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三話

ダンの乗る荷馬車は損傷は少なかった。重要な荷物を乗せていて護衛も手厚くしておいた。だからこそ、二つ目の荷馬車があれだけ酷く襲われたのだろう。

俺が助けた青年はジェイといい、ダンの補佐をしているらしい。ジェイが一つ目の荷馬車、俺とダンが幌の無くなった二つ目の荷馬車に乗り込んで出発した。


「アンタはどこから来たんだ?相当の手練れと見たが、組合では見たことがないぞ」

「俺は…田舎から出てきたんだ」

「はっはっは!なるほど、相当な田舎だったんだな。よし、色々教えてやろう!」


何とか誤魔化せたようだ。森の中から来たと言っても信じてもらえないだろうしな。

ダンは大きな商会を営んでおり、取り引きのためにバンブルに向かっていた途中で、さっきの男達に襲われたらしい。


「コイツらは盗賊としてバンブルの警備隊に突き出す。身元調査までしてくれるだろう」


男達は縄で括られてダンの雇っていた護衛たちに引っ張られている。痛みで目を覚ました者もいるが、案外大人しい。


「それはそうと、アンタは傭兵組合か探索者組合に所属した方がいいな」

「なんだそれは?」

「よし、じゃあ組合の事から教えてやるよ」


組合とは様々な職種の者を取りまとめる一つの大きな連合らしい。ダンは商人組合に籍を置いているし、雇っている護衛達は傭兵組合に籍を置いているという。


「組合に所属しておけば依頼を受けたり金を預かって貰えたり、得が多いんだ。例えば傭兵組合ならオレ達が依頼した護衛の任務を職員が受注し、適している護衛達はその依頼を受けることができる。身元も判明しているから裏切った場合もすぐに処罰が下るって訳だ。安全に仕事を受けられるし依頼もできる。合理的さ」

「なるほど。先程も言っていたが傭兵や探索者?は何か違うのだろうか」

「傭兵は主に護衛任務だな。あとはモンスターの討伐をすることもある。探索者は薬草とかアイテムの確保が主だ。アイテムを確保する為にモンスターの討伐をする事もある。…そういえばよ、アンタ魔法使えるだろ」


ダンが顔を近づけてくる。魔法を使えるという意味をこめて首を縦に振った。


「やっぱりな。あの幌の壊し方といい銃を持っていた男の飛ばされ方といい、どう考えても素手じゃ無理だ。多分風魔法だろう?」

「ああ。一番楽だからな」

「他にも使えるってワケか。だったら、魔法士組合にも所属した方がいいぞ」


魔法士組合は魔法が使える人間の組合で、魔法を使えるなら所属できるらしい。薬草を使った薬や新しい魔法の開発、なかには傭兵と一緒に魔法士に護衛を頼むケースもあるという。


「かなり自由なんだな」

「そうだな。どこに所属したいか決まったらオレに言ってくれ、仲介してやるよ」

「ダン…どうしてそこまでしてくれるんだ?オレは身元が判明している訳でもない、裏切られたら終わりだろう。普通はもっと警戒するはずだ」


力を持つ者を敬遠する人間が多いのは魔王だった時にもよく見た光景だ。ダンの行動は無防備といってもいいくらい俺を警戒する様子は無い。


「そんなことを考えていたのか。…グレン、アンタは見返りがあるかも分からない状況で助けてくれただろう。あのままじゃジェイは今頃死んでいたかもしれねえしオレだってどうなっていたか分からん。だから少なくとも、オレの中では信頼に足る人物だと思っている。それに、助けてもらった恩は返さないとオレの忠義に反する。甘んじて受け入れてくれや」

「…そうか。恩に切ろう。感謝する、ダン」

「気にすんな。ほら、見えてきたぞ。バンブルだ」


馬車から見えた先に、塀に囲まれた町が見えた。




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