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第109話 ゲームらしい作戦

久々にパソコンでUPしました。

 金背鰭リゲードは逃げ出してしまった。

 体を交互に捩じりながら、ゆっくり崖をよじ登る。


 もちろんグリム達も追いかけることにした。

 ここまでやって逃がす気は無いのだ。

 

 けれどそう上手く行かなかった。

グリム達の周りには危険物がゴロゴロ転がっていたからだ。


「グリムさん、問題ってなんですか?」

「見えてるでしょ? あれだよ、あれ」


 グリムが指を指すと、そこにはボンバー岩がズラリ転がっている。

 正直近付くのはあまりにも危険だ。危険に自分から首を突っ込むのと同じで、如何したらいいのか選択の余地を迫られる。


 とは言えそんなものは最初から意味がない。

 グリム達は追いかけると決めた以上追いかけるのは確定。

 しかも回り道をしている時間は無い。

 そんなことをしている間に逃げられて無駄足だ。


 それが分かっているからか、フェスタは逃げなかった。

 逃げずに一歩前に足を出すと、転がる岩を避けようとした。


「フェスタ、もしかして真っ直ぐ行くの?」

「もっちろーん。行くに決まってるでしょ? こんなの最短距離で、GOGOGO!」


 フェスタは岩を避けつつ崖を登ってみようと心掛けた。

 けれどグリムもDも慌ててしまう。

 服が擦れたり、大剣の切っ先が岩に触れて危なかった。


 ゴツン! ゴツン、ゴトン、ガツン! ガリッ!


 ゴツンと完全にぶつかった。

 それからゴトンやガツンとけたたましく体が擦れる。

 加えてガリッと岩が削れ、ボロボロと岩の表面が削れる。


「あれ? もしかして当たって……うわぁ!」


 フェスタも無作為に突っ走っていたが、岩に当たると流石に止まらざるを得なくなる。

 すると踵を返した瞬間、背中に背負った〈戦車の大剣槍〉が近くの岩にぶつかった。

 その瞬間、嫌な音が聞こえた。どんな音かは分からないが、少なくともフェスタには伝わってしまい、急いで盾のように武器を構えると、同時に爆発が起こった。


 グォーーーーーーーーーーーーーーーーン!


 砂埃が巻き上がり、近くの岩もまとめて爆散する。

 細かくて鋭い尖った小石が散乱すると、カツンカツンと金属質の何かに当たる。


 酷い状況だ。一瞬で惨事になってしまった。

 周りで見ていたグリムとDも視線が集まると、フェスタの身を案じる。

 流石に近距離過ぎて、相当なダメージを負っているはずだ。


「フェスタ!?」

「だ、大丈夫……じゃないですよね? フェスタさん!」


 グリムとDは慎重にフェスタに歩み寄る。

 ボンバー岩を掻い潜り、砂埃の中に飛び込む。

 よくは見えない。視界は最悪で良好ではないが、金属質の武器を盾のように地面に突き立てており、その後ろに小さな人影が蹲っていた。

 如何やらフェスタは無事らしい。


「げほっげほっ! ううっ、危なかったー」


 フェスタは砂埃に負けていなかった。

 軽くあしらわれるようなことはなく、砂埃が引くと、ようやく顔を上げられる。

 そこにやって来たのはグリムとD。二人の顔を見て少しホッとする。


「あっ、グリムー、Dー、大丈夫―?」

「大丈夫はフェスタの方だよ。大丈夫、フェスタ?」

「もっちろん大丈夫だよ? でも、無作為に崖を登ろう登ろうはヤバいよね? またさっきみたいにボンダー岩にやられるかも。しかも、今度はさっきよりもヤバい威力……で?」


 フェスタは熱弁して自分の身に起きたことを伝える。

 確かにヤバいし、それすら簡単に通り越してしまうそうだ。


 とは言えこのままこんな危険地帯に居るのも如何かと思う。

 ここは素直に金背鰭リゲードを追いかけるのを止める。もしくは回り道をする。

 その方が効率が良さそう。グリムは無言の間に答えをまとめるも、何故かフェスタは渋い表情を浮かべ、物思いに耽っている。何かあるのだろうか?


「どうするんですか、グリムさん?」

「うん、私は引き返して……と思ったけど、フェスタはなにかあるんだよね。考え」


 グリムの直感は冴え渡っていた。

 きっと上手く行く。そんな気がしてならず、グリムは無茶苦茶を言うであろうフェスタの背中を押す。

 正直渋っている。多分ヤバめなことをしようとしていた。

 それでもフェスタに問いかけてみた。


「うーん、例えばなんだけどさー、爆風で飛ぶとか有りかな?」

「「ん?」」

「だからさー、爆風で飛ぶとか有りかなーって」


 ここに来て突飛な回答が飛び出す。

 一体何を言っているのか分からない。と言うか理解しようとしてはいけない。

 要はあれだ。ボンバー岩の爆発、これを大きくして爆風を巻き起こし、その勢いを使って空を飛ぼうとか、あまりにもゲームチックな発想だった。


 そもそもそんなことが可能なのだろうか? 

 確かに理屈を考えればとんでもない風圧で背中を押されることはある。

 その力を利用すればホバーだってできる。

 けれど爆風で代用するなどあまりにも危険……と言うより、バンバー岩一つじゃ無理だ。


「いや、それは軽率かな」

「グリムさん?」


 考えてみればいい。ここはボンバー岩だらけの渓谷。

 それなら使わない手はない。たくさんのボンバー岩を連鎖させれば、相当な爆風を起こしてくれることは間違いないはずなのだ。


 それなら試してみる価値は……正直ない。

 けれど直感が疼いている。これはやるべきだろうか?

 グリムは非常に悩みあぐねてしまい、二、三分程度意識が吹き飛ぶ。

 けれどそのおかげか行動を取る勇気が出た。ここは試す価値ありだ。失敗しても、バンバー岩がある程度潰せるならそれはそれで越したことはないと見た。


「よしやってみよう!」

「ぐ、グリムさん!? 本当にやるんですか?」

「もちろんやるよ。Dはどうする?」

「えっと、や、やります! グリムさんがやるなら、やります!」


 Dは心配していた。もちろんそれが正しい判断だ。

 グリムはDの意見も尊重する。

 とは言え選択を担うのはそれぞれだったが、Dはグリムに流される。

 それも如何かと思いつつ、優しく頭を撫でると、Dは薄っすら目を閉じて喜んでくれた。


「グリムさん、くすぐったいです~」

「そう? それなら止めるけど」

「あ、ま、待ってください!」

「どっちなの?」


 Dは喜んでくれたが、反応を見て止めてしまった。

 するとDは寂しそうで、物欲しげな顔になる。

 何故だろう。くすぐったいなら止めればいいのにと、グリムは思ってしまった。


「グリムって本当、女心分からないんだなー」


 何故かフェスタになまめかしい目をされてしまった。

 グリムは心外を通り越し、正直に言えば分からなかった。

 反抗する気も一切なく、首を捻って時間が過ぎた。

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