お誕生日まであと五日1
「アリサ! カバーお願い!」
「オッケーレイナ、まっかせてー!」
ジャングルの奥地に向かうかのようないかにも探検隊といった服装の女性探検者二人組が亀を次々と狩っていく。作業着を作っている服飾メーカーが試しに売り出したところ、探検者たちに人気が出たもので問合せが殺到した。近頃では女性向けのかわいいデザインも増えており、探検者業を始める日本人のスタンダードになりつつある。
そこには他にも同じメーカーのものを着ている探検者や、ファンタジーな防具を装備している探検者がいるのだが、それは彼女たちの邪魔をしようというわけではない。ピンチになったら助けてあわよくば……という思いを抱いている者もいるが、その思惑に反して彼女たちは危なげなく狩りを続ける。
パーティを組んでからほぼ毎日のように二人でダンジョンに潜っていたこともあり、打ち解けた二人は息の合ったコンビネーションを披露していた。
やがて亀を狩り終えると二人はハイタッチで互いを称え合う。
「やったね!」
「おつおっつー! やっぱりあの動画はすごい参考になるね! さっすが私の御影さん〜!」
「アリサのじゃないからねっ!?」
そんな二人に周囲の探検者たちも互いにハイタッチ。固唾を飲んで見守っていた彼らの間にも不思議な連帯感が生まれていた。
しかしこれといってピンチに陥ることもなく亀を狩りきってしまった彼女たちに対し、彼らは直接声をかける事なく他の亀の生息地を探すためにその場から離れていった。彼らもまた、ミスリル目当ての探検者だからだ。
「この石にミスリルが入ってるんだね〜」
両方の掌ですら収まりきらない、しかしその大きさとは裏腹に軽い塊をしげしげと見ていたレイナは、彼女のパーティメンバー、そして相棒でもあるアリサにその塊を放る。
「わわっと! 御影さんが動画で見せてくれた石だよね! でもほんとにすごく軽いんだね〜」
重さを確認するかのように手遊びし、アリサもまたレイナに放り返す。
「たしかこれを精製? すると純粋なミスリルが採れて、それが掌いっぱいになるくらい集まれば新しいナイフを作れる……ってこの間言ってた!」
「え〜、まさかレイナ、自分だけ御影さんと連絡とってるの〜?」
「ふふ〜ん、いいでしょ〜」
「くぅ〜! この子ったら! キャバ嬢時代からの知り合いだからって……うらやましいな〜もう!」
亀の生息地を一箇所狩り尽くし、それで手に入ったのがこの鉱石ひとつ。地上の、通常の技術であればそれだけでも他の金属との合金にしてごまかすことでナイフなら数本作ることができる。
しかしレイナが悠人から教えてもらった必要量というのは、『エテメン・アンキで通用し、破損しない程度の強度を誇る』ナイフを作るための量だ。しかもそれは悠人が手を加えなければ現状では作ることができないものだ。レイナに話した時の悠人はその事を失念していたため、自分基準の最低限度を伝えてしまっていた。
「掌いっぱいって、ちょっと変だと思うんだよねー」
むむむと考え込むような姿勢をするアリサに対しクエスチョンマークを浮かべるレイナは聞き返す。
「え? どうして?」
「だってその量で作るナイフって、すごく分厚くなりそうじゃない?」
質量保存の法則? 一般相対性なんちゃら? とかなんとか! アリサが難しい言葉を使い説明しようとすると、なんとなくわかったような気になったレイナは片方の掌にもう片方で作った小槌を打つ。
「言われてみれば。で、でも御影さんが嘘を言うなんて……」
「違うってー! アタシね、勘は鋭いのよね!」
その勘によって何度か助けられているレイナは素直に話の続きを促す。
「その勘の鋭いアリサさん的にはどういう意味だと思う?」
「それはですねぇ……もしかして御影さんって自分で武器を作れたりしない?」
「え〜! いくら御影さんでもそんなこと」
「でもでも、“長い刀”使ってたんだよね?」
