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非日常になった世界でも日常を過ごしたいなと思いまして。  作者: あかさとの
3章 イレギュラーに負けずにのんびりしたい
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ログハウスが充実しました


 地上の夜の街を歩いた日から1週間ほどが経過した。ログハウスの増築もその間に済ませており今日はログハウスに取り付ける燃料電池やトイレに浄化槽等の大物がマグナカフェに一通り揃ったので、小型化させて運ぶ事ができる俺の出番というわけだ。

 雑貨屋連合の面々は雑貨屋ダンジョンとログハウスを【星銀の指輪】を利用し行き来している。その中には初の20層がトラウマになりしばらくダンジョンを離れていた杏奈も含まれているが、それ以来俺とは会っていないため挨拶も兼ねてマグナカフェで待っているとのことだった。

 マグナカフェに転移すると目の前には栗毛のショートボブが良く似合う女性が立っていた。

 デニムのショートパンツに、上は……何かインナーの上にゆるゆるとTシャツを着たその女性の顔には見覚えがある。


 「こんにちは。御影悠人です。会うのは二回目だよね。」


 「坂口杏奈サカグチアンナです! 御影さん、その節はありがとうございました!」

 

 そう言ってお辞儀をする杏奈のTシャツがゆるっとしているため一瞬その中が見えてしまう。しかしそこに見えたのは、一応防具なのだろうぴっちりとフィットしていそうな服だった。パッと見はヨガ教室で女性が着ていそうなインナーに見えたのだが、それに比べると厚みがある。以前香織が見せてくれたものに似ているので杏奈にサイズを合わせた同じものなのかもしれない。別にがっかりはしていない。ほんとうだ。


 「いえいえ。指輪どう? 役に立ってる?」


 「はい! あの時みたいに何度か噛みつかれそうになったんですけど、悠里さんも香織さんも強くなってるし、この指輪の見えない壁のおかげで何度も助かってます! 一瞬で移動できる転移もすごいですね!」


 「そっか。それならいいんだけど、戦闘ではあまりそれに頼らなくて済む方がいいかな」


 「あ、あははー……二人にもよく言われ…ました……」


 「でもまだまだこれからだから、安全第一でがんばっていこう。あと畏まった感じじゃなくていいからさ、いつも通りの感じでいいよ。いつも通りがどういう感じか知らんけど」


 変に畏まられるのも居心地があまり良くないし、ここはひとつお兄さんが先に砕けたカンジで行こうと思う。


 「……じゃあそうさせてもらおっかな! いやー、丁寧なのってあんまり慣れなくて正直そのうちボロがでないか不安になってたんすよねー」


 ふーむ。20層で雑貨屋連合と会った時もこんな感じだったような。なのになぜ今になって畏まっていたんだろう。あっ、一度だけ会ってそれからしばらく会わないでいると、なんだか遠くなったような感じがしてついつい変な敬語使っちゃうようなアレか。うんうん、わかるわかる。大学時代は長期休暇の休み明け、急に敬語になったりするやついたもんな。まぁ俺もだが。


 「わかるわかる。ログハウスは身内のシェアハウスみたいなもんじゃん? 俺もその一人ってことで変に気を使っちゃうよりは楽に居た方がいいよたぶん。男がいるっていうのは気を遣っちゃうかもしれないけど、そこはごめん」


 一応の挨拶を済ませた後、ログハウスに持っていくもの一式が置いてあるところへ案内してもらうと、トイレ以外は予想以上の大きさだった。さっそく小型化しようと触れると、エアリスが珍しく確認を取ってきた。


ーー この燃料電池、システムキッチンというものは大きさもさることながら内部構造がこれまでのものとは異なっています。これを小型化するにあたり、消費するエッセンスの量は同じ大きさの単純なものと比べ数倍必要になりますが、よろしいですか? ーー


 (よろしいよ。でもなんでそんなに消費が多くなるんだ?)


