Hero Story
目が覚めるとそこはドラゴンが飛び回り、スライムが歩き回る。そう異世界に俺はいた
漫画やライトノベルでよく見た景色が眼前に広がり「へー」と声が出た
突然、地面が光りだし目を閉じると今度はファンタジーでよくあるお城の城内。しかも、無数の兵士に囲まれていた
思わず手をあげてて無抵抗の意思を示すも、兵士たちは「どうぞこちらです」と案内してくれる
たどり着いたそこには同じ学生服に身を包んだ数人の男女と壇上には豪華な服を着た王様と王妃様と思わてる人が座っていた
説明を受けると魔王が現れて、世界が危険とのことだった。これは憧れていたファンタジーだと思い、内心ガッツポーズをした
それから、力の使い方を教わり俺は無数の魔法が使えることが判明し、隣にいた後で親友となる ナイト は光速でふるう剣技が使えることが分かった
王様たちは気前よく、なんと城下町に一人一個ずつの一軒家を用意してくれていた
内装を自分好みに改造し、うきうきしてたのだが、異世界に来た連中でパーティーを開くと三日で汚れてしまった
部屋を片付けないようと思うも、魔物たちとの戦闘で日に日に成長していく自分が楽しすぎて一切手を付けずに気が付けば帰らなくなっていた
そんな、楽しい毎日を暮らしている中だった
この世界がどんなものかが気になり、本が収容されている図書館に入る許可を王様からいただいた
言語がわからず、苦戦しているとふと横からいい香りがして振り向いた
そこには俺が出会った中で5本の指に入るほど少女が給仕服に身に包み、手には紅茶をもって立っていた
彼女の名前は ノア まさかこの出会いが俺の人生を変えるだなんて思いもしなかった
どうやら、俺のことを気にかけていた王様が手配してくれたらしい
言語を教えてもらい、もう日が暮れていることに気が付いた俺は―――勇気を出して「明日も教えてほしい」と声に出した
ノアは「はい」と答えてくれた時にはもう、椅子から飛び跳ねそうになるほどうれしかった
それから毎日、図書館に入り浸ってノアに文字を教えてもらった
途中でナイトや同じ異世界に来たやつらも様子を見に来ていたが、にやにやしてはすぐに立ち去って行った
顔が真っ赤になるほど恥ずかしかったが、俺はノアに好きであることを隠すつもりはなく、あとは本人に文字を覚えた伝えようと思っていた
文字を完璧にマスターした日、俺は思い切ってノアをデートに誘った
だが、結果としては惨敗。デートはいやだと断られてしまった
その日はどうやって帰ったか覚えていない。
翌日、ナイトに出会い「どうした!? 今に死にそうだぞ!!」と声をかけられてようやく正気に戻り、涙を流したのをよく覚えている
ナイトは俺を慰めて、「何度でも挑戦しろ!!」と力強い言葉に俺の心は動かされた
それからというものノアのことで頭がいっぱいになり、図書館に足繁く通うも姿を現さなかった
もう二度と会えないだろうかと不安になっているときに伝令兵が図書館にやってきた
魔王の幹部が王城に攻めてきたとのことだった
これは一大事だと、杖を持ち魔導書を懐から取り出して俺は幹部の元へと駆けつけた
そこには苦しい声をあげて倒れこむ兵士たちと奥には魔王の幹部と剣で対抗しているナイトがいた
ナイトから「こいつは毒を使うやつだ! 解毒を頼んだ!!」とアドバイスを受け取り、すぐさま解毒を開始し、兵士たちは一命をとりとめた
そこからはもう一方的でナイトとの連携で幹部を退けることに成功した
これで一安心だと、壁にもたれかかると奥から王様たちが現れた
俺はそこで驚いた。なぜなら、王様の傍らにはノアがいつもとは違うドレス姿で立っていたからだ
あまりのことに開いた口がふさがない中でノアの声が聞こえた
「私は第三皇女 ノア。勇者様方、お守りくださってありがとうございます」と一瞬、なんのことは理解できずにいた
それから、王様は兵士たちに指示を出し、俺たちには残るよう伝えられた
みんなが対処に追われる最中で、ようやくノアと出会えたことに感激した俺は目の前まで歩いて行った
しかし、今思い返すとこの時の俺はどうにかしていたのだろう。今思い出しても恥ずかしくなってしまう
みんながいるまで俺は「好きです。結婚してください」とはっきりといった
全員の時間が止まり、風邪の流れる音が聞こえる沈黙を打ち破ったのはナイトの「やりやがったあいつ」と慌てる声だった
結果としては不敬罪で俺は牢獄に入れられてしまった。まあ、この国の第三皇女にあんな口をきけばこうなるだろう