「う、うん。普通よりたぶん長いんだと思うけど」
「いくら銃刀法が緩くなったからって、普通そんなのって手に入らないと思うよ?」
「そうなのかなぁ」
「だって見たことある? 公民館にそんなのを持ってくる人。いいとこレイナみたいにサバイバルナイフとか模造刀程度でしょ? それに、レイナが貰ったっていうそのアイテム……」
「これ?」
レイナは紐をつけ首からさげている長方形の板をアリサに見せる。刻まれた縦の線に沿って、一定時間毎に光の粒が走っていくそれは、公民館ダンジョンで悠人から貰った物だ。窮地を救う“かもしれない”と言われたためいつも首から下げて御守りのようにしている。
「そう、それそれ。たしか同じのをリーゼントの人にも渡してたんだよね? そこからアリサさんは推理したのです! そんな“どこにも売っていない”もの、しかも“同じ物”を持っていて、それを簡単にくれるということは、他にも持っているということに。そしてそれは、自分で作ったものだからではないか、と!」
言われてみれば効果は試したことがないのでわからないし、もし試そうとすれば壊す必要があると言われていたためできないが、言われた通りの物とするならば貴重に思えるそんな物をポンとくれるのはアリサの言う通りだからではないか。レイナはアリサに感心した。
「おお〜。名推理!」
「でしょでしょー! だからきっと、武器も作れるんじゃないかなって。ということで御影さんに会いにいかなきゃ!」
二人は一度地上へと戻り手に入った不要なものを換金する事にした。
実は公民館ダンジョンから20層へと到達したのは彼女たちが初めてで、なぜかと言えば公民館ダンジョンがそもそもモンスターを狩りやすい環境だったから、と言える。狩りたいモンスターを一体ずつ狩れる環境なため、先へ行くよりも安全に狙ったモンスターを狩ることが主目的となっているのだ。
もう一つの理由として、19層だけが極端に難易度が高い。ダンジョンに出現する同系統のモンスターが部屋にひしめいていることが多々あり、その配置がランダムに変化する。その変化とは、突然モンスターが現れたり消えたりするというもので、部屋を歩いていたら瞬きの間に囲まれていた、という状況になり得るのだ。よって公民館ダンジョン利用者はその階層へは立ち入らないようにし、安全な狩場を融通し合っている。
「よっし! じゃあ気合入れていくわよ!」
「う、うん!」
草原から彼女たちにしか見えない洞穴に向かって勢いよく入っていく。もしもモンスターハウスになっていても部屋を強引に突っ切って通路まで行き、そこで一体か二体ずつ相手にするつもりだ。そうすることで囲まれた状態での戦闘を避けることができる。
しかし彼女たちは目を疑った。洞穴に入った先、目の前には光る岩壁に囲まれた一本道が続いている。
「あ、あれれ? ここって19層じゃないね?」
「うん、でもどこだろう。……あっ! あっちに人がいるみたい!」
戦闘音と声の聴こえた方角、向かった先には案の定探検者がおり、その人に聞くとここは18層だそうだ。ということは、ここから先出口までずっと安全な一本道ということになる。
彼女たちは二時間をかけ地上へと帰還し、迷宮統括委員会支部へと向かった。
受付に座る女性にミスリル鉱石を見せると、目が飛び出るのではないかというほど驚いていた。
「この支部で初のミスリル鉱石ですよ!」
受付嬢はそう言うと急いで奥の部屋へと行き、支部長を連れ戻ってくる。その支部長はどうやら“判別”という能力を所有しているようで、その鉱石に能力を使用した。
この“判別”という能力は、既知のものであれば名前を知る事ができる。もし未知のものであれば名前は不明となるが、これの名前はこれだ、と一度決定すればその名前で確定される。
