5話 畑の横に池がありました。
畑に魔力を送り終わり振り返る際に、畑から少し離れた所に小さな池があるのが見えた。
「かーしゃま あれは池ですか?」
「そうよ お魚さんを育ててるの」
「おしゃかなさん? 食べるのですか?」
「大きくなったら食べるの」
どうやら庭の池で養殖をしているようだ。
これは使えるなと思ったが、母様や父様に魔力について話をする必要があるだろう。
畑に水をやるのに池の水をくむのは不自然だ。ならば別の手段で魔力に満ちた水やるしかないのだが、これが問題だ。
土や川や池等に沢山の魔力が満ちまた、大気中の魔素量も満ちていると、その土地から精霊が生まれてくるのだ。
この池に魔力を送り続けて行くうちに水の精霊が生まれるだろう。
まぁ魔力操作し目に魔力を送る等しないと精霊は見えないだろうが、その精霊に畑の水やりを頼むとしたら別だ。
今すぐ伝える必要はないだろうが、というよりも今伝えても信じてもらえないだろう。
そう思いながら池に向かって走って行った。
「あっ! そうちゃん 何するの? あぶないわよ!」
「大丈夫です おしゃかなさんにも早く大きく育ってって、おまじないするのですっ!」
そう言って、池の畔で屈むと池の中に手を入れ水中に魔力を供給して魔力を圧縮し定着させていった。
畑と池の両方に魔力供給をしたせいか、体内の魔力のほとんどを使い果たしてしまった。
文字の読み書きの練習から畑と池への魔力供給は1歳児には少しハードだったようだ。
そう思い疲れた体を起こして母様の元へ歩いていくと、それに気が付いたのか心配そうに抱き上げてくれた。
「そうちゃん 疲れたの? お家に帰ってお休みしましょうか?」
「はい 少し疲れました。 寝る前にモモタロウのえほんを読んで欲しいです」
「本当にそうちゃん モモタロウのお話好きねぇ」
「はいっ!」
このモモタロウのお話は前世でのオーガに似た魔物を退治する話だ。前世でも英雄の話が大好きで、成人したのち男爵である父の元を離れ冒険者となったのだ。 しかし、自分の実力を過信し妻を失ってしまった。この話を聞くたびに若かった頃の自分を思い出し過信しない様にと気を引き締める。
そんな事を考えているといつの間にか裏口から家の中に入っていて布団に寝かせてくれながらモモタロウのお話を聞かせてくれるのを聞いているうちに意識を失った。
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