深山村の祟り
『深山村の祟り』
クトゥルフ神話trpg専用シナリオ
難易度は不明。
戦闘ありのオリジナルシナリオ。
人数は2~6人を想定
終了時間1~4時間を想定
舞台は深山村という村。
探索者(達)の一人には、大学の頃に(先輩/同級生/後輩)だった金山香織という現在23歳の知り合いがおり、村の祭りで巫女に選ばれたから君も来てほしいと言われる。
・そのPCはこの情報を持っている。
香織は、深山村に高校と大学が無かった為、地元に近い高校を選び、大学は県内の医学部を選択。本当は大学を卒業してからは医者になろうとしていたものの、家の人を説得することができず、大学卒業を期に、深山村へと戻った。
・深山村は10代から20代までの者が少ないものの、子どもや老人は多い。どこを見ても田んぼや木ばかりの田舎で、若い人も全然いない。電波は通じないが、Wi-Fi環境は整っているところでは整っている。
ただ、村の規模は100人程。
・深山村に夕方の3時頃についた探索者達は、香織の幼なじみであり、親友の如月逸香(APPは自由に決めて)という女性と出会う。
・彼女は「香織は今、巫女の舞いの練習中だから案内は頼まれたんだ。いや〜外からお客さんが来るなんて何年ぶりかな〜」と言ってきた。
車や馬車で来た場合、家に置いてもいいよと言ってくれる。
「そんで何処行きたい? つっても名所なんて全然ないんだけどね」
この時、彼女が持っている情報
・村に戻った香織が今は自分の家を診療所のように改造して、医者のいないこの村で診療所を作ろうとしていると教えられる。
・親に先立たれて香織が今は一人であるということ。
・昔から姉妹同然で過ごしていた事。
・巫女の舞いとその伝承について。
※巫女の舞いとは何かと探索者達に問われた場合、逸香はこの深山村に古くから伝わる伝承を教える。
家に伝承について、祖先が遺した書物にこれがあると言って見せてくれる。
『伝承』
何百年も昔、疫病や天災による飢饉で苦しんでいた頃、一人の女がこの深山村に現れた。彼女は弥吉という青年に空腹で今にも死にそうだと声をかけた。しかし、青年は金も明日食べるものもない。あるのは山で狩ってきた手に握る野うさぎだけ。それは、ここ最近まともな食事すらとることの出来なかった弥吉にとってのご馳走。だが、弥吉は本当に辛そうにしている相手の女性を見て、彼女に野うさぎを調理して振る舞った。
女性は野うさぎの肉がなくなるほど食べ、告げた。
「あなたのお陰で私は明日も生きられます。何か望みがあれば叶えてさしあげましょう」
その言葉に対し、弥吉はこの飢饉と病気がどうにかなったらいいなと冗談混じりに持ちかけた。だが、女性はそれにわかりましたと告げた。
女性は弥吉や村の者達を集めて村の中心部に行くと、不思議な言語を口から呟きながら、不思議な舞いを踊り始めた。
しばらくして彼女が舞い終わると
「これでこの村で病気が流行ったり飢饉になることは絶対に無いでしょう。しかし、10年毎に村一番の美女が先程の舞いを舞わねば、せっかく招来してくださった彼を怒らせてしまうでしょう。絶対にあの者を怒らせてはなりません。怒らせればこの村は終わりだと肝に命じなさい」
という言葉と一冊の書物を残し、女性は去っていった。
※逸香は書物が村長宅で大事に保管されていることを知っている。(この情報は聞かれたら答える。聞かれなければ言わない)
・探索者達が神社に行きたいと言うのであれば、神社へ。
本を見たいと言うのであれば、村長宅へ
香織宅は、誰もいないと言われるだけ。
※村長宅へ
村長宅には村長の息子がいる。
深山あらた(APPはご自由にお決めください)
また、この子は16歳で、布団を被ってゲームばっかりしている自宅警備員。コミュ症で、密かに昔よく遊んでくれていた金山香織に憧れを懐いている。ゲームの話を振ると、だいたい乗ってくる。ただ、エロゲーの知識はない。16歳なんで。
・本を読みたいと彼に頼んでも、彼は絶対に見せようとしない。もし、探索者達が説得を振ったり、言いくるめなどの技能を使用した場合、下から村長(男)が息子に「祭りに行くぞ! あらたも来んか!」と言ってくる。