人にも有効でありダンジョンがその端末である“ダンジョン腕輪”所持者の認識を集め反映するかたちで名を知ることになっている事を本人は知らない。ちなみにこの能力名も自らの【判別】によって知った事だが、それも最近になってのことだ。それまでは能力名を知らずに使用しており、知ったタイミングは悠人の“進化”と時期を同じくしている。それはエアリスがダンジョンに対してより干渉を強くすることが可能になった時期であり、ダンジョンがエアリス、または悠人の思考を基準に命名した事による。
支部長の能力【判別】によりミスリル原石に間違いないというお墨付きと、重さを計った事でおおよその含有量を教えてもらう。次にそれを迷宮統括委員会に売却するかと問われる。
「いえ! これをたくさん集めて新しいナイフを作りたいので」
「えっ!? それひとつで数本できますよ!?」
「へ? そうなんです?」
「ええ、それに今は高騰中なのでこれくらいのお値段に……」
「え、ええええぇ!? そ、そんなにですかっ!?」
レイナと支部長の様子から、アリサは確信した。御影さんは……御影“様”だ、と。とはいっても、製作の過程で素材の一部が失われるため必要量が完成品と比べて多いという可能性もまた存在する。しかしアリサにとって神格化されている悠人はそんなミスはし得ないと断定されていた。
結局ミスリル鉱石は手元に残し、他に拾っていたものを換金する。このようなドロップ品で生計を立てる場合、ミスリル鉱石は現在破格であり、手持ちのそれを売るだけでもサラリーマンの平均年収を軽く超える。しかし二人はそれを使う目的があるため手放すことはしない。
受付カウンターを離れる際、受付のお姉さんから「ミスリルを持ってる事を他人に知られない方がいい」と忠告されたのだが、さっき大声を出していた受付嬢はそんなことはもう忘れているようだった。
「一日で二万円か〜」
「牛の角が二本も手に入ったからね〜。牛の角を観賞用にしたり、削り出してナイフを作る人もいるみたいだよ?」
「レイナ、あんたほんとナイフ好きねぇ」
レイナにとってナイフは悠人から兎の倒し方を褒められたこともあり思い入れが深い。アリサの呆れるようなニュアンスの問いにも素直に「好き」と言えてしまう。しかし傍から見ればその様子は狂気に映るかもしれない。
「え、ナイフに頬擦りするのやめてくんない? こわいんだけど」
「あっ、ところでさっきの話だけど……」
「聞かれない方がいい話だと思うから場所変えてからにしよ。それと、その前に情報収集!」
アリサの意外に冷静な指摘にレイナはハッとする。ひとまずミスリルの事は口にせず、情報収集をしようということになった。
二人はギルド支部で喫茶・ゆーとぴあの話を聞いた。周辺のモンスター情報や宿泊費、食事代がどの程度か教えてもらった。近頃ドロップ品の肉や素材での稼ぎが上々だったこともあり、探検者カードの口座の数字はそれなりに増えていた二人は、いつものようなビバークではなく泊まりに行こうということになった。
公民館ダンジョン、そこから20層へと引き返す二人にリーゼント頭の男が話しかけ、少し話をする。
「尾行してそうなやつがいたら任せてください」二人にお辞儀をして見送った。
そして二人はそのまま一本道を進みながら他の探検者たちに聞かれないよう注意しつつ悠人について話す。
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その頃喫茶・ゆーとぴあではカウンター席に悠人が座っていた。その隣には白い髪、白い髭の枯れ木のような老人。服装は悠人が作ってあげた少し補強された着物に似た服を着ており、その足には靴ではなく草履を履いていた。その草履ももちろん悠人が作ったもので、草履に見えるが中身はほぼミスリルの特注品だ。
枯れ木のような老人の正体はダンジョンにより顕現させられた神話の蛇龍であり、壊れない構造や丈夫さを持つ衣服でなければ正体を表すだけでも壊れてしまう。以前その姿で悠人たちの前に姿を現した際に着ていた、自ら顕現させていたものを参考にされており、お気に入りとなっている。
