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非日常になった世界でも日常を過ごしたいなと思いまして。  作者: あかさとの
2章 ダンジョンで生活してものんびりしたい
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報告と相談 

この話が抜けていることに気付かずにだいぶ先まで投稿してしまいました。

よければこの話を読んでいただけると幸いです。

 いつものようにとんちゃんとメッセージのやりとりをする。直接会うのとは違い気軽に声をかけられるという感覚がある点に関して技術の発展とはすばらしいなと思う。


ゆんゆん:よっす。あれから問題なく帰れた?


とんちゃん:おつかれ〜。問題なく帰れたよ! 思ったんだけど、もしかして杏奈と香織のステータスいじった?


ゆんゆん:ばれたか。


とんちゃん:そりゃね。急に動きよくなったし杏奈なんて熊殴り飛ばしてたよ。


ゆんゆん:そこまでとは思わなかった。


とんちゃん:2人はそれでも気付いてないみたいだけどね。そういえば休憩所どうなった?


ゆんゆん:あっ。形はできたけどいろいろあって中身は…。


とんちゃん:安心して休めるなら十分だよ。ところでいろいろって?


ゆんゆん:それがなー。香織ちゃんの爺ちゃんが来た。


とんちゃん:香織のお爺さん? 総理?


ゆんゆん:知ってたのか。


 とんちゃんに経緯と要件を説明する。


とんちゃん:そっかそっかー。口止めは効果なしだったようだね。香織もゆんゆんを好きになっちゃったか。


ゆんゆん:も?


とんちゃん:も。昔から結構モテてたじゃん?


ゆんゆん:え? 俺が? 記憶にございませぬが?


とんちゃん:ネットでいろいろやってたときとかさ。『ゆんゆんさんって彼女さんいるんですか〜?』とか結構聞かれたよ。


ゆんゆん:え? 俺聞かれたことありませんが?


とんちゃん:そうなの? 本人に直接聞けって返してたから知ってるもんだとばかり。


ゆんゆん:初耳ですね。ふざけんな。


とんちゃん:ふざけんなはこっちの台詞。なんで私に聞くんだよって(笑)


ゆんゆん:なんかすんません。


とんちゃん:ま、昔のことだし私は実害なかったからいいけど〜。


ゆんゆん:香織ちゃんのは一時的に風邪拗らせたようなものだと思うし何も問題ないっしょ。


とんちゃん:風邪(笑) ま、そうだといいけど。さりげなく言い聞かせておくよ。


ゆんゆん:頼む。総理大臣と会う機会が何度もあるとか、俺の平穏が危うい。


とんちゃん:そうだよねー。災害後でも日本は平和だからいいけど、他はそうじゃないところの方が多いからね。そういうところに関わりを持つかもしれないってなるとね。


ゆんゆん:それだけはなんとしても阻止しなければ。俺はしがないジビエハンターだし。


とんちゃん:超一流のだけどね。案外全国の食糧事情、お肉に関しては解決しちゃったりして。


ゆんゆん:それは置いといて、マグナ・ダンジョンの話知ってる?


とんちゃん:地表の一部がダンジョン化っていう話だよね。


ゆんゆん:相変わらずいろいろ知ってるな。


とんちゃん:まぁそこそこ調べたりしたからねー。それでマグダンがどうしたの?


ゆんゆん:中に入れないかな?


とんちゃん:自衛隊が固めてるから無理じゃん? でもなんで入りたいの?


ゆんゆん:地上にある洞穴から入ると草原っていう話。


とんちゃん:あぁ〜。なるほどね。ゆんゆんのダンジョンが他のところに繋がってたように、マグダンも繋がってるんじゃないかってことかな?


ゆんゆん:そゆこと。でも岩が転がってなかったらしいし、繋がってても俺らの位置からは遠いんだろうけどな。


とんちゃん:それで? マグダン側から入って旗でも立ててくるわけ?