ーー 構造が同じものの塊であれば単純なのですが、これは別の構造のものが多く組み込まれています。それらを一つ一つ小型化しなければならないので消費量は跳ね上がります ーー


 (ほー。よくわからんけど細かいものとか部品が多いものは大変ってことか。それでも小型化しないとめんどうだからしないとなー)


ーー はい。では実行します ーー


 燃料電池、トイレ、浄化槽、冷蔵庫、寝具やソファー等を小型化し、片手に収まる程度にする。過去最高の小型化比率ではないだろうか。配線等はすでに大体済ませてあるそうなのでこれを持って行って取り付ければ自宅とあまり変わらないくらい快適な生活空間が完成するだろう。


 「うわぁ。ほんとちっちゃくなってる。しかも軽いし」


 「じゃあログハウスに転移するよ」


 「あ、はい!」


 『転移』


 杏奈と二人でログハウスに転移すると、悠里と香織そしてさくらに出迎えられる。さっそくガレージ風のスペースに燃料電池と浄化槽を置き配線をつないでいく。浄化槽は地下に埋めるタイプのものなのだが、埋めてしまうともしも移動する場合が大変になるため埋めないことにした。しかしそうなると防音的にどうなのだ、ということでそこはエアリスさんの俺にはわからない超技術により隠蔽してもらう。

 次はトイレを今までは何もなかったトイレ用のスペースに置く。浄化槽とも管を繋いだらあとは動作確認、問題がなければ今日の作業は終了だ。


 「燃料電池動かすわね〜?」


 「いいよー!」


 「スイッチオ〜ン!」


 ログハウス内のLED蛍光灯が明るく室内を照らす。その後、浄化槽、トイレ、キッチンを動作確認し終わった頃には正午を回っていた。


 「うふふ〜。あっさり終わったわね〜」


 「悠人は便利だからね」


 「悠人さんがいればどこにいても暮らせますね!」


 まーた俺を便利な物扱いしてー! でも、またのご利用お待ちしております! ってな感じである。

 なぜならみんなのおかげでここの設備が充実して済み良い場所になったのだ。俺だって設置に協力できたし、なんだろう、一員って感じがする。ちょっと嬉しい。


 「疑ってたわけじゃないんすけど、あの時20層で言っていたことが本当にできるなんて思ってもなかったっす」


 「私もまさかここまで普通の生活ができそうな空間になるなんて思ってなかったよ。悠人マジ便利」


 「悠人君があるだけで生活水準がワンランクもツーランクもあがるものね。便利だわ〜」


 「便利アイテム扱いを卒業できる気がしない」


 とは言っても俺自身便利アイテムの自覚がある。それに便利のために能力を使っている以上褒め言葉だな。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 五人集まったのが初めてで、数日前からログハウスに来るようになっていた杏奈とは20層以来会ったのが初ということもあり、その日は親睦会をすることになった。アルコールも多少入っているためその口調は軽い。

 普段聞けないような、というかこれまで悠里や香織と行動を共にすることが何度もあったにも関わらず初めて聞く話もしてくれている。ひとつだけ、普通に考えてこんな美人やかわいい人たちに俺なんかが混ざってて良いのだろうかと思ってしまう。しかし少し不安が湧き上がる度に隣の香織が笑顔を向けて来たり触れるか触れないか程度のスキンシップをしてきたり、その都度不安を霧散させられる。というか、いちいちドキッとしてそういう不安を感じる余裕がなくなるだけかもしれないが。


 雑貨屋連合は現状日本で最も注目されているダンジョン攻略者だ。そして見目麗しい女性たちでもある。よってダンジョン出入時だけでなく、ちょっと外に出掛けるだけでもメディア関係者や下手をしたら捕まるのではないかと思うような追跡を一般人から受けることもあるらしい。

 俺には縁のない話ではあるが、聞いているだけでもいろいろと大変そうだなと思う。常に見られているような状況となると、すっぴんジャージで外に出ることが憚られるのではないだろうか。男にはない悩みだな。いや、もし俺がそうなったとして、身嗜みに気を付けるようになるかもしれないな。そう考えれば同じと言えば同じか。その労力や出費の桁は違うだろうけど。でも実際、外に行くのが嫌になるだろうな。