あらたは「行かない!」と答え、父親が「今年は香織ちゃんが巫女の舞いをするらしいぞ?」と言ってくる。
その言葉に彼は顔を真っ赤にして「行かないよ!」と答えた。
(ここで心理学に成功すると、彼が香織に惚れているんだとわかるが、申告をしなければあえてさせる必要はない)
※神社へ
村長宅からか逸香宅からかだと距離が違う。
逸香宅からだと5分くらいで着くが、村長宅からだと約15分
・村の中心部にある神社の周りでは、祭り用の屋台が用意されており、活気にみち溢れていた。また、神社の方に行けば、本殿の敷地内にある道場で踊りの練習をしている金山香織と出会える。
香織の容姿は黒髪ロングで、踊る時には後ろ髪を束ねている。
元々何事にも熱心に取り組む性格もあって、練習を見てくれていた人(去年舞った30代の美人。子持ち)に太鼓判を押され、屋台巡りには香織も付き合う。
屋台巡りの描写はキーパーの裁量にお任せ致します。
午後6時の30分前になると、香織は着替え等の為に、探索者達とは別行動をとる。また、香織と元々知り合いだったという設定の方は、ここで心理学をする。
(成功した場合、彼女が物凄く緊張していることがわかる。そして、彼女が学生時代、人前に立って発表するのが苦手だということを思い出す)
巫女の舞いは今年の豊作を願うもので、赤と白の巫女服を纏い、6畳程の板張りの舞台で神楽鈴を持って舞う。
金山香織のAPPは16で、村一番の美人ということもあり、今年の巫女を任された。
その幻想的な舞いは、不思議と魅入ってしまう魅力があった。しかし、舞いの途中で彼女は足をもつれさせてつまづいてしまう。
初めての舞いだから仕方ないと考える探索者達とは違い、村人達はどよめき始めた。
香織の方を見れば、板張りの床に膝をついて震えていた。
心理学をすれば、彼女が取り返しのつかない過ちを犯したことに震えていることがわかる。
逸香の方を見れば、彼女も青ざめており、
「こんなこと今まで一度もなかったけどとにかく不味い気がする」と一緒に居た探索者達に伝える。
舞いが中断されしばらく経つと、村人の声が上がる。「お、おい! あれなんだ!」その声で全員がそちらの方を向く。突如、どこからともなく現れた黒い靄が神社の光で照らされる。
それは、村人の一人の体に覆い被さるようにまとわりつき、靄が離れると、その村人は地面に倒れていた。
近くの村人が、靄にかかった男に近寄ると、靄にかかった男がその村人にいきなり襲いかかり、襲いかかられた方もゾンビ化していた。
(ゾンビの能力値とSAN値減少はルルブ参照)
黒い靄によってゾンビになったSANチェックは0/1
ゾンビの出現により場は恐慌状態。
※ここで探索者達には選択肢を与えられる。
貴女は祭壇で震えている金山香織を見捨てて逃げますか?
それとも、金山香織の元に駆け寄って助けますか?
香織を置いて逃げた場合、香織が死ぬとこのシナリオはどうしようもないので、家に帰るという選択肢が出ない限り、深夜の零時に香織が死んだルートへ。
香織を助ける場合、逸香に香織を見捨てるという選択肢は無いため、共に逃げる必要が出てくる。
(この村の人間ではない探索者達には靄が来ない)
『香織と逸香を連れて逃げる場合』
《特殊ルール襲撃戦が発動》
移動する際、道中でゾンビと出くわす可能性がある。探索者達の中で一番幸運の高い人が幸運マイナス20を振る。成功した場合は何もないが、失敗した場合は1d3体のゾンビと強制バトル。
銃はサプレッサーを持っているならペナルティー無し。持っていた場合、幸運を振らせ、失敗した場合、ターン終了後に1d3体追加(ゾンビの最大値は97)
銃等の音が出る武器を使用しなかった場合、ゾンビが増えることはない。
《特殊ルール襲撃戦の道中》
香織と逸香の家同士は近いので、1回ロール。また、二人の家から神社に着くまでの間はロール1回分、ただし、二人の家から村長宅まではロール3回分。
神社から村長宅まではロール2回。
行ける場所。
・神社
ゾンビ達とレッツパーリーしようぜ!
