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第106話 ボンバー岩

久々にランキングを見ました。

SF日間59位……もっと伸ばしたい!

 グリム達は岩場までやって来た。

 場所はフォンスの近くで、窪地になっている。

 一応名前も付けられており、爆岩渓谷と呼ばれている場所で、一見して岩場ではあるのだが、周りを山に囲まれていた。だから渓谷なのだが、グリム達は気を引き締める。


「それじゃあ行ってみようか」

「そうだねー。それじゃあ、行ってみよう!」


 グリム達は爆岩渓谷の中に足を踏み入れた。

 目を見回してモンスターを探してみる。

 この辺りにはどんなモンスターが居るのか。

 見たところ、他のプレイヤーは居ないらしいので、穴場スポットではある。


「グリムさん、どんなモンスターがいるんでしょうか?」

「どんなモンスターか? うーん、岩場だからその場の雰囲気に合わせたモンスターだろうね。例えば、岩系のモンスターかな?」


 グリムは歩きながら考えてみた。

 とりあえずスキル【観察眼】を使って周囲の情報を集める。


 爆岩渓谷は大きめの岩がゴロゴロと転がっていた。

 たくさん落ちているというのだろうか。

 まるでその場の空気に溶け込むよう、運営側が意図的に置いたもののように感じる。


 グリムは【看破】のスキルも使ってみた。

 これを使えば隠れているモンスターも見つけることができるはず。

 そう思って歩いてみたが、何故か反応しない。


「モンスターの姿が無い」

「本当ですね。私も手伝います!」

「お願い、D」


 Dはグリムの負担を軽減するため、スキル【気配察知】を発動した。

 周囲に敵意を持っているモンスターでも居れば一発で感知ができる。

 とは言えグリムの【看破】ですら発見できないんだ。そう簡単に見つかるはずもないだろう。


 そう思って歩いていると、急にDは立ち止まった。

 目を見開いていて、何か見つけた様子。

 視線が剥いている方を追いかけてみると、そこには大きめの岩があった。周囲に転がる他の岩と同じもののようで、特に不思議なところはない。


「D、あの岩が気になるの?」

「は、はい。なんだか殺気のようなものを感じた気がして……」

「「殺気?」」


 グリムとフェスタは決して鈍感ではない。

 あくまでも周囲から飛び散る気配に関してではあるのだが、Dには分かっていてグリム達に分からないのはおかしい。

 もしかすると、特定のスキルが無ければ見破れない?

 グリムは【看破】を今一度発動すると、何かを看破しようとするが、何故か弾かれてしまう。


「おかしいな。【看破】で見破れない。まるで弾かれているみたいだよ?」

「ってことはモンスター的ななにかってことだね。んじゃやってみることはただ一つだよー」


 フェスタは覚悟が決まりに決まっていた。

 スタスタと警戒心が無いと言うべきか、完全に無防備。

 岩に近付いてみると、背中に背負っていた〈戦車の大剣槍〉を取り出し、膝を落として構えて見せた。


「ん?」

「ふぇ、フェスタさん?」


 グリムとDはフェスタの突飛でありつつも、いつも通りの行動力に驚く。

 何と返せば正解か分からないのだが、絶対にマズいことをしようとしていた。

 きっとあの岩を叩くんだ。叩いてモンスターを飛び出させるのだ。

 そこまで分かっているのだが、一応確認は取ってみる。


「フェスタ、もしかしなくてもその岩を……」

「ぶっ叩くよ。叩いて破壊してみれば、きっと反撃して来るでしょー?」

「それはそうだろうけど、危険じゃない?」

「そうですよ。止めた方が良いですよ。触らぬ神に祟りなしです!」


 グリムは嫌な予感がした。だからその直感を伝える。

 Dも難しい言葉を使って追い風を起こしてくれた。

 けれどフェスタは言うことを聴かない。むしろ楽しそうな愉悦顔を浮かべると、ニヤニヤしながらこう言った。


「えー、絶対楽しそうでしょー?」


 目がキラキラしていた。好奇心に囚われた子供だった。

 こうなったからには止められない。

 それに加え、このままスタスタ歩いているだけだと何も変化は起きない。


 グリムは悩まされた。ワクワクが止まらないフェスタを引き止めるのは難しい。

 腕を組んで五秒程度悩んでみるが、逆に悩むのがバカらしくなった。


 グリムはDの腕を掴んだ。急なことでDは顔を赤くする。

 そのままグリムはDを連れて安全圏まで退避すると、腕を振り上げフェスタに伝えた。


「分かった。それじゃあフェスタ、叩いていいよ!」

「OK。ってか、離れすぎじゃない?」

「なにが起こるか分からないでしょ? そのための保険だよ」

「保険……それって私がやられること前提なような気も……まあ、いっか」


 フェスタはなんだか疎外感を感じてしまう。

 だけど「まあ、いっか」の一言で諦めが付いてしまった。

 こうなった以上、今更止める選択肢はないので、大剣を振り上げると、一気に岩へと叩き付ける。覚悟からの行動があまりにもテンポ重視で怖かったが、叩き付けられた岩は大剣を喰らってもびくともしなかった。