 「よくそんな生活ができるなぁ。俺なんてそんな付きまとわれたら喜んで引きこもるぞ」


 「ストーカー紛いは流石に嫌だけどね」


 「あたし暫くダンジョン遠慮してる間、ときどき家の電話に『早く復帰してください』とか来てたんだよね。もうほんといい加減にしてってカンジ。でも悠里さんと香織さんが頑張ってるから負けたくないのもあって復帰しようと思ったんすよねー」


 「え? 私たちの他に自衛官のさくらもいるし、なにより悠人がいるって言ったら食い気味になったから悠人目当てかと思ってたよ」

 そう言った悠里は香織にはこの事を話していなかった事を思い出す。口に手を当てたがもう遅いのは明白だった。


 「杏奈。悠人さんはあげないからね」

 香織の気配が一瞬鋭いものになる。そして同時に、少しだけ冷気のようなものを感じた気がしたが、まぁ気のせいだろう。怒ると無意識に冷気を撒き散らしかける悠里じゃあるまいし。


 「え? あ、いやだなぁ、そんなんじゃないですってばぁ〜。でも時々お兄さんを貸してもらえると嬉しいかな〜なんて」

 香織の鋭い視線を受けても尚そんなことを言ってのける杏奈。すごいな、俺ならこの時点でスミマセンしか言えなくなる自信があるぞ。でもまぁ何か俺にできること、役に立てる事があるなら、ログハウスの住人のよしみで手を貸すのもやぶさかではないしな。


 「よかったね? 悠人? モテモテじゃん」


 「モテモテ要素あったか? 便利なアイテムとしては正当な評価ではあるしできることがあれば手助けするけど」


 「やっぱり、悠人君は悠人君よねぇ〜。うふふ〜」


 うんうんとみんなが頷いているが、どういうことだろう。そう思いエアリスに聞いてみたが『さあ? なんでしょうね?』と適当にあしらわれてしまった。



 その後もいろいろな話をしつつ、時折同じ話題に戻ったり。再びファンやメディア関係者の話になる頃にはだいぶ打ち解けたような気がしていた。


 「雑貨屋に張り付いててもダンジョンまでは付いてこないんでしょう?」

 さくらは『ストレングス』というアルコール度数八パーセントの飲み物を片手に雑貨屋連合に質問する。


 「そうみたいだね。そもそも入り口に鉄柵を取り付けて鍵かけてるから、強引に入ろうとしない限りこれないしね」

 そもそもまだ営業を再開していない雑貨屋の建物内まで入って来ているということだし、それ自体が良く無いことのように思うのだが、悠里たちの立場からするとあまり強くは言えないのだろうか。

 悠里はその雑貨屋のオーナーだ。営業を再開した時の事を考えるとどう対処すべきか悩ましいのだろう。

 香織は現総理大臣、大泉純三郎の孫娘であることも知られてしまっている。これも対応は慎重にしたい立場だろう。

 そして杏奈。実は大企業のとても偉い人を父に持ち、本人も某有名お嬢様学校を卒業している。こちらもやはり、あまり波風を立てたくは無いかもしれない。


 「ダンジョンに入った雑貨屋連合が、まさかこんなところにいるなんて思ってもみないでしょうね〜」


 雑貨屋連合がダンジョンに向かうといつも待機しているメディア関係者にとっては、雑貨屋ダンジョンに入って数日帰ってこないため野宿をしているのだろうと思っているだろうが、実際のところは雑貨屋ダンジョンに入ればいつでもログハウスに転移することができるようになっているので比較的安全なダンジョンライフを送っている。星銀の指輪とは別にマグナカフェに転移するアイテムも預けているためより安全なはずだ。


 その雑貨屋連合の三人は取材やダンジョン攻略についての講習会のようなものに呼ばれることもありお金には困らないのだという。なにせ特集を組まれた時の報酬が一人につき一千万だったというのだから尚更困ることはないだろう。とはいえそれは御祝儀相場のようなものなので、これからもそうなるわけではない。