ゆんゆん:旗はどうかと思うけど、目印でもあればもしかしたらってな。


とんちゃん:んー。それこそ香織にでも頼めばなんとかなるかもだけど。


ゆんゆん:交渉はとんちゃんに任せる。


とんちゃん:自分でやりなよ。


ゆんゆん:連絡先知らぬ。


とんちゃん:世話の焼ける男だね〜。


ゆんゆん:頼んますよとんちゃん。


とんちゃん:話くらいはしておくけど条件出されるかもよ。


ゆんゆん:条件? 例えば?


とんちゃん:今より深いお付き合い?


ゆんゆん:いやいやまさかそんなことあるわけない……よな?


とんちゃん:いや、ほんとあり得るから。


ゆんゆん:そんなことになったら俺のひっそりと平穏に暮らすという野望が……


とんちゃん:手遅れじゃない? もしかしたら総理に目を付けられてるかもよ?


ゆんゆん:いや、そんなことはないはずだ。


とんちゃん:話くらいはしておくから、あとはゆんゆんがしたいようにすればいいよ。


ゆんゆん:たのむ。


 それから約30分後……


 とんちゃんがゆんゆんをグループチャットに招待しました。

 とんちゃんがカオリをグループチャットに招待しました。


とんちゃん:OK


カオリ:わぁ〜。ゆん様! ゆん様!


ゆんゆん:はぇ? どういうことで?


とんちゃん:アノ話シタ。ナゼカコウナッタ。ワタシ悪クナイ。


ゆんゆん:何故カタコト。


カオリ:悠里にお願いしたらグループに入れてもらいました! よろしくお願いします!


とんちゃん:お願いっていうか脅迫だよね。1ページぎっしりの『グループ』っていう文字を見たのは初めてだったよ。


ゆんゆん:oh….


カオリ:だって、もっとお話したかったんですもの////


ゆんゆん:ソデスカ。


カオリ:それで、マグダンですよね?


ゆんゆん:はい。


カオリ:なんとかなると思いますよ。公的には私たちのチームが日本一、むしろ世界一ですし。そこにゆん様が加わるという形であれば!


ゆんゆん:それって正式にじゃなくてもいいんだよね?


カオリ:正式な方がいいんですけど……


とんちゃん:無理強いはしないっていう約束だよね? カオリ?


カオリ:うぅ………見えない壁とダンジョンの壁でサンドイッチされたくないので非正式でいいです。


 見えない壁とダンジョン壁でサンドイッチ……悠里の【マジックミラーシールド】か。モンスターをそうやって潰してるんだろうな……


ゆんゆん:えぐい狩り方してんのな。


とんちゃん:ぶっちゃけそうするのが一番効率良いし安全なんだもの。オホホ


ゆんゆん:じゃあ一時的にチームに加わるということでよろしく。


カオリ:わかりました。では明日迎えを出しますのでご自宅でお待ちください。


ゆんゆん:明日!? お迎え!? マジ!?


カオリ:はい。リサーチ済みなので問題ありません!


ゆんゆん:あ、そうなの。じゃあ、お願いしちゃおうかな。


カオリ:ではまた明日!


 一段落し、とんちゃんとの個別チャットに切り替える。


ゆんゆん:リサーチ済みとは…総理も俺をリサーチ済みだったらしいし血筋か。やばい子かもしれない。


とんちゃん:私の友達を悪く言うのはやめなさい(笑)でもちょっと変わってるのは否定しない。


ゆんゆん:でもま、なんとかなりそうだなマグナ・ダンジョン。


とんちゃん:そうだね。明日だけどね。


ゆんゆん:明日だけどな。


 あまりにも急すぎないだろうか? いや、総理も総理だったしそもそもとんちゃん、悠里だってあの時いきなり来たようなもんだし。むしろそのくらいの行動力って普通なのだろうか。


とんちゃん:あの子は見た目はおしとやかそうなのに、行動するとなると正反対なんだよね。行動力の鬼。


ゆんゆん:そうみたいだなー。ダンジョンで会ったときと印象違うし。政治家に向いてるんじゃないか?


とんちゃん:香織のお爺さん、総理もそうなってほしいと思ってるみたいなんだけどね。


ゆんゆん:何か問題あるのか?


