悪役令嬢は名前を呼ばれるそうです
久しぶりに出てくるキャラ
エリオット・ウィル・ハイルツェン:王子、19歳
イアンツィー・ガべ・ドレッディーン:ドレッディーン家長男、神官長、魔法の塔創設者(予定)、19
リリアーネ・レダ:光の巫女、15歳
獗獄薊: 獗獄家二女、柊風の双子の妹、17歳
クリアス・マキュリ・ドレッディーン:イアンツィーの父、44歳
「シャロル...」
エリオットはまた、そう呟いてしまった。その声は、誰にも届くことなく、エリオットしかいない執務室に消えていった。
(はぁ....またあの女が思い浮かぶ)
夢に出てくる黒髪の少女、と街で出会ったあの黒髪の女は同一人物だと、エリオットは決めつけていた。
「ふっこの前は、イアンで、試験日には何故か薊といたしな...」
一体シャロルという人物が何者なのか、エリオットは気になって来ていた。
そして何故、自分の中にある筈もないシャロルとの記憶があるのかも。
「学校には主席で合格、か...」
エリオットは生徒会長特権で、次期一年である者達の答案を見ていると、シャロルの回答用紙を見つけた。
「ますます誰なのか気になるな…シャロル。新学期が楽しみだ。」
コンコン...
「入れ。」
エリオットは入室の許可を出すと、入ってきたのは友人であるイアンツィーと見知らぬ白銀髪の少女、そしてその後ろには、少女への嫌悪感を隠すことの無い薊の姿があった。
「イアンツィーか、どうしたんだ?」
「実は...」
イアンツィーは白銀髪の少女をちらりと見て、あからさまにため息をついた。
普段、穏和なイアンツィーを知っているエリオットは、そんな彼に驚きつつも、そうさせる白銀髪の少女の正体が気になった。
「こちらは、光の巫女であるリリアーネ・レダ様です。」
(リリアーネ....!?)
初めて聞く名前だというのに、何故か知っているような気がした。そして何故か、目の前にいるリリアーネと目が合うと、ぞわりと悪寒がした。
「エリオット殿下?どうかされましたか?」
イアンツィーは心配そうにエリオットを覗いていた。一方のリリアーネは、エリオットの事などそもそも気がついておらず、終始キョロキョロとしていた。
「あぁ大丈夫だ。それで?その光の巫女が現れるという神託はだいぶ前に聞いたが...」
「はいっ!!そうですっ王子様。私が光の巫女に選ばれたリリアーネですっ!!」
イアンツィーが応えようとしていた所を、押しのけ話してくるリリアーネに、さすがのエリオットも少し顔をしかめてしまった。しかし、そんな状況にリリアーネが気がつく筈もなく、ニコニコとエリオットに笑いかけていた。
後ろに立っている、薊は今にも殺してやろうかという殺気をリリアーネにぶつけていた。
(これが普段からなら、イアンのため息の理由も分かるな…)
「それで、結局ここには何の用なんだ?」
「....リリアーネ様の裏口入学のお願いです。」
「えっ!?」
そんな事だろうと思っていたエリオットだったが、本人であるリリアーネはそんなこととは知らずにここへ来たらしい。
「なっなんでですか?!神官長様、絶対入れると言ってたじゃないですか?!」
「それは、リリアーネ様がちゃんと勉強すればのお話です。聞いたところ、試験中に居眠り、したそうじゃありませんか。」
クリアス譲りの、凍りつくような笑みに、リリアーネもさすがにやばいと感じた。
(こんな馬鹿を学校に入れられるか....)
そんな事を内心思ってしまうエリオットだったが、顔はいつもの無表情のままにしていた。
「分かった。光の巫女は初めての場所で来るのにも疲れたのではないか?ここからはイアンツィーと話すので休んではどうか。」
リリアーネのことよりも、イアンツィーと普通に話したかったエリオットは、遠回しに帰れと言ってしまった。
「かしこまりました。リリアーネ様ではお先にお帰り頂けますか?」
イアンツィーもその意図に気がついたようで、リリアーネに分かりやすく伝えた。
「でもっ!?」
「リリアーネ様...。」
「分かりました。」
自分の話をするであろう場所から出たくないとリリアーネは思ったかもしれないが、イアンツィーの笑顔にそんなことは言えなかった。
「では薊、よろしくお願いします。」
薊嫌そうな顔をさらに深めるも、小さく「御意」とリリアーネに続いて出ていった。
1本にするには長かったのでまた次回です
面白かったらブクマと★5つよろしくお願いします
m(*_ _)m




