒的に距離があり、少しどころではなかった。流石に今からでは無理な距離だ。
「ぐ、グリムさん、流石に今からでは……」
「そうだね。じゃあ明日にでも行ってみようか」
「賛成! リュウマ、ありがとうー」
「なんでもないよ。それじゃあ」
リュウマは特に利を求めていなかった。
颯爽と手を振って何処かへと去っていく。
流石にカッコ良すぎる。誰もがそう思う中、グリムは腕を組むと、「ゴライム遺跡……スライム?」など口走る。頭の中では、スライム系の魔人かと思っていた。
「どんなモンスターなのかな?」
「さあね。少なくともスライムじゃ……」
「ないでしょ」
「だろうね」
フェスタには一蹴されてしまう。
完全にボケを潰されると、グリムはグサリとなる。
酸っぱくなった唇を窄めると、グリムは気を取り直す。
「まあとにかく、私達もできることをするだけだよ」
ここはカッコつけて水に流す。
その背中は煌めいていて、フェスタもDも一心な視線と熱さを受け取って信頼を露わにするのだった。
何も迷わない。いや、迷ってる暇はなく、できることをするだけだった。
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