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第100話 これぞゴールドラッシュ

記念すべき、第100話です。

これからもよろしくお願いします。

 ゴランダ鉱山開発地はイベントのエリア内にあった。

 鉱山開発地と言うことで、剥き出しの山肌が視界に飛び込む。

 木々が上部には生い茂っていて自然に溶け込んではいるものの、あまりにも人工的に作られたであろう入口と木枠が見えてしまった。


 如何やらここらしい。グリム達は無言で納得する。

 ここまでで枯れるだけのモンスターを狩りまくった。

 そのおかげか、ポイントも占めて一万五千ポイントにまで到達。

 あまりのコスパの良さに、グリム達はここに来た目的を見失いかける。


「ここまでなにしに来たんだっけー?」

「金を採掘しに来たんだよ」

「だよねー。覚えてたけどさー、ポイント……」

「それは言わない方が良いよ。それじゃあ行こうか」

「はい!」


 グリム達はまだハキハキとしていたDに背中を押される。

 そのおかげで元気が出て来た。

 早速木枠を潜り、ゴランダ鉱山開発地へと足を踏み入れると、真っ暗闇が広がっていた。


「うわぁ、真ー暗だねー」

「そうだね。これじゃあなにも見えないから、これを使ってみようか」


 グリムはインベントリの中からランタンを取り出す。

 かと思えばただのランタンではない。

 グリムの周りをクルクルと飛び回ると、爛々と灯りを放っていた。


「なんですか、このランタン! すっごく可愛いですね」

「デンショバトで買っておいたものだよ」

「確か灯回り鳥だったかなー? 確か一回しか使えない代物なんだよねー」

「つまりは使い捨てだね。だけど便利だから使ってみないと」


 使ってみた感想はかなり満足だった。

 そのおかげか、真っ暗闇はぼんやりとだが明るい。

 このまま先に行ってみる。そうすれば開発が途中で途絶えた跡があるらしい。


「この先みたいだね」

「手付かずな感じかなー?」

「多分ね。さてと、そろそろの筈なんだけど……あっ、見えて来たね」


 洞窟の中を歩いてみると、人が人工的に掘り進め、途中で諦めたと思しき場所まで辿り着けた。

 如何にも岩肌が剥き出しになっている。ボロボロと崩れた後に、噛み砕いたように細かくされた小さな岩。

 虫も何匹か這っていて、今も侵食が続いているようだった。


「本当に手付かずですね。というよりも、中途半端になってますよ?」

「ここで添え木が足りなくなったのかな。この先は危険みたいだね」


 ここまでは木枠で添え木がされていた。

 そのおかげか、少し怖くもあったが整備された洞窟感があった。

 だけどこの先には木枠の数が圧倒的に少ない。添え木が切れたか、途中で開発を断念したのか、どちからだと一瞬で理解できる。


「ここまで太い一本道を通って来ましたけど、この先は複雑になっていますね」

「そうだね。こういう時はこれを使ってみようよ」


 Dの言う通り、ここまではほとんど一本道だった。

 もっとも分かれ道は幾つもあった。

 けれど太い一本の道を進めば正解だと分かった。何故なら木枠の添え木の量が尋常ではなかったからだ。


 けれどこの先は迷路になっている。

 N:ブルに書き起こして貰った地図があるが、途中で断念されている。

 つまりある程度までしか行けない。それ以上の危険を冒す意味は無いのだ。


 だけど闇雲に進んでも良いことはない。

 もしも言って金が無ければ危険を踏んだだけの無駄足になる。

 そこで少しでもリスクを軽減するために、インベントリからグリムはアイテムを取り出した。


「それはなんですか?」

「デンショバトで売り付けられたものだよ。水脈を辿って鉱石を探す、いわゆるダウジングマシンらしいよ」


 長い棒の先が短く折ってあった。

 往年のダウジングマシンで、良く昔のアニメには登場していたらしい。

 けれど今の時代これよりも優れた道具がある。