ちなみに着物だが上は正体を現してもはだけることにより破れることはなく、下は横の部分をマジックテープでくっつけている。いきなり正体を現わしても安心だ。正体を現した龍神の見た目は白く巨大な翼持つ蛇であり、腕はない。よって袖が破れる心配はない。
懸念点としては、巨大な蛇がちっちゃな着物を羽織っているような状態に見えてしまい兼ねず、少し威厳が損なわれる可能性があるところだろうか。だが当の本人はそれも含めて気に入っていると口にする。
「イルルさん、草履はどうです?」
「悠人よ、これは良いものだ。なにせこの姿で走っても壊れないのじゃからの。人間に紛れたのは良いが、少し動いただけで衣服が使い物にならなくなってしまって困っていてのぉ。我はそれほど器用に衣服を形作れなんだからの、また作り直しになってエッセンスの無駄じゃな。その点これらは素晴らしい」
満足げに白髭を撫でる老人……“龍神・イルルヤンカシュ”。悠人を何度も手助けした恩人、もとい恩神である。
ひょんなことから龍神を召喚できるようになった悠人が召喚したままにしており、その間自由にあちこち観光に行っていたのだが、喫茶・ゆーとぴあができてからはよくカウンター席に陣取って探検者たちを眺めている。
探検者たちの間では『喫茶・ゆーとぴあ、夜の部のヌシ』などと呼ばれていたりするが、本人はそれをおもしろがっているようだ。夜の部のヌシとは呼ばれているだけでそもそも夜だけでなく昼も普通にいるし、いない時はどこかに行っているか喫茶・ゆーとぴあに併設された龍神や嵐神のような存在のための離れ家にいる。ちなみにそこは宿泊用ではなく、あくまで悠人の好意で住ませてもらっているという認識をそれぞれが持っている。悠人は宿泊費のようなものは求めず『人に迷惑を掛けないように』という条件のみで住まわせている。なぜなら持ってないものを払えるわけがないからだ。
「して、我がその魔王を叱ってやればよいのか?話を聞くに相当規格外のようじゃが、我もそれなりにやるぞ?」
どこかうずうずとしている様子の龍神だが、悠人としてはそこまで頼もうとは思っていない。龍神の本気は未知ということもありその本気を見てみたい気持ちが悠人にはあるが、そもそも魔王と戦わせるわけにはいかない。
「それはわかりますが……さすがにそこまでは」
「ふむ。ではこういうことかの。我はヒトを守れ、と」
「そうしてもらえるとありがたいです」
「ふっ。悠人が我を頼るというのであれば是非もない。日頃からここのお嬢ちゃんたちにはよくしてもらっておるしし、ここを守るためでもあるのじゃろう? 食事も悠人のツケということになっておるしの」
「ありがとうございます、イルルさん。でも俺にツケるのやめてもらえません?」
「まあまあ、堅いことを言うでない。我とそなたの仲であろう?」
「……いざというときのイルルさんですし、助けてくれるならまぁ……でもほどほどにしてほしいですけど」
魔王に関して、日を追う毎にとんでもないものを作り出してしまったという自覚が湧き上がり不安が増している悠人は、龍神の助けを確約できたことに胸を撫で下ろした。これまで何度か助けてもらったこともあって頼りになる事は知っているし飲み代のツケは回ってくるが必要経費と割り切ることにした。とはいえ今日も、悠人の財布は軽い。
「悠人よ、そなたも飲まんか?」
「まだ昼ですよ?」
「かたい事を言わずに、のぉ?」
そう言ってグラスを少し揺らすようにし水割りの氷で音を鳴らす。
『一杯だけなら』言いそうになった悠人だったが、さくらの視線を感じその揺らいだ心は霧散した。
現実問題としてあまりお金がなく、やる事もたった今できてしまった。
「まあまあ、我が奢ろう」
「……それって俺にツケがくるんですよね?」
「ぬあっはっは!」
「笑ってごまかさないでくださいよ。とりあえずさっきの件お願いしますね」
「ああ、任されよう」