・香織の家、もしくは逸香の家
香織が少し落ち着けるという理由で、逸香が香織を三時間寝かせようとする。
自分がその間に守るというので、どうしても香織をどこかに連れていきたい場合は、説得マイナス20。
また、香織の家には、彼女が集めた応急セットや医療セット。
逸香の家には、狩り用のショットガン、あと父親が趣味で買った刃ありの日本刀が置いてある。
・村長宅
・探索者達が本のことに気付かない場合は、一緒にいる逸香が村長宅にある本になら打開策が書かれているんじゃないかと提案してくれる。もしくはキーパーが伝承を聞いた人にアイデアを振らせる。
祭り中もゲームをしていたあらた少年が家の中にはいる。
あらたに本を寄越せと言っても本の場所を信用できない人には教えない。ゲーム談義で盛り上がった人、もしくは村の住人の言葉なら信用するだろうが、両親の死を連想させるような言葉を言った瞬間、説得にマイナス30。
あらたを説得すると、書物が借りれる。ただし、あらたは読ませたくない感じである。
(心理学に成功すれば、彼が何かを隠していることがわかる。この子は親の命令で書物を誰にも見せないようにしているが、実は以前興味本意で日本語訳にてしおり、完全な日本語訳を持っている。ただ、完全な日本語訳を読んだ際、読んだだけで吐いた為、誰にも見せたがらない。※ただし、香織のことが好きで、精神分析で正常な状態にした香織が彼にお願いすれば、彼が日本語訳に成功したものをくれる)
何もしないのであれば英語ロールが必要。
図書館に成功すれば、英和辞典が手に入れられるものの、翻訳時間は書物自体が短いため、一時間程度。
あらたがくれた書物の中には、こんなことが書かれている。
『彼を怒らせてはならない。
怒らせた場合、この村はまず間違いなく消滅することだろう。
もし、なんらかの形で怒らせてしまった場合、私が舞った日に舞った場所で村一番の美女に踊らせるしかない。
謝っても無駄だ。彼が人の言葉に耳を傾けるはずがない。
だから、もしもの時の為に、ここに退散の呪文を記す。
呪文は彼の前でないと意味がない。
呪文は踊りと共に発動せねば意味がない。
なんぴとも踊りを妨げるな。
なんぴとも呪文を妨げるな。』
書物の中には退散と招来の呪文、それから退散の方法が載っていた。しかし、書物を日本語に訳して読んだ者は、その冒涜的な内容にSANチェック1d3/1d6
クトゥルフ神話技能も1d3あげちゃう♪
呪文を唱えたい場合は発動時に1d3のSAN消費と1d3のMPを消費してもらう。
〔退散の方法〕
退散の呪文を習得した探索者が誰か一人でもいいので3ターン退散の呪文を唱え、金山香織がその間舞い続けることで神は退散する。
退散の呪文は芸術:歌か、キーパーが納得した技能で判定。
また、呪文の場合はMPを1消費する毎に+10の判定。
※詠唱者は誰か一人が3ターン、香織の舞踏と共に唱えなくてはならない。当然、香織か詠唱者が失敗した場合は最初からやり直し。
香織の舞踏は80
ここに行った後、本を読んで神社に行けばクライマックスだが、ここで一つ問題が起きる。
・本を読んで打開策を知った後、踊るのが必然的に自分しかいないと理解した金山香織は緊張で一度失敗した自分には無理だと思って舞うのを拒否する。
(探索者達のロールプレイによる熱い説得でキーパーが納得できたら自動成功。それ以外なら説得ロールマイナス20で)
ちなみにあらた君はついていこうとしませんが、言いくるめに成功すれば、ついてきます。ただし、武道を持っていない。ダメボ無しの少年です。歌は超絶音痴です。
『クライマックス前』
祭壇に来た瞬間、探索者達は全身に鳥肌が立ったような感覚を覚える。
そして、悪寒を感じた探索者達は、神社の屋根にひとつの人影を見つける。
それは、人の形をしていながら、人ではないと誰もがわかるだろう。
何故ならそいつは、黒い靄に覆われながら、口角をつり上げていたからだ。
だが、ここで探索者達はおかしなことに気付く。
黒い靄に覆われたそいつは動こうとはしなかった。ただ、眼下にいる探索者達に向かって、大きな口を笑みで固めるだけ。
その笑みを見ていると、心臓がぎゅっと鷲掴みされたかのような感覚に陥り、探索者達はSANチェック1d5/1d10+1