「あ、あれ?」

「なにも起きませんよ、グリムさん」

「そうだね。それならいいんだけど……ん!?」



 グリムはスキル【看破】を使ってみた。

 なにも無ければいいのだがと、追加の保険として使っていた。

 最初は何も起きていないので安心する。けれどそれも一瞬で、すぐさま大剣に叩かれた岩に異変が生じた。内側から溢れ出ようとするエネルギーに押され、突然岩が動き出す。


「フェスタ、逃げて!」

「えっ!?」


 グリムは咄嗟にフェスタに叫んだ。

 声を張り上げていたおかげか、フェスタの耳には伝わる。

 けれど間に合わなかった。


 バコーーーーーーーーーーーーーーーン!


 突然の爆発音に耳が破壊されそうだった。

 痛い、痛すぎる。鼓膜が潰れたかとDは思った。

 しかしすぐさまグリムの様子を確認しようと視線を飛ばすと、左腕で左の耳を守ると、唇を噛んだままフェスタの無事に注力した。


「「フェスタ(さん)!!」」


 グリムとDは叫んでいた。

 フェスタの姿は見えない。突然の爆発音と共に巻き上がった黒い煙に包まれていた。

 完全に煙幕の中に閉じ込められてしまい、無事か安否すら分からないので不安が募る。


「マズいですよグリムさん! フェスタさんが」

「落ち着いてD。確かにマズい状況だけど、フェスタの気配は感じ取れるよね?」

「えっ……あっ、はい!」


 グリムに諭され、Dは【気配察知】を発動。すると煙の中から生命体の気配を感じ取る。

 グリム自身も【看破】を使い、煙幕の中を覗き込む。

 そこにはフェスタの存在があり、二人して安堵する。


「「よかった」」

「けふっけふっ! よかったじゃないよ、酷い目に遭ったー」


 煙幕が晴れると、安堵していたグリム達にフェスタはツッコむ。

 全身に擦り傷が走りダメージエフェクトが発生し、HPもかなり削れていた。

 それに加えて、全身が黒くなっている。炭を丸ごと喰らったみたいで、何よりも髪が爆発していた。


「けほっけほっ! ほんと、今のモンスターなに? 定番のあれって奴?」

「定番のあれって?」

「あれはあれだよ。爆発する系の岩」


 フェスタはクルンと振り返ってみた。

 すると先程叩いた岩が無くなっている。

 如何やら自爆したみたいで、この爆発とダメージはその証拠だ。


「マジで酷い目に遭ったよー」

「嘆かわしいね。でもその前に回復ポーション」


 グリムは回復ポーションを手渡す。

 瓶の蓋になっているコルクを外すと、一気に飲み干す。

 HPが徐々に回復し、全身が真っ黒になったままだがHPだけは戻って行く。


「それにしても今のモンスター、危ないですよね」

「そうだね。それがもしも……」

「多分いると思うよー。ほら、さっきの岩と同じくらいの岩がゴロゴロ転がってる。ここは穴場かもしれないけど、その分危険が付き物ってことだねー」


 親指で合図すると、この先も爆発する岩=ボンバー岩で埋め尽くされていた。

 あまりにも危険すぎる。それこそ見えている地雷に突っ込みようなものだった。

 正直に言えば引き返すのがベスト。実際、フェスタもその筋を伝える。


「どうする、帰る?」

「それもいいね。でも見えている罠は怖くないよ」

「流石はグリムさんです! 少し怖いですけど、私はグリムさんに付いていきます」

「だよねー。んじゃ行ってみよーっと」

「うん、そこは帰りましょうって素直に言ってくれると嬉しかったんだけどね」


 グリムはあくまで自分の意見を発しただけで、本当は帰りたかった。

 だけどフェスタもDも拳を握っており、帰れる雰囲気はない。

 完全に墓穴を掘ったと、開口の一言に嘆くしかなかった。

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