 講習やメディアに対して話す内容は19層までだが、マグナ・ダンジョンから直接20層に入れる自衛隊以外の20層到達者は未だ確認されていないため20層以降の話はしなくてもいいらしい。よってログハウスの存在は自衛隊のマグナカフェに駐留しているさくらの部隊しか知らないことになっている。例外として香織の両親と総理である祖父、杏奈の父親か。


 「そういえばさくら、ログハウスのことをカフェのみんなにしか話してないの?」


 「そうよぉ〜? 上にそんな話をしたら、やれ国のために協力させるべきとか、やれ一般人を危険な目に遭わせるわけにはいかないから自衛隊が引き継ぐとか……適当な理由をつけて取られるかもしれないわよ」


 「あー。それは嫌だなぁ。お金はないけど別荘はある、っていう小さな優越感を奪われるのはなー」


 「ならその別荘の設備に出資してる私たちのものでもあるわけだね?」

 むむ? たしかにそれはごもっとも。というか元々俺や雑貨屋連合の三人が休憩できる場所を作っておこうって思った事が始まりだ。悠里が言うように、ここはみんなの場所で間違いない。だが好き勝手されても困るし、ないとは思うが勝手に俺が知らない人を住まわせられても嫌だ。なので半分くらい決定権がほしいなぁと思いちょっと強気な言葉を返しておく。


 「まぁそれは否定はできないな。」


 な? 十分な強気加減だろ? え? ちがう? じゃあエアリスならなんて言うのさ? え? 『ここは俺のログハウスだ? みんなを住まわせてやってるんだから家賃を寄越せ?』言えるわけないだろう? 俺の人生がここで終わってしまう気がするぞ。だから否定はしない程度でちょうど良いんだよ。まったく、エアリスはそういうとこだぞ。強気すぎると友達できないんだからな。え? ご主人様だけで充分? そ、そう言われて悪い気はしないけど、今回は俺が正しいと思うぞ。みんなのおかげで設備が整ったんだしな。

 それでも不満気なエアリスを脳内宥めしていると女性陣が決意を新たにしたようだ。


 「じゃあ私たちのパラダイスは死守しなければならないわね」


 「そうですね!」


 「あたしもここに来れてすごくよかったと思ってるんで、もしお父さんが何か言い出しても任せてくださいよ!」


 「悠人はおかしなことに巻き込まれそうな体質かもしれないから、私たちが監視しとかないとね」


 監視かー。とか言いつつ悠里は心配してくれてるんだろうし、それがわかってるであろうみんなはニヤニヤして悠里を見ている。気付いてないのは本人だけってね。それはともかく。

 「まぁ何かあっても最終手段はあるから問題ないかな」


 ”最終手段”についてみんなそれぞれにどんなものかを思い浮かべているようだ。だが大したことではない。


 「何か問題が起きたら引っ越せばいいかなって。あとは【真言】使ってでも素通りしていただく」


 「ゴリ押し感がすごいね」


 「力こそパワーって偉い人が言ってたとか言ってないとか」


 でもせっかく使えそうな能力を手に入れたんだ。平和的に使う分には誰も文句は言えないだろう。


 「しばらくは大丈夫よぉ〜。本腰を入れればここまで来る程度なら自衛隊もできると思うわよ? でもそういう派閥は今の所少数派みたいなのよね〜」


 「そうなんだ。じゃあ暫く安心なのかなー。よかったよかった」


 「そうよねぇ? 悠人君にとっては美女四人に囲まれたハーレムですものねぇ?」


 「いや、そういう意味では」


 「あらそうなの? 残念だわぁ〜」


 そんなこんなでたわいのない話や揶揄い話をしながら夜も更け、お開きになった。このログハウスでは基本的に女性陣が先に風呂に入るという暗黙のルールがなぜか存在しているので、それが済むまで部屋でのんびりとしている。まぁ自宅に帰れば問題はないのだが、新しいベッドの具合を確かめたいというのもあってそうすることにした。


