17話 夜道の散歩です。
「 まるでダンジョンだな 」
そう父様が言った。
最近、悪霊が増えている事に不安を感じ両親連れて夜のパトロールがここ最近の日課である。まぁすれ違う人から見ると仲良い親子の散歩にしか見えないだろう。しかしクラーテに周囲を照らしてもらいつつ悪霊を退治する為の準備として3枚の『ピュリフィケーション』の魔法陣のカードをそれぞれ装備している。クラーテの光はかなり強く放たないと魔力視の出来ない一般人には見えない為、不自然さはないだろう。 しかし、まるでダンジョンを探検している様な頻度で悪霊が出てくるのだ。今日既に3匹も退治しているのだ。
「 しかし、昼間は対して居ないのに夜になると、大量に出てくるのねぇ 」
「 はい 悪霊は人のネガティブな感情が周囲の魔素と結びついて魔力化して生まれるんですが、悪霊化した魔力ってのは光に弱いですので光の余りない夜中だと活動しやすいんでしょう 」
「 そんなものなのか、しかし偶に強いのが混じってるな 」
「 悪霊同士は引き寄せあったりしますから、沢山のネガティブな感情が合わさって自我が芽生えかけてますね 」
そう言いながら歩いているとクラーテの光に照らされてる前方に薄っすらと黒い霧の様なものが浮かんでいるのが見えた。
「 次は俺の番だなっ! 」
父様の方を見ると既に手のひらに持っていた魔法陣のカードへ魔力を流していて詠唱を開始した。
『 ピュリフィケーション!!! 』
父様の構えた右手の先に魔法陣が浮かび魔法陣から浄化の光の玉が放たれ悪霊へと命中した。そうすると光の玉に浄化された悪霊が消滅した。
「 これで4匹目ね 」
「 しかし、この悪霊に襲われるとどうなるんだ? 」
「 光の魔力は通常の魔力より細胞を活性化するのですが、ネガティブな感情で構成された闇の魔力は逆に不活性化したり病を呼び寄せたりします。 また、取り付いた対象のネガティブな感情を強くさせたりします。 」
「 え~? それって最近世界中で増えてる通り魔事件ってこれが関係してる? 」
「 かもしれませんねぇ 」
「 え~ それってヤバいじゃない 何とかならないの? 」
などと話していると、遠くから女性の悲鳴と争う声が聞こえてきた。
「 え? さっきのフラグだった? 」
「 いや 母様 それよりも、助けに行かないとっ!! 父様 母様 行きましょう! 」
「 よしっ!! 俺は先に行くっ! 亜希は聡一と一緒に後から来いっ!! 」
そう言いながら駆け出す父様の後ろを母様に抱っこされた俺達が追うのだった。
意見、ご感想、ご評価、ブックマーク登録を何卒よろしくお願い致します!