第103話 やっぱりゴールドなスライムがいい
イベントもいよいよ三日目。
グリム達はかなり良いペースでポイントを稼いでいた。
今のところポイントの総数は十三万ポイント。
ここまでモンスターを倒したり、アイテムを手に入れて稼いでいた。
プレイヤーを一人も倒さずにこれだけ稼げたのはなかなかのもので、自分達だけで褒めてしまう。
「なんか良い調子だよねー」
「そうだね。これだけ稼げれば、少しは資金にもなるよ」
「でももっと頑張るんですよね、グリムさん!」
「もちろん。まだまだイベントは始まったばかりだからね。ここからが本番だよ」
グリム達はまだまだやる気に満ちていた。
ここからが楽しくなりそうで仕方ないと、グリムも内心ではフェスタには及ばないが、多少なりともワクワクしていた。
「と言うことで、今日は草原に来てみたけど」
「うーん。気持ちいいねー。草原って感じだよー」
「草原だからね。遮蔽物は無いみたいだから、風が心地よいよ」
グリムはつまらない返しをしてしまった。
フェスタはジッとグリムのことを見ていた。
けれどすぐに「まあいっか」と冷たい返答をすると、グリムは「ごめん」と返した。
そんなやりとりにDは目を奪われると、ポンと手を叩いた。
「それじゃあ皆さん行きましょう! 今日はなにを狩るんですか?」
「そうだね。それじゃあ定番のスライムでも狩りに行こうか」
「スライム!? ってことはゴールドスライムだねー。待ってました!」
フェスタはやけに張り切っていた。
如何やらスライムが相手となると話しが変わるらしい。
それもそのはず、大抵のゲームでスライムは強い。もしくは圧倒的に弱い。
だけどこの世界のスライムは固体によって、種類によって、強さが変わるから、バトルがしたくて仕方がない、フェスタにとっては格好の獲物だった。
「それじゃあ早速行こう! すぐ行こう! さっさと倒そう!」
フェスタはそう言うと、草原を駆けて行く。
まるで子供のようだった。フェスタの楽しそうな表情と背中から溢れ出る好奇心に、グリムとDは置いて行かれる。
「楽しそうですね、フェスタさん」
「そうだね。フェスタは好奇心旺盛だから。それじゃあ私達も追いかけようか」
「は、はい!」
グリムとDもフェスタを追いかけることにした。
この草原はかなり広い。おまけに涼しくて過ごしやすい。
モンスターにとってもかなり住みやすい環境のようで、グリム達も期待していた。
きっとたくさんのモンスターが居る。少し小高い坂を超えると、フェスタの叫び声が上がった。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ドシーン!
地面がけたたましい振動を伝い、耳の奥を劈いた。
けれどそれは地震とかではない。
如何やら大剣を振り下ろし、モンスターを盛大に仕留めたらしい。
「ふぅ、まずは一匹」
「流石だねフェスタ。まさか……と言うか、なんと言うのか」
「凄いですねフェスタさん。もうスライムを倒しちゃってますよ!」
坂の上から下を覗き込むと、フェスタが早速暴れていた。
まずは見つけたスライムを倒しており、大剣が地面に突き刺さっていた。
荒々しい豪快な姿に、グリムもDもカッコ良さ半分だった。
「ん? おーいグリムー、D。早く手伝ってよー」
「そうだね。行こうかD」
「は、はい。えっと、うわぁ!」
まずは一匹スライムを倒し、額の汗を拭いた。
すると視線の先が、まだ小高い坂の上にあるグリム達に向く。
見てないで手伝って欲しいとのことで手招きをすると、グリムとDも手伝いに向かう。
すると思った以上の急な坂だった。
下り坂でグリムは何の気なしに下りるのだが、Dはと言うと足がもつれて転びそうになる。
焦った顔を見せると、そのまま前転をしそうになった。
「おっとっと。大丈夫?」
「あ、ありがとうございます。その、えっと……」
グリムは転びそうだったDを支えた。
そのまま勢いで坂を下ると、Dは何故か顔が赤くなっていた。
恥ずかしいのだろうか? それ以上のことはグリムは気が付けなかったが、フェスタは茶化した。
「グリムー、慣れてるねー」
「慣れてるの意味が分からないけど、通常種ばっかりだね」
「うん。これじゃあポイントが稼げないよー」
フェスタはスライムを倒していた。
青い通常のスライムのようで、草原の緑にスライムの青い粘液が飛び散っていた。
あまりにも散々な光景で、グリムもDも唖然とする。
「そうだよねー。どうせなら、ゴールドなスライムがいいよねー」
「ゴールドなスライム? ああ、ゴールドスライムね。確かにポイントを稼ぐには丁度良いよ」
フェスタもイベントのことを忘れていなかった。
今回のイベントはゴールド系のモンスターを倒すこと。倒せばもちろんポイントもたくさん手には入る。だけどなかなか見つからず悪戦苦闘だ。
なのでスライムの中でも、ゴールド系。ゴールドスライムと戦ってみたかった。
その想いが前面に出ると、キョロキョロ周囲に視線を飛ばす。
「そうなんだよー。でも少ないよねー」
「そうだね。普通はそうだけど、今はイベント中だから、少しは出現確率も上がっているんじゃないかな?」
「と言うことは、私達はゴールドスライムを探すんですよね」
Dはグリム達の意見に賛同した。
目がキラキラしていてとんでもない好奇心を醸し出す。
グリムもその意見に煽られると、周囲を見回すことにした。
「それじゃあ私も頑張って探してみようかな」
「頼んだよー。グリムの目が頼りなんだからさー」
「それは他人事だね。でもやれることはやってみるよ」
グリムは完全に頼り切りにされてしまった。
流石に如何かと思ったが、それも一瞬だった。
目に力を入れると、早速スキルでゴールドスライムを探すことにした。
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