「それじゃあまた他の二人がいそうな時間に来るんで」
隠れるように背を向けているが逆立った派手な髪によりバレバレな、隅っこで小さくなって飲んだくれている嵐神も悠人にツケを回しているため、そちらにはさくらが非常に穏やかな“オハナシ”をすることで手助けを約束させていた。
こちらは龍神と違いちびちびと飲むタイプなのでそれほど悠人の財布は痛まない。いや、痛すぎて感覚が麻痺しているというのが正しい。悠人は一応の用事は済んだとばかりに喫茶・ゆーとぴあを後にした。
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龍神たちに約束を取り付けた帰り道、ログハウスへ向けて歩いていた。徐にさくらが口を開き、感慨深げに言う。
「もう一年になるのね〜。ダンジョンにとっては最初のお誕生日かしら?」
【万物形成】という能力によって銃を創り出すさくらはそれらに愛称をつけている。そんな彼女だから、ダンジョンという生き物というより物質に思えるものに対して誕生日を結びつけて考えるのだろうか。
「確かにあの日は大変なことが起こった日よ? だけれど、そのおかげで私は悠人君に出会えたのよね〜。だからそういうことも明るく考えた方がお得なのよ、きっと」
ふ〜ん、なるほど。それにしてもログハウスの女性陣は心でも読めるのだろうかと何度も思っているが、また読まれたような気分だ。しかしそれは今更だしいつも通りなわけで特段気にすることじゃないな。
それよりもさくらが一緒に来てくれて助かったな。嵐神は以前頼みごとをした時もだったけど、断る気がないくせにワンクッション必要だから少し面倒なんだ。でもさくらのおかげで「手伝って?」「ハイ」みたいになる。チョロい。
「さくら、ありがと。嵐神がさくらに苦手意識持っててよかったよ」
「うふふ、いいのよ悠人君。元はと言えば私のわがままを聞いてくれようとしてくれたわけだし」
「あーまぁ……。でも思考回路がガチ魔王っぽいのを造っちゃったのはまずいかもしれないよね。はぁ……不安だなぁ」
「もう今更そんなことでうじうじしないのっ。でも……あの子にはお説教かしらね?」
「お説教」
お説教かぁ。いつもなら『おはなし』とか言うのに、それがお説教となるとどうなるんだろうな。あいつ無事に乗り越えられるだろうか。せっかくエテメン・アンキから出てきたのに、最初の思い出がお説教はかわいそうに思う。
これからおそらく悪いことをするであろう魔王ちゃんの心配をしているのは、俺がロリコンだからではない。というかロリコンではない。断じてない。
で、なぜかというと、あの時文字通り飛んで降ってきた魔王ちゃんだが、俺が怪我をしたことを何らかの方法で知ったから駆けつけてくれたように思えてならない。たぶん悪い子じゃないはず。その悪くない子に悪いことをさせようとした俺……一緒にお説教されるかもな。あと偏った魔王を教えたベータは説教待った無し。ともかく魔王ちゃんには悪い事をしたかもしれないと思っている。
立ち止まっていると正面に立ったさくらが顔を覗き込んでいた。
「あら? 悠人君には今お説教が必要かしらね? うふふ」
「お、お断りします!」
「そう? ざ〜んねん!」
おそらくこれから俺かさくらに総理からの直通電話が来るはずだ。そしてその用件は十中八九“魔王について”。
エアリスはインターネットを監視している。先ほど電脳空間でエアリスが見つけたのは些細な事で、自衛隊が20層に設置した基地局を経由する“不明なアクセス”を検知したらしい。スマホ等を使っていればエアリスにとっては“不明”とはならないはずで、そうなるということはそれ以外の方法によるアクセスとなるらしい。それにより魔王が何か行動を起こす可能性があると予測した。そして先ほど龍神と話している時、エアリスがその正体不明から全世界の権力者に向けてメッセージが発信されたことを察知していたのだった。