(クトゥルフ神話技能を使っても、オリジナルの神格なので不明。強いていうのであれば、彼に実体はなく、まだ本体ではないのだと理解できる。攻撃をしてもまともなダメージは期待できないということも理解する)
香織は失敗しても自分のせいという責任感もあり、ちゃんと踊ろうとするのであしからず。まぁ、キーパー次第でもいいですが、SANチェックをさせたいのであればご自由にどうぞ。
・もし、ここで発狂した場合は、香織は震えて強制1ターン行動不可。探索者達はこれか、発狂ロールプレイか、ダイス振って決めてください。
その黒い靄をまとった奴が指を鳴らすような動作をすると、ゾンビ達が現れ、石段で歌おうとしている者と、6畳程の祭壇で舞おうとしている二人目掛けて襲いかかってくる。舞踏中は襲ってくるが、探索者達の中で前に出る宣言をした者にだけ襲ってくる。また、逸香は戦闘技能を持っているので、連れていっていると便利かも。
ゾンビの数は1ターンに5体(探索者の数でここは調整してくださって結構です)までしか戦闘の場にいられない。
毎ターン、ゾンビが1d2現れるが、上記の条件に則って現れなくなるかもしれない。
・拳銃等の大きな音を出す武器の使用は、香織の集中力を切らす可能性があり、また、呪文の詠唱と被るため、発砲主は、幸運マイナス50で発砲分振ってください。失敗すると、詠唱と舞踏が止まります。
香織が踊り始めると、黒い靄の男は屋根から飛び降り、ゆっくりと香織の元に歩き始める。
(10ターン以内に成功しなければ、香織を殺す。ただし、誰かが肉盾になるのであれば、1ターンは耐える。一番最初に肉盾になるのは逸香。誰かが肉盾になった場合、そのターンの香織は涙を流しながら自分の下唇を悔しそうに噛んで、仲間の命は無駄にしないという感じになって確定成功)
※香織は1ターン目の最初に前のミスを引きずって転倒する。再び自虐的になるが、そこはお前ならできると説得を振ってください。説得に行動ターンは費やしません。
その後、退散の呪文を詠唱する人と同じターンで、同時に踊ることができる。
10ターン以内に、詠唱者と香織が無事に3ターンを成功させた場合、黒い靄に覆われたそいつは、まるで荒れ狂う暴風に襲われているかのような状態になり、靄ごと消滅する。
ゾンビだった者達は、その靄が消え去ると、塵になって消えていった。
《エンド》
・この日のうちに解決できたのであれば、ハッピーエンド。村人が何人死のうが、香織さえ生きていれば万事解決。
各々自由なエンドを任せます。香織も好きにしてくださって結構です。
・金山香織が死亡した場合は、舞い手がいない為、どう足掻いたって奴がいなくなるのは不可能。ただ、死亡したとしても、別に結界とかが張ってある訳では無いので、逸香の家に置いてある車を使えば脱出できる。また、初期に見捨てても、香織は香織の家に逸香が連れていくので、香織の家に行けば香織と合流できる。ただし、三時間は絶対に過ぎるし、逸香からの信用は下がるし、合流しなければ夜の零時に村は消滅する。
・香織、もしくは呪文が失敗して、10ターン経っても退散しなかった場合、そいつに香織を殺された瞬間、その場にいる者達も1d20の衝撃波を受ける。
どんなダメージで生き残っても強制気絶で、目を覚ました時にはまるで最初からそこには村なんて無かったかのような状態になる。
多分死んだ探索者の死体も消し炭になっており、1d6/1d10のSANチェックを生き残りには受けてもらう。
報酬はSAN値1d6回復
NPC
金山香織(23)
STR14 CON12 POW10 DEX8 SIZ14 INT16 EDU19
如月逸香(23)
STR13 CON12 POW15 DEX16 SIZ18(胸) INT10 EDU13
深山あらた(16)
STR5 CON10 POW10 DEX9 SIZ8 INT16 EDU18
ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。
シナリオどころかプレイヤー経験すら皆無ですが、それでも毎日小説を書いているので、やってみたいという理由だけで作りました。
ちなみに、如月逸香というNPCは私の作ったはいいけど使う機会が皆無だったキャラです。せめてシナリオの中で華々しく散ってくれという思いを込めて入れました。
それと、これは身勝手なお願いなのですが、アドバイス等をいただけると幸いです。