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地獄はここから


 元魔術師の反乱者・カミノが使用していた地下の基地。


 その入口の周辺では、複数の兵士達の班が、見張りの為にキャンプしている。


 数日前、地下の基地を調査していた兵士達の班が、行方不明になった為だ。



「なぁ、行方不明になったあいつら何処に消えたと思う?

俺は、地下に隠れていた反乱者の生き残りに、監禁されてるんだと思うが」


 キャンプをしている兵士の一人が、剣の手入れをしながら他の兵士達に話題を飛ばす。 


「それは考えすぎだな。多分、侵入者を排除するトラップに引っ掛かったんだろ」


「どっちもありえないな。あの班は調査する為に組まれた班だ。

つまり、中に潜んでる生存者や、トラップには、先に気付くんだよ。

そういうのに詳しい奴らなんだからな」


「でもさ、相手の方が一枚上手だったって事も十分ありえるだろ」



「いや、どれも違う」


 皆が冗談交じりで話し合う中、一人の青年が真面目な表情で口を開く。


「魔物だ」


 青年の言葉に、皆が静まり返る。


「・・・魔物? えらい自身あり気だが、何か根拠があるのか?」


「ああ、あるぞ。

昨日、地下の内部に偵察用の使い魔を潜入させる任務が行われていたんだ。

だが、途中で使い魔との連携がとれなくなり、使い魔は完全に操作不能になった。


だが使い魔が操作不能になる直前、使い魔を通して映像を見ていた奴が、魔物の様な物を見たと言っていたのを聞いたんだ」 


「おい本当かよ。俺たちは何も聞いてないぞ?」


「だが、今日地下の探索に向かった奴ら、全員Sランクの強豪だ。

間違いなく魔物との戦闘を意識している」


「マジか・・・。

まぁ、反乱者共は魔物を飼っていたんだろ? だったら、奴らの飼ってた魔物が残ってる可能性もあるよな?」


「でもおかしいだろう? 反乱者共が飼ってた魔物は、あの図体のデカイ、ビーストだけだ。

そんな人間やトラップよりも目立つ魔物に気付かなかったのか?

それにもし、魔物がいたとしても、檻に閉じ込められてるんじゃないのか?」


「もしかしたらビーストだけじゃなく、別の種類の魔物も飼っていたのかもしれないぞ」


「おい、ちょっと静かに」


 再び議論が白熱する中、兵士の一人が何かに気が付く。 



「なんか、揺れてないか?」


 テーブルに置いてあるコップが、振動している。


「そりゃ、コイツの声がデカイからだろう」

 

「いや、待て。本当に揺れてるぞ」


 兵士達は話を中断し、辺りの様子を伺う。


 周りでキャンプしてる他の班の兵士達も、何が起きたのかと警戒している様子であった。



 その時。


 地下の基地への入り口がある古い建物から、何かが破壊される轟音が鳴り響く。


「地下だ!!! 地下で何か起きてるぞ!!!」


 地下の異常に気が付いた兵士たちが、

素早くそれぞれ通信用のデバイスや、武器や装備を手に取る。



 再び、地下の基地から轟音が響く。


 音は先ほどよりも大きく、地震の様に地面が揺れる。



 そして。


 古びた建物の壁が突き破られ、そこから黒い巨体の魔物が現れる。



「おいおい、嘘だろ」


 それだけではない。


 地下の入り口から、昆虫の様な脚を持つ大型爬虫類の魔物や、6本脚の狼型の魔物等。


 大小さまざまな魔物が、次々に地上へと這い出てくる。


「クソ、マジか!!! 本当に魔物が出てきやがったぞ!!!」



 すぐに、武器を装備した一班が、地下から湧き出てくる魔物の波と交戦するが。


「ひっ・・・!?」


 魔物の数が、あまりにも多すぎる。


 あっという間に、その一班は魔物の軍勢に引き裂かれ、呑み込まれていった。 



「・・・こんなの、どうしろって言うんだよ」


 たったの数十秒で、そこは魔物が這いずり回る地獄へと変貌した。


 魔物と戦い慣れてる兵士達ですら、見た事の無い程の数の魔物の群れ。


 それが壁外の奥地でなく、国の中の、街の外れで起きているこの状況に、兵士達はただ唖然とした。


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