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ラザに生まれて  作者: Aju


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13 テント

 テント村に人が増えてきました。

 テントに入れない人たちが増えてきて、外で毛布だけをかぶって寝ている家族もいるようです。


 青い服の人たちがテントを増やしているようですが、追いつかない、と大人たちは言っています。

 他所よそからひなんしてきた大人たちが話しているのを聞いて、シャーラはたくさんの家が爆弾で壊れてしまったらしいことを知りました。

 せんしゃもたくさん入ってきて、家を押しつぶしていった——と、大人たちが話しているのを聞きました。


 シャーラの家も押しつぶされてしまったのでしょうか。

 メイヤおばあさんはどうしたでしょうか。

 シャーラは気になりますが、見に行くこともできません。

 ジドードさんとも会えません。


 手を振りまわして怒っている大人の人もよく見かけるようになってきました。

 シャーラに怒っているわけではないのだけれど、少し怖いな、とシャーラは思います。


 ミツキはシャーラとよく遊んでくれます。

 ぬいぐるみのクマさんの名前は、マックルと言うそうです。

 シャーラもおばあちゃんの作ってくれたメイルとサラムを紹介しました。

 マックルとメイルとサラムの3人で森の中で遊ぶのです。


 森はミツキとシャーラで考え出した空想の森です。

 そこにはいろんな色の花が咲いていて、小川があって、オリーブの木もいっぱいあります。

 マックルと仲良しの小鳥さんもやってきて歌を歌います。

 子どもにだけ見える青い色の小鳥さんです。


 ある日、2人の子どもを連れた女の人が、シャーラのお母さんに声をかけました。

「テントの支柱だけ貸してくれませんか?」


 2人の子どものお母さんなんでしょうか。

 1人はシャーラと同じくらいの年恰好の男の子で、もう1人はシャーラよりも小さい女の子でした。

「毛布を引っ掛けて、その下でこの子たちを眠らせたいんです。」

 こくれんの人にテントに入れるよう頼んでいるらしいのですが、壁の門が閉ざされてしまってテントが持ち込めないんだそうです。


「ええ、ええ。構いませんよ。」

とお母さんは言いました。

 シャーラは、うちのテントに入れてあげることはできないんだろうか、と思いました。

 だって、外で毛布1枚じゃ、やっぱり風が冷たいと思います。


「よかったら、うちのテントに一緒に入りませんか? 狭いけど。」

 マルラ姉ちゃんが言いました。

 やっぱりマルラ姉ちゃんは優しいです。

「ちょっと待っててくださいね。今片付けるから。」


 マルラ姉ちゃんがテントの中に入ると、お母さんが小声で言いました。

「シジが持ってきた食料が見つかったら、どうするのよ?」

「真ん中であの人たちの毛布を吊るして2つに分ける。向こう半分を使ってもらうんだ。あれはこっち側に隠しておけばいい。」

 マルラ姉ちゃんはそう言って、シジ兄ちゃんの持ってきた食べ物をテントの半分側に置いて、毛布でしっかり隠しました。


 テントが半分になりました。

 入り口も半分こになりました。

 ちょっと狭いけど、シャーラは友だちが増えたみたいで楽しいです。


 男の子はクトゥルといい、シャーラと同じ年です。

 女の子はマーユといって、シャーラより2つ下で、いつもお母さんにくっついています。

 でも、シャーラがテントの入り口でメイルとサラムと一緒になって呼びかけると、もそもそとはってテントの入り口まで出てきました。


「こんにちは。ぼくはサラム。」

「わたしはメイル。」

 シャーラが人形を両手に持って、声音を変えて自己紹介させます。

「んで、わたしはシャーラ。お友だちになってね。」

 マーユがニコッと笑ってくれました。


 クトゥルはマハド兄ちゃんとすぐ仲良くなりました。



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― 新着の感想 ―
[一言] 非常時でも優しいシャーラの一家。 どうかその優しさが自分たちの首を絞めることになりませんように。 一話読み進める毎にハラハラしてしまいます……。 Ajuさん、ありがとうございました。
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