いつもなら優しい王様たちもこればっかりはダメだというようにすぐさま兵士達に命令し、俺は無抵抗のまま投獄された
まあ、死ぬことはないかななんて楽観視していると兵士に明日、死刑を実行すると告げられて俺は慌てふためいた
このまま俺は死んでしまうのかそんな不安の中で、深夜、牢獄を見守る兵士がいなくなったころノアがカギをもって現れた
俺はやったと思い、早く開けてほしいと声を小さくしてノアにお願いした
するとノアからある不思議な提案をされた
「私も一緒に連れて行ってほしい」
もちろん、俺はOKを出して二人手を取って王城を脱出。なんとか頼れそうなナイトの家に向かった
突如、脱走してきた俺たちに驚くナイトは「とにかく入れ」と事情を聞いてくれるみたいで助かった
この時のナイトはさすがに死刑はやりすぎだと明日、王様に抗議するつもりだったらしく俺たちを向かい入れてくれる
しかし、ノアも来ることが計算外らしく警戒をしている。俺もノアの行動には矛盾を感じ、詳しく事情を聞くことにした
事情を聞くとノアは正式な第三皇女ではなく、王妃に邪魔だと疎まれているとのことだった
ノアは王妃の子ではなく、そのあたり複雑になっているとのことだ。そして、王のことを考えるなら自分は消えた方がいいと思い始め
そんな中で俺が現れて、見定めていたらしい
護衛にするには十分か、知識は確かなものか、さらには自分の命令を聞くことができるのか
確かにこれらすべてに俺はあてはまるだろう。無数の魔法を使い、この世界の知識を身に着け、ノアのことが好きだからある程度のことまでは命令を聞く
しかしだ。俺はノアに恋をしている。そのことを問い詰めると、鼻で笑われてしまった
ガックシと肩を落とすも、これから一緒にいることができることを思い出し、ついにやけてしまう
そこからはナイトと裏では王様が協力して姿を偽装する魔法を使い、町の中で町民の生活をした
その生活はまあ、魔物と戦う日々よりかは充実していたと思う
ノアと一緒に家に住んでいる物の、部屋は汚いとか帰ってくるのが遅いとか少しはこっちの都合も考えてほしいと思いつつも、内心ずっと楽しかった
それでも、俺は夜眠れない日々を過ごしていた。
理由は簡単だ、表向きには王妃は俺のことを処刑するつもりでいる。恐らくはノアを連れ出してそんなことをするつもりなどないと思うが、それでも眠れないのは俺の性格だ
でも、いいことがある。それはどうしても眠れないときは「仕方ないわね」と言いつつもノアが添い寝をしてくれるからだ
あの腕の中で眠るのはすばらしいという言葉しか思いつかないほど安眠することができる
その翌日、事態は急変した
朝起きて、台所に向かうとそこにはノアの姿はなく、手紙が置かれていた
そこに記されていたのは、これ以上迷惑をかけれないという謝罪と今までの共同生活は楽しかったとの感謝。そして、『私のことは忘れてほしい』とのことだった
知らなかった。ノアがこんな風に考えていただなんて、いつものあの傲慢な態度からは一切感じなかった
俺は自分を悔いた。二度も同じ少女を失ってしまった
このことをナイトに話すと知っているとのことだった
王城に連れていったのはナイト自身がノアにお願いされて連れて行ったと聞かされた
思わず、殴り掛かろうとするも俺はこぶしをひっこめた。俺にそんなことをする資格なんてないからだ
それから数日、ぬけがらになってしまった俺は、この異世界に来た時と同じように魔物と戦い、日銭を稼いでいた
その行為に楽しさは感じない。ノアがいない、この世界はすべて色あせているように見えてしまう
そして、運命の日がやってきた
今日は久しぶりに外に出ずに家で本を読んでいた
お腹がすいたと台所に向かうと見慣れない手紙が置いてあり、俺はそれに目を通した
それは決断を迫られる選択肢だった
『本日、夕方6時。王城牢獄内にて、第三皇女ノア、処刑執行』
それを見た瞬間、俺の背筋が凍った。ありとあらゆる疑問が頭によぎる中で俺は一つの決断をする
だが、それはこの世界に来てから手に入れたものすべてをドブに捨てるような行為だった
あと一歩、足を踏み出せない俺はそこで立ち尽くしてしまう。時間は無慈悲にも時を刻む
震える手を握り、落ち着こうとコップに手を伸ばすも落として割ってしまう
まただ、俺は肝心なところで動くことができない。また、失ってしまうのか?そんな恐怖が頭によぎる