 だけどこの世界にはそんな画期的な代物は無いため、これで頑張るしかない。


「これで本当に見つかるのかなー?」

「それは分からないけれど、信じてみる価値はあるよ。実際反応はしているみたいだから」

「うわぁー。これ信じていいやつかなー?」


 正直真偽は分かれるところだった。

 けれど使ってみる手前、鼻かっら信じていないのはつまらない。

 それにこの世界では現実のものとは効果や効力が変わっている可能性もある。

 雑魚アイテムではないことを祈りつつ、水脈と一緒に金を探して歩いた。


「空しいなー。なーんにも起きないよー?」

「そうだね。だけど希望を捨てるのは早くないかな?」

「希望……そういう概念なのかな?」

「あはは、確かにそれとは少し違う……ん?」


 グリムはダウジングマシンを持って歩いていたが、ふと立ち止まった。

 ダウジングマシンに変化があった。なにか強い者に引き寄せられる感覚だ。

 腕にジットリと磁石でも引き寄せる感覚がある中、視線とダウジングマシンは壁を向いていた。


「グリムさん! 急に棒が開きましたよ」

「反応があったみたいだね」


 Dはついに変化が起きたので興奮する。

 グリムとフェスタもダウジングマシンがようやく力を発揮したと思い嬉しくなる。

 けれど問題はその先だった。


「この先かな?」

「この先って、ただの壁だよ? 開けてはいるけどさー」


 目の前の壁はあくまでも壁でしかなかった。

 開けた道を作るために開けられたようで、一応木枠で添え木は施されている。

 けれどそれ以上でもそれ以下でもない。ただの壁は壁でしかなかった。


「開けているのならここを掘ってみればいいかな。よいっしょっと!」


 インベントリからツルハシを取り出した。

 壁に強く打ち付けてみると、ボロッと岩肌が崩れる。

 なにか落ちてきた、そう思ってみてみると、グリムの表情が確信に変わった。


「やっぱり。ここが鉱脈だね」

「「どういうこと? えっ!?」


 グリムの手の中に納まっていたのは金だった。

 しかも金の原石。鉱石としての価値もあるサイズで、観れば壁の奥はまだまだ金色で一杯だ。


「どう言うことー? なんで壁なんかにさー」

「なんでもなにもないよ。この壁の奥に金の鉱脈があるんだ。けれどそこを壁として利用してしまったせいで見落としてしまった。だからこの金鉱山は手付かずのまま放置されてしまったんだよ」


 グリムの解釈はこうだった。

 元々ここに金が眠っていて開発をしようとした。けれど金が掘れども見つからず諦めてしまった。

 だけど実際には水脈の近く、壁の中に埋まっていた。少しでも掘る場所を変えていればまた歴史は変っていたのにと、想像をするだけで当時の人達がNPCを抜きにして悲しく思えて仕方ない。


 けれど今回は見事に見つかったものだ。もしかすると知らぬ間にLUKが上がるスキルでも取っていたのだろうか? 

 そう思いスキルを確認するが何もない。では何故? ただの偶然かとも思うが、一つ見忘れてはいけないものがある。

 もしかするとこのダウジングマシンが凄いのでは? グリムは勝手正解と安堵した。

 

「ですがなんだか勿体ないですね」

「そうだね。だけどここにある金を全部手に入れればなにかに使えるかもしれないよ。少なくともお金にはなる」


 確かにここを開発しようとして途中で断念してしまった人達の気持ちになれば勿体ない。

 だけどグリム達にとってはその限りではない。

 好都合中の好都合で、この機会を逃す手はない。


「よーし、それじゃあ早速掘り尽くすぞー!」

「そうだね。Dは周囲の警戒をお願い。ここは私達に任せて」

「は、はい。警戒頑張ります!」


 Dは周囲を血眼で警戒する。

 そこまでする必要は無いのにと、グリムは表情をはにかんだ。

 けれどこれで金が採掘できると嬉しくなり、ポイントも一気に十万まで稼げたのだった。

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