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第105話 中間ポイントランキング(第一回ゴールドラッシュ)

 四日目。今日もモンスターを倒してポイント集めだ。

 ここまでで集めたポイントは十五万。なかなか好調なペースを維持できているが、まだまだ油断はできない。

 もしかすると他のプレイヤー達はポイントを荒稼ぎしているかもしれないのだ。

 そうなると、このままのペースじゃ間に合わない。となれば対人戦も検討かと思ったが、とりあえず今日のところはモンスターを狩ることにした。


「グリムー。今日はなにを狩るのー?」

「そうだね。岩場に行ってみよう」

「岩場ですか?」

「うん。まだ行ったことはないよね。もしかしたらの可能性に懸けることになるけどね」


 グリム達は行きつけの喫茶店で話し込んでいた。

 いつものように一番奥の席。店の中はほとんど人も居ないので、店からしてみれば閑古鳥が鳴いているだろうが、グリム達にとっては都合が良かった。


 こうして普通に話し込めるのがありがたい。

 いつ何処で情報を盗み聞きされているのか分からないのだ。

 その危険性をこうして安全な空間で維持できるのがこれ以上に無い幸福だった。


「どうする? 行ってみる?」


 グリムはフェスタに促してみる。

 すると迷いなんて言葉も後悔なんてつまらない感傷も無い。

 フェスタはにこやかに笑みを浮かべ、親指を立てていた。


「行くに決まってるよー。そんな面白いことないでしょー?」

「そっか。分かってた。それじゃあDは?」

「行きます!」

「即答だね。あまり雰囲気に流されないようにね」


 Dも即答だった。あまりに早すぎて怖くなる。

 軽くだが注意をして置くと、とりあえず今日の狩場は決まる。

 

けれどもフェスタは首を捻っていた。

何故かと問われれば分かりやすく、急に岩場と言うワードが出たのか不自然なのだ。

フェスタは軽く追及をしてくる。


「ねえねえグリムー。なんで岩場なのー?」

「そうですよね。どうして岩場なんて場所を提案したんですか?」

「ん? やっぱり気になるよね。確かに安全とはかけ離れているけれど、それは……」


 グリムは教えてくれた人の名前を言おうとした。

 けれどそれより先に声が上がった。


「私が教えてあげたんだよ」


 喫茶店の奥から声がした。そこに立つのは白髪の髭を生やした初老の男性。

 彼はNPCではなく、この店を経営するプレイヤー。

 おそらくは高齢なのだろうが、その辺りには首を突っ込まず、初老の男性=パカマラはこう言った。


「「パカマラさん!?」」

「この店に立ち寄ってくれる数少ない常連さんだからね。私は冒険には行かないけれど、仕入れに際に聞いた情報くらいは提供できるよ」


 声が渋い。そして振る舞いも渋い。

 味があると感じられ、グリム達は聞いているだけで納得した。

 それから教えて貰えたことに、改めて感謝をする。


「「「ありがとうございます!」」」

「うん。若い子達の力に慣れて嬉しいよ。できれば……」

「「「コーヒーお願いします! (ミルク多めでお願いします)」」」


 グリム達は対価を支払うことにした。

 この雰囲気、決して逃れられる気がしない。

 グリム達は空気を読むと、その場に煽られてしまうのだった。


「でも安いものだよね。これくらいの対価」

「そうだねー。って、グリムなにか来たよー」

「えっ?」


 フェスタはそんなことを呟いた。

 何が来たのだろか? フェスタが視線の端を見ている。

 如何やら何かメッセージが来たようで、グリムはメニューを確認した。

 するとアナウンスを切っていたせいか、イベントバーが光っていて、電球のマークが点灯していた。本当に何かメッセージが来たらしい。


「なんだろう。ちょっと見てみようか」

「えっとー、ポイントの中間発表だね」

「そうみたいだね。どれどれ、ポイントの総数は……はっ!?」


 グリムは声を上げてしまった。

 それもそのはずでランキングの上位を抜粋すると以下の通りだった。



[第一回ゴールドラッシュ・イベントポイント中間発表]


1位:59潰し238   ポイント:324,000

2位:ヘンジンホッグ ポイント:213,000

3位:@五角     ポイント:200,100

4位:ファイア    ポイント:196,000

5位:ペインハンター ポイント:185,000

etc……



 あり得ないことになっていた。

 何があり得ないのか。それは1位のポイントの総数だ。

 グリム達でさえ上位には入れていない。けれどそれは二位以下が接戦だからなのだが、一位だけが余りにも突出している。

 何かしたとしか考えられず、咄嗟に口元を抑えてしまう。


「グリムー。これってどういうこと?」

「どうと言われてもね、ちょっと困るよ。流石にバグか集計ミスと思いたいけど」

「で、ですよね。もしかして、不正と言う可能性も……」

「無いとは言えないけど、流石に信じたくは無いね。しかもこの名前、あまりにもbotの臭いが強いよ」


 勝手なことを言うのは自由だ。

 けれども流石にこれはない。

 どんな手品を使ったのか。まさか運営の強固なファイアウォールを攻略でもしたのだろうか? あまりにも謎が残る中、グリム達はとんだ強敵に頭を悩ませる。


「どうする? もしもバグ技使いだったら」

「その時は運営が対処するんだろうね。とりあえず私達はポイントを稼ぐこと。それだけを考えよう。無駄なことは無視するのが一番だからね」


 グリムは一旦冷静に静観することを選んだ。

 無駄なことはしない。余計なことは考えない。

 まずは目の前のことに全力を注ぐと、とりあえずコーヒーが来るのを待つのだった。

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