視界が定まらなくなり、酔っぱらいのような足取りでガラスの破片を片づけると指を切ってしまった
痛い、誰も助けてなんかくれない。俺は独りぼっちなんだという負の思い込み。
そんな中で俺は意味もなく外から聞こえてくる声に耳を傾けていた
それは無邪気な少年と少女の遊ぶ。
笑い声だった
その声に感化されて俺はノアとの思い出に気付く
この世界に来てから、俺は何をしていた? ただ、意味もなく案山子のように立っていただけだったか
違うだろ。苦しいことがあった。恥ずかしいことがあった。楽しかったことがあった。
ただ、結果がついてこなかっただけだ。あの時の俺の運がなかっただけだ
それは今もそうなのかもしれない。それでも、違うことある。今の俺は行動をしていない
それなら、やることは一つだけだ
久しぶりに箪笥の肥やしになっていた学生服に袖を通し、この世界での相棒の魔導書と杖を手に持ち、俺は王城に向かって走った
王城に侵入するのは簡単だった。近衛兵の姿に擬態し、書類を偽造。なにごともなく侵入した俺はその姿で近衛兵を脅し、ノアの居場所を聞き出した
牢獄にたどり着き、ノアを見つけた。ひどく衰弱しているようだった
俺はちゅうちょなく檻を光の剣で分断し、怖がるノアの体を抱きしめる
そこでノアはようやく俺のことに気付き、安心したかのように眠った
そこから俺はノアを抱きかかえて、王城から脱出することに何とか成功した
途中で、王様に見つかったときはダメかと思ったが、「娘を頼む」と頭を下げられたときは驚いた
王女に出会うことはなかったが、そんなことはどうでもよかった。とにかく、皇国の外に行くことだけを考えて走った
馬車を手に入れ、走りだすとノアが目を覚ました
「どこにいくの?」と聞かれ「この国の外に行く」と答えた
幸いにもこの国の国境線には一つ、警備が手薄な森があった
そこは隣国と隣り合わせにもかかわらず、強力な魔物が出るため警備の必要なしと判断されている
俺ならそこを突破することができると確信していた
だかた、その道を選んだ
しかし、そのことを俺は一生後悔するだろう
なぜなら、その場所で待っていたからだ
親友のナイトが大量の魔物たちし甲斐の中で返り血を浴びて不気味にたたずんでいた
一瞬、大けがをしたのかと見間違うほどに血にまみれているがその可能性はないとすぐに考えついた
あのナイトが魔物程度で怪我をするはずがないからだ
なら、どうしてナイトはこの場所にいる
俺は一言も声をかけていない。どうして、ここで魔物を大量に殺している
俺がいたった結論は一つだった
ノアを場所の奥に、押し込み。封印魔法で安全を確保する
その間、ナイトは一言も発さずただただ俺を見つめている
かわす言葉なんかなかった。俺にはそんな言葉を持ち合わせていなった
ただ、ノアと一緒になるためには目の前のナイトを倒すしかない。それだけだった
全神経、全感覚を使い、俺はナイトに襲い掛かる
それでも、俺はナイトに一歩及ばなかった
地面にへたり込んでしまった俺は草を踏みしめる音でナイトが近づいてきていることが分かった
顔をあげる気力すらなかった
もう駄目だ。やっぱり俺には運がないことを思い知る
その時だった
「やめてぇぇぇぇ!!」
いつのまにか封印魔法が解除され、ノアが俺の前で立ちふさがった
振り上げられていたナイトの剣がノアの体を引き裂こうとする
俺は最後の魔力の使い、光のナイフで剣より早く、ナイトの喉に突き刺した
「ごふっ」と口から血を吐き出し、倒れこんだ
恐る恐る、顔を確認すると瞳孔が開き、死んでいることがわかった
やってしまった。これで俺は親友を殺してしまったことを自覚し、手の震えが止まらない
しかし、立ち止まることができなかった
魔物の声がどんどん近づいてくる。死体の匂いにつられたのだろう
俺は、ノアを抱えてその場から脱出し、皇国を抜け出した
あの運命の日から7年の月日が流れた
俺は幸せにノアと結婚し、子宝にも恵まれた
隣国で商人として日銭を稼ぐので精いっぱいだが、何とか幸せに暮らしている
今でもナイトのことを考えな日はない。
あの日、もし俺にもっと勇気があればどうにかすることができたんじゃないだろうか
そんなことを考えて今日も俺は商品を仕入れる
すでにノアと子供が開店準備をしており、早く帰らなければ
街中を走り、行きかう人々にぶつかりながらも戻ると懐には手紙が入っていた
いつ、入れられたのだろう
不思議に思いながらも、中を確認する
その中身は―――