 (ん〜。低反発マットってなかなか悪くないなぁ。なんとなく包まれ感がある)


ーー そうですね。ご主人様がリラックスしているのがわかります ーー


 (それにしても、安全に眠れる場所があればいいかと思ってたログハウスだけど……それどころじゃなくなったなぁ)


ーー はい。しかしご主人様にお金があればいずれご自分でしていたでしょう? ーー


 (ここまでは……できないかもなぁ)


ーー ところで杏奈様のステータスを調整しなくてもよろしいのですか? ーー


 (そういえば……してないんだった。ここに来てから……狩って……貯まってる…)


ーー ご主人様? もうすぐお風呂が空くと思いますよ? ーー


 (うん……ちょっと、だけ)


ーー 仕方ありませんね。おやすみなさいませご主人様 ーー



約一時間後


 ガチャリと音がしたような気がする。


 「悠人さん……悠人さ〜ん……? お風呂空きましたよー? 悠人さん? あっ、寝てる」


 またガチャリと音がしたような気がする。


 「あれ? 何してるの?」

 「(シーッ! 起きちゃうから!)」

 「(これは貴重な寝顔だね)」


 そしてまたガチャリと音がした。


 「あっれ〜? 二人ともなにしてるんすか〜?」

 「(シッー!)」

 「(静かにしてよねー)」

 「お兄さん寝てるんすね〜……ほおほおこれはなかなか……良いものですねー」


 夢見心地でその声を聴いていたため全く実感がなく、話している言葉はわかるが意味が理解できないでいた。意識はあるような感じなのに身体の感覚がない時ってあるよね。


ーー ご主人様、起きてください。童貞の危機ですよ? ーー


 「はっ! どどど童貞じゃねーし! ……あっ」


ーー 申し訳ありません。空気は読むべきでした ーー


 つい口に出してしまい、悠里と香織それに杏奈にも聞かれてしまった。はずい。


 「え? お兄さん童貞なんすか? あたしでよければお手伝いしましょうか?」


 「何をだよ! って違うっての!」


 「香織はどちらでもかまいませんからね?」


 「は、はぁ」


 「二人ともいつまで酔っ払ってんのよ。悠人、お風呂空いたよ?」


 「あ、そうか。ありがと、入ってくるよ」


 そういえばチビを洗った方がいいかと思いチビを呼ぶ。先日のシャンプーのおかげか毛並みがふぁさっとしていて、新品感があるが念のため。


 「チビ〜? お風呂はいったのかー?」


 「わふわふ」


 「くんくん……あ、良い匂いがするな。みんなと入ったのか。じゃあ一人でのんびりしてこよっと」


 チビはしっかり洗われていたようだし、俺は一人でバスタイムを楽しもうということにした。思えば久しぶりのダンジョン風呂だ。


 (あ〜。こっちの風呂も久しぶりだなぁ)


ーー ここ最近は自宅の浴場を利用していましたからね ーー


 (だなー。19層までの支配者権限集めしてたしな)


ーー そうですね。漸く昨日全て集め終わりましたね ーー


 (うん。20層はあるから21層から先も集めたくなっちゃうな。でもまだ22層への入り口が見つかってないんだよなー。一体どこにあるのやら)


 のんびりとお湯に浸かりながら、さっそく明日からログハウスのあるこの21層を探索しようと考えていた。森にあるのではと思い以前探索したのだが、その時は見つからなかった。先日岩山でレッサーワイバーンを狩った時も周囲を少し探索したが見つからなかった。探す場所が間違っているのか何か条件があるのか。

 

 のぼせる前に風呂からあがり、『温風』で髪を乾かしていると外から狼の遠吠えが聴こえた。その直後チビが脱衣所に何かを伝えにやってきた。


 「アウアウアオーン」


 「どうしたチビ?」


ーー どうやら以前野良狼が言っていた一匹狼が出現したようです ーー


 「おっ、ついに来たか。じゃあ着替えて向かおうか」



読んでくださりありがとうございます。

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