第102話 火廻り鳥が燃える
グリム達は走っていた。
とにかく力の限りゴールドラットから逃げるため走っていた。
息が荒くなる。それもそのはずスタミナ概念はリアルの通りだ。
グリムとフェスタは大丈夫そうだが、Dは息を荒くしている。
そう長くは走れないはずだ。
グリムはチラ見をしてDのことを気遣うことにした。
「D、私に掴まって」
「は、はい!」
グリムはDの腕を掴んだ。
そのまま引き寄せると、必要なスタミナを代わりに肩代わりする。
「フェスタ、作戦があるんだけど」
「なになに? なにしたらいいのー?」
「このまま逃げ続けてもいつかは捕まるよ。だからやりたいことを試させて」
「いいよいいよ。全然やってみよう!」
フェスタは走りながら親指を立てた。
にやけた笑みを浮かべると、グリムのことを信頼してくれていると分かる。
「それじゃあ、行くよ!」
グリムは目の前を明るく照らしてくれる灯回り鳥を見つめた。
腕を伸ばしてランタンを掴むと、そのまま遠心力を利用する。
スッと振り返りざま、大量のゴールドラットの群れを睨んだ。
「これでも喰らっててよ」
グリムは灯回り鳥には悪いが投げ付けた。
するとランタンが着弾し、大量のゴールドラットを巻き込む。
灯回り鳥は全身が砕け散り、そのまま炎が燃え広がる。
「「「キュッキュッ!」」」
ゴールドラット達は泣き叫んだ。
絶叫を上げると、そのまま炎の中に溶けて消える。
あまりにも残酷な光景に流石に見てられない。
「ぐ、グリムさん!? これってもしかして……」
「そうだよ。だけど流石に全部は無理だったね」
「グリム大胆だねー!」
ゴールドラット達は炎に飲まれていた。
苦しみ声を荒げている。
耳障りに聞こえてしまい、Dは後悔からグッと唇を噛む。
グリムはDのことを思った。
だからだろう。腕を引き寄せて全速力で走る。
炎の障壁は少ししか効果がない。全てのゴールドラットを倒せたわけじゃないのだ。
「みんな、このまま逃げるよ。急ぐからね」
「は、はい! 分かりました」
「それじゃあ全速力でGOGOGOー!」
フェスタは腕を突き挙げた。
グリム達は急ぎ洞窟の外へ逃げるためとにかく足を動かす。
すると外の陽射しが見えて来た。
あと少し。あと少しなのだが、ゴールドラットはまだ追いかけて来る。
ちょっと振り返ってみた。するとまだ何匹か追いかけて来る。
「流石に全部は撒けなかったかな。でも、私達の勝ちだよ!」
グリム達は洞窟の外へと出た。
追いかけていたゴールドラットはグリム達を追うのを止める。
光が嫌いなのか、ゴールドラット達は嫌がって洞窟の外には出て来なかった。
「はぁはぁ……なんとかなったね」
「うんうん。いやー、疲れたー」
グリム達は洞窟の外でグデーンとなっていた。
けれど何とか逃げ出すことは成功する。
けれどDは両腕を地面に付くと、「はぁはぁ」と息を荒くしている。
「た、助かったんですよね?」
「うん。無事に助かったよ」
グリムはDの背中を擦った。
酷く疲れていて疲労困憊具合が伝わる。
少し休ませた方が良い。そう思い水筒をインベントリから取り出す。
「D、水飲める?」
「あっ、ありがとう、ございます」
Dは水筒を受け取ると、ゆっくりと水を飲み始めた。
相当疲れが溜まっているのか、グリムはDの背中を擦りながらだった。
「ふはぁー。ありがとうございます、グリムさん」
「大丈夫だよ。それにしても疲れたよね」
「そうそう。でもさ、無事に金もたっくさん手には入ったよね!」
「そうだね。これを換金……は、イベントが終わってからでいいかな」
「はい! 私はグリムさんに従います!」
大量のゴールドラットには追われてしまったけれど、金は目的の量以上手には入った。
ポイントも万全で、残りの五日も頑張れそう。
グリム達はそう思い、まだまだやれると感じた。
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