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非日常になった世界でも日常を過ごしたいなと思いまして。  作者: あかさとの
2章 ダンジョンで生活してものんびりしたい
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夢のログハウス 番外

前話の別視点です。

前半がチビ視点、後半がお風呂香織です。

描写は過剰にならないよう書いているつもりですが、好みでない方すみません。

フレーバーの部分なので同日アップしました。


〜 チビ視点 〜


 (わっ! なんだろうあれ! にく? にくー! なにのにくなの? 知らないない肉のにおい!)


 目の前でジュ〜と音を立て焼けていく正体不明の肉。生肉上等なシルバーウルフのチビだが、焼いた肉というのは珍しいものではなかった。なぜならよく肉を食べさせてくれる人間が焼いてから食べさせてくれることが多いから。生肉もいいけど、あの焼けた時の匂いも好きになっていた。


 (いいにお〜い! いいな! たべたいな! パパおにくちょうだい!)


 その祈りが通じたのかどうかはさておき、チビの目の前には焼かれた肉を切って食べやすくされたものが皿に載せられて置かれる。チビはたまらずそれにかぶりついた。


 (ムシャムシャ……これ…ムシャムシャ……おーいしーーい!!)


 おかわりがほしくて仕方ないけど、他の人間たちもいるから残りはみんなで食べるんだろう。それはわかってはいるが、食べ終わってしまうとついついみんなの皿を見てしまう。


 (う〜。でも我慢しなきゃ。みんなの分はみんなのだから…でも……おいしそ〜)


 そんな視線に気付いたいつも肉をくれる人間(悠人)が肉を一切れ、手に載せて差し出してくる。当然我慢などできるはずもなく。


 (わあ! おいしい! おいしい! パパの手もにくの味がしておいしい!)


 他の面々もその様子を見てそれぞれが一切れを食べさせてくれる。


 (わわっ! みんな良いニンゲン! パパと一緒にいるニンゲンは良いニンゲン!)


 いつもよりも量的には全くもって少なくちょっと物足りないと思っていると、肉をくれる人間がいつもの肉を焼いてくれた。


 (わーい! いつものにくもおいしい!)




〜〜〜〜〜〜風呂〜〜〜〜〜〜〜



 チビは温かい水があるところに連れてこられた。手にどろっとしたものをつけてボクの体を撫で回してる。何をするつもりなのか見当がつかないが、恐ろしさから動けず固まってしまう。


 (な、なにするの? うわっ、なんかべちゃってする〜。あっ、でもなんだか……きもちい〜)


 自然と目も細くなり気持ち良さに感覚を奪われていく。


 (きもちいいなぁ〜。でもなんだろ? へんなにおい。あったかい水もたくさんあるし、あそこで洗ったらニオイとれるかな?)


 バスタブに入っては出てを繰り返し、自分の体に付いた洗剤のニオイを取ろうとするもなかなか取れない。そんなことをしていると、先ほど肉を一切れくれた人間が入ってきた。


 (あそびにきたのかな? あっ、パパがボクにしてくれたみたいにしてあげてる! ボクもしてあげたいな! でもにおいがきになる)


 「ぁっ…」


 (うん? あれ? あの人間、ケガワなくなってる! 一緒にざぶざぶする? しないのかな)


 「ひゃんっ…」


 (あっ! パパにおっぱいつけてる! パパはあーいうのが好きなのかな? あっ! あったかい水をかけてる! 一緒にざぶざぶする?……行っちゃった。いっしょにざぶざぶしたかったなぁ)



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 〜 香織視点 〜


 (悠人さんは今頃お風呂に入ってるはず。自然な感じで『お背中流しますね、旦那様♡』なんて言って入っちゃおうかな〜////)


 そんなことを考えていると部屋の外からさくらと悠里の声が聴こえた。


 「悠里〜、悠人さんは今……?」


 「チビと一緒にお風呂入ってるみたいよ〜」


 (やっぱりお風呂に入ってる。チビも一緒ならチビを洗ってあげたくて〜っていうのでも自然だよね! 善は急げよ! 行くのよ香織!)


 そして風呂場へ行きバスタオル1枚になり、引き戸に手をかけ、いざ! 出陣!


カラカラカラ……(お、おじゃましま〜す)


 (あっ、悠人さんと目が合った……や、やばい! 緊張する! でも落ち着かなきゃ!)


 「お背中流しますね」


 (あー! もう! 緊張しすぎて棒読み! もっと艶っぽく言いたかった! 言いたかった!!)


 チビを洗いに、そんな言い訳は忘れ去り、目の前の背中を流すことで頭はいっぱいになっていた。


 「あ、あの〜、香織さん? ど、どうしたんです?」


 「お世話になっているので、これくらいはしてあげたいなって思ったんです。じゃあ次は髪も洗いますね」


 (こ、こんな事務的な感じじゃなくてもっと扇情的に言いたいのにぃ……)


 「いや、そこまでしてもらうわけにも……」


 「大人しくしないといろいろ見えちゃいますよ?」


 (ふっふっふ〜、おとなしくしていてくれないと見えちゃいますよ〜? そして見えてしまってソッチを洗うのもお願いされちゃったり〜……何考えてるのよっもう! あっ、前髪の生え際もしっかり洗ってあげないと)


 その時タオルがはらり。幸い悠人は気付いていないようだがチビはしっかり見ていた。先の方がしっかり見えてしまっているのがなんだか恥ずかしくて悠人に抱きつくような形になってしまう。


 「ひゃんっ」


 (こ、擦れて変な声でちゃったぁ〜。余裕のある立場を演出するつもりなのに、先に見られたり気付かれたら台無しだよぉ〜。とにかくここは誤魔化さないと)


 なんとか悠人の髪を洗い終える香織。お湯で泡を流してあげるとこちらに向き直りそうな気配を感じ、急いでバスタオルを拾って隠すも、胸を寄せ前面を覆い隠すので精一杯。恥かしさのあまりその場を逃げ出すように出てしまった。


 (ぅぅ……作戦失敗…。でもチャンスはまだまだきっとあるはず! ……あれ? そのまま見せ合ってしまえばよかったんじゃ……そうすれば流れで既成事実を……って何言ってるの香織! 恥ずかしくてしにそう!)


 「……はしたない女だって思われてないといいなぁ。嫌われたくないなぁ」


 そんなつぶやきを残し、今日のことは忘れようと思う香織なのであった。




読んでくださりありがとうございます。

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