とんちゃん:普通に恋をして、普通にお嫁さんになって、普通の世界一幸せな家庭を作るのが夢らしいよ。


ゆんゆん:普通の世界一ってよくわかんないな。


とんちゃん:ね。それで今その候補がゆんゆんなわけ。もしかして未来の旦那様なわけだからあの子に火が点いてるんだろうね〜。


ゆんゆん:そう言われてもですねぇ……


とんちゃん:なに? 好みじゃないの?


ゆんゆん:いやぁ、顔良し性格もお前の友達なら悪くないだろうし、スタイルもすごいし、背の高さも俺の肩くらいで好みだし、それでいて胸も大きいしこの間ちょっと近付かれたときなんて良い匂いしたし揺れたのが服の上からもわかったくらいだしすごく良いと思います。


とんちゃん:うわぁ……ちょっと引いた。ってかどんだけ香織の胸ばっか見てんのよ!


ゆんゆん:でもな、そういうのってほら、段階を踏んでというか、一歩ずつというか、その…ときめきみたいなものがずっと続いてその延長線上で関係を進歩させていくのがいいなぁ。


とんちゃん:真面目か。ってか乙女か。


ゆんゆん:そういう面はオトメンなんだよ。


とんちゃん:スタートはそんなにこだわらなくても、最終的に幸せなら私はいいかなー。


ゆんゆん:んー。それもそうか。でも別にあの子をそういう目で見てるとかじゃないぞ。


とんちゃん:違うの?


ゆんゆん:ふふふ。とんちゃんという魅力的な女性を長らく知っているからな。免疫はいくらか獲得しているのだよ。


とんちゃん:そんなに魅力的な女性を前にして靡かないような朴念仁なんだね、ゆんゆんは。知ってたけど。


 それにそんな風に思ってくれてても時間が経てばそのうちなくなってしまうような気がしてしまったりな。その時にもしかしたら俺はショックを受けるかもしれないし、そうなるなら最初から無い方が気持ちが楽だ。


 雑談をしばらくしていると、香織から『明日午前中にお迎えにあがります!』とメッセージが来たのでそれを合図にチャットパーティは解散した。


ーー ご主人様、また浮気ですか? ワタシ、見てました ーー


 (おとなしいと思ってたらいきなり何を……)


ーー ダンジョンで見た時から思っていました。この女もライバルであると。ワタシという者がありながら悠里様に続き香織様からも好意を寄せられるなんて、罪なヒトですねご主人様は ーー


 (好意を持ってもらえるのは素直に嬉しいけどな。でも後々『無かったことに』ってなったらショックじゃんか。ただ今はみんな仲良くできればそれが一番平和だよ)


ーー ………悠里様の言っていたことがわかりました ーー


 (え? どういうこと?)


ーー この! 朴念仁! もう寝ます! おやすみなさいぷんぷん! ーー


 (え? ぷんぷん? っていうかほんとエアリス、最初の若干ロボ娘感がどんどんなくなってるような。これはこれで、進化…なのか? そもそも睡眠が必要ないだろう…?)


 少しの不安を覚えつつ翌日の準備を済ませ床に着く。今日はいろいろあったなぁ。俺としてはのんびり平穏に過ごしたいのに、そんなに出来ていないような気がする。とはいえ会社勤めよりはのんびりか。世界は未だ大変だろうに俺が比較的穏やかに過ごせているのは、あの日出逢ったこいつのおかげなんだろう。


 (エアリス、起きてるか?)


ーー ……… ーー


 「あの日、生まれてくれてありがとうな」


 エアリスのおかげでちょっといろいろあるけどなかなか楽しく過ごせている。俺はそれをこれまでちゃんと伝えたことがあっただろうか。……なくはない気がするけど、感謝は思った時に伝えた方が良いって昔近所のじーさんが言ってた気がする。それに何度伝えてもいいだろうそういうのは。


 (それじゃおやすみ)


 明かりを消した部屋が静寂に包まれる。


ーー マスターはずるいです ーー


 彼女のつぶやきは、唯一聴かせたい相手にも聴かれぬまま夜の静寂に融けていった。




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