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悪役令嬢は書き換える  作者: 熊猫 カカオ
第一幕 悪役令嬢と平民の暮らし
6/55

悪役令嬢は見覚えがあるそうです


(ジルベルトお兄様...)


流石に知っている声が聞こえて私は顔をあげてしまった。綺麗な黒髪はヴァンビルゼ家の象徴するものだ。そして、私はその顔に見覚えがあった。いや見覚えというレベルではない知っている顔だ。


「お兄様!!どうされたのですか?」


そう言って馬車から身を乗り出した。可愛らしい顔の少女...

私は泣きそうだった。


「ミッシェル!危ないだろう。大丈夫なんともないよ。」


(ミッシェル...)


私の可愛い妹。私のせいで何度も殺された妹。どんな時も最後まで味方でいてくれた妹。

そんな妹が今目の前にいる。元気な姿で。笑顔で。


「シャルねぇちゃん...」


小さくカリーが呟いた頃には、もう私は涙が止まらなかった。カリーが心配そうに見つめる中、私は彼ら元兄弟たちを見ていた。


『シャル...戻りたい?』


私はその言葉にはっとした。

私は何の為にあの家から離れたのか。


(私はもう戻らない...)


彼ら元兄弟たちにとってもそれが最善だろう。


「君たちの方は...君名前はっ!?」


私が顔を上げたことから、ジルベルトと目がバッチリ合ったかと思うと、ジルベルトはどこか驚きや焦りのある表情を見せた。


「シャロル...です。」


「...そうか...シャロル、いや何でもない君たちが無事ならいいんだ。では私たちは失礼するよ。」


そう言いつつも、何か気になることがあるように考え込みながら馬車に乗り、ジルベルトは消え去った。


(まさか...ね。)


ジルベルトが私を知るはずがないと思いつつも、私はどこかもう一度名前で呼ばれたことに喜んでいた。


「まだ未練があるのかな...」


「シャルねぇちゃん!!俺...俺のせいで!」


流石に怖かったのか、カリーは急に泣きじゃくった。


「大丈夫、大丈夫...」


そんなカリーを私は優しく抱き、背をさすった。

_._._._._._._


「シャルねぇちゃん俺もっと強くなる。シャルねぇちゃんが今日俺を守ってくれた様に、俺もいつかシャルねぇちゃんを守れるようになるから。だから...だからそれまで待ってろよ!」


帰り道カリーは急にそんなことを言った。

その背が私にはとても力強く感じて、涙ぐみそうになった。


「あーやっぱ未練なんてなかったぁー」


私はそう街並みの隙間から見えている夕日に向かっていた叫んだ。


「未練?」


「ううん...何でもない、待ってるよカリー。私を守ってくれるその日を...」


私はそう言ってカリーに満円の笑みを送った。

_._._._._._._


「いい匂いがする...うちからだ!!」


家の前まで行くとどうやら食事の用意をしてくれているようで、とてもいい匂いがした。


「「シチューだ!!」」


私とカリーは声を揃える様にそういうと、5階まで走り出した。


朝より疲れているはずの体は、不思議と朝の時より軽やかで、息も上がらず家に着いた。


(あれ?息が上がらない!)


『だからー』


「「ただいま」」


エトの話は本当に本当に気になるのだが、今の私にとってはシチューの方が大切だった。


『もーーーーー!!!』


「おかえりー!」

「おかえりなさい。」


台所には母さんのソリアとエンディーが並んで料理をしていた。

ちょうど完成するようで、もう盛り付けの段階に入っていた。


私とカリーはその盛り付け終わった皿をテーブルへと並べて居るとそこにもう1人帰って来る人がいた。


「ただいまー!!」


元気に入ってきた大柄な男は、父さんであるドムリだった。


「父さんおかえりー!!」


元気に私もそう返すと、急に私を抱き上げた。


「今日もうちの娘は可愛いなー」


そのまま顔をスリスリされそうになるのを手で阻止し、私は下ろしてもらった。

ドムリは悲しそうにしつつも今度はカリーの頭をワシャワシャと撫で、これまたカリーに嫌がられていた。


(いいなーやっぱこういうの...)


和やかな家族団欒がとても暖かく感じる夜だった。


(おやすみ...)


大きなベットに家族全員が寝っ転がる形で私は眠りについ...


『寝かせるかボケーーーーーー!』


エトの声が頭に響き私はぱっちり目を開けた。


(なっ何でしょう?)


『何でしょうじゃないわよ!あれだけ私の事ほっといて...っで聞くの?聞かないの?』


(えっ何の話...)


『...はいじゃもーいですぅー』


(待って待って嘘だから!!お願いです!聞かせてください!)


エトが可愛く拗ねている情景が見えつつも私は、そう丁寧にお願いした。


『よろしい...でもやっぱ声だけじゃ話ずらいから〜』


パチンッ


指を鳴らす音と共に私の視界は暗転し、次に目を開けると何度も来たあの野原にいた。


何やらシャルちゃんの知らないところで物語が進んでいそうな予感が...まぁまたそれもお楽しみに( *¯ ꒳¯*)

よしっじゃー面白かったらブクマと★5つよろしくお願いします!!



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― 新着の感想 ―
[良い点] シャロルの家族に対する思いが繊細に表現されていて、素晴らしいです。シャロルの家族が2組…。心の葛藤がよく伝わりました。 カリーが馬車に轢かれなくてホッとしました。まさに間一髪。御者さんが気…
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