第107話 ワニのようなトカゲ
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「まさかこの先に行くことになるなんて……」
グリムは頭を抱えて嘆いてしまった。
周囲一面には大きめの岩がゴロゴロ転がっている。
一体この中の幾つがボンバー岩なのか分からない。
爆発に巻き込まれて酷い目に遭いたくないので、少し気を張って精神が敏感になっていた。
「そうだグリムー」
「どうしたの、フェスタ?」
「フェスタはあの爆発する岩以外になにかあると思う?」
あまりにも漠然としていた。
全くと言っていいほど話が進展しない。
何を以って何かあるのと思うなのか、グリムは少し考えてみる。
しかし考える方が馬鹿らしいので、グリムはお手上げなジェスチャーをしてみる。
「さぁね。私にも分からないよ」
「そうなの?」
「そうだよ。それに私には、フェスタの方が気になるけどね」
「私がー? なーんにも面白いことはないよ?」
フェスタは首を捻っていた。
一体何に付いてなのか考えているようで、完全に分かっていない様子だ。
Dも下唇に人差し指を当てると、「何かありましたか?」と尋ねた。
「ほら、よく考えてみよ。フェスタがあの爆発に巻き込まれて無事だったこと」
「そう言えば!」
グリムの抱いた謎はフェスタがここに居ること全てだった。
あれだけの爆発に巻き込まれ、HPが減った程度で収まっていた。
どんな技を使ったのか、フェスタの技術が気になった。
「あー、そんなことかー。簡単だよ」
「簡単? もしかして、【ジャスト回避】を使ったのかな?」
「正解! あの爆発が起こった瞬間、素早く後ろにバックステップしたんだよねー。おかげでほぼノーダメ。どうどう? 結構凄いでしょー」
「結構どころか凄いと思うよ。だけどノーダメではないかな、ほぼの段階で」
グリムは余計なことに気が付いてしまった。
せっかくカッコよく決めたはずが、一瞬で台無しになった。
「あはは」とフェスタが笑って誤魔化すと、ポンポングリムの肩を叩いた。
「まあまあ、細かいことは気にしないのー。それじゃあ行ってみよー」
「行ってみるって……仕方ないね」
正直この先に行って、何があるのか分からなかった。
この辺りに見えるのは、ボンバー岩だけ。
他にモンスターの存在は無く、スキルを定期的にON&OFFで使ってみるのだが、モンスターどころかプレイヤーもNPCの影も無かった。
「もしかしてこの渓谷は、この岩意外にいないのかもね」
「えー、もうちょっと探してみようよー」
「もちろん探してはみるよ。でも……Dも感じるよね?」
「はい。この辺りにモンスターの気配は……ん?」
グリムはDにも同意を委ねた。
けれどDは表情を歪める。
ピタッと足を止めると、目だけが右往左往する。
「D、なにかいるの?」
「多分ですけど、なにかいます。私達のことを見ているような……」
Dの不穏な発言にグリムとフェスタは足を止めた。
目付きが異様に鋭くなり、警戒心を露わにする。
確かに誰かに見られているような威圧感はあるが、Dのようには上手く行かない。
だからこそ、ジッと立ち尽くすのではなく、すぐにでも武器を構えられるように腕を回した。
「見ているってことは警戒した方がいいかもね」
「うーん。どんなモンスターなのかな?」
「あまり期待したくはないけどね」
警戒するグリムとは対照的にフェスタは笑顔になった。
如何やらモンスターと戦えることにワクワクしていた。
どんなモンスターが来るのか、ニヤニヤが止まらない。
「グリムさん!」
「えっ!?」
バコーーーーーーーーーーーーーーーン!
急にボンバー岩が爆発した。
黒い煙幕が巻き起こると、土を巻き上げ砂埃で視界を奪う。
グリム達は咄嗟に目元を覆った。
おかげで視力が低下することはなかったが、Dは砂埃の中に何かを捉えた。
「うわぁ!? なんで急に爆発が」
「分かりません。ですが今一瞬なにか……」
一体何が見えたのか、グリムはDに訊ねた。
するとDのスキル【気配察知】が反応。モンスターが移動しているようで、首をキョロキョロ向けた。
ボンバー岩のせいでまともに動けない中、そのボンバー岩を利用してグリム達を焦らせるモンスター。かなり知能が高いのか、相手をするのは面倒そうだった。
「フェスタ、周りは爆発物ばかりだから気を付けてね」
「分かってるってー。んじゃさー、まずは砂埃の中から引きずり出すよー」
フェスタは体を軸にして半分だけ捻った。
まさかアニメみたいなことをしようとしているのか。
流石にゲームの中だからと言ってそう上手くはいかない。
グリムは一瞬だけ当たり前のことに囚われるが、すぐに首を振る。
そんな当たり前に囚われていたらゲームは面白くない。ここはフェスタに任せる。
「フェスタ、やっていいよ!」
「GOサインが出たねー。それじゃあ早速、えいやっ!」
フェスタは【納剣】状態から一気に【抜剣】を発動。
スキルのインターバルの差を上手く理解した技を駆使し、砂埃を拭き飛ばす。
完全に力技で武器が幅広かつ、STR(筋力)のパラメータが高く無ければできない技だったが、フェスタは簡単にやってみせた。
「それっそれっそれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! おっと、よっとっと」
フェスタは膝を壊しながら大剣を振り回す。
目を回してしまったのか、足がフラフラしてしまう。
完全に力を出し尽くした様子で、お疲れさまだった。
けれどおかげで砂埃は晴れた。
「ぜぇぜぇぜぇぜぇ……あー、疲れた」
「お疲れさま、フェスタ。でもおかげで砂は晴れたよ」
「あはは、それは良かったよー。んで、モンスターは?」
疲れてはいるがモンスターは気になるらしい。
視線を前方に飛ばすと、お目当てのモンスターの姿。
しかし形が少し不気味で、グリム達は固まってしまう。
そこに居たのはワニのような強靭な顎を持っていた。
けれど体がトカゲのように薄っぺらい。
ワニの頭とトカゲの体を持ったモンスターがグリム達のことを見つめており、鋭い牙をガチガチ噛み合わせていた。
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