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半年後



 元魔術師・カミノ率いる反乱者の起こした反乱から半年が過ぎた。



 南の街には、ある建物が建築されている。


 それは"異界人"の兵士専用の基地だ。



"異界人は南の街に移住し、許可なく街の外に出る事は禁止する"


 法でそう決められたものの、南の街には異界人全員を収用出来る場所はなかった。


 その為、その人数を収用出来る基地を、新たに作らなくてはいけなかったのだ。

 


「着いたぞ」


 4足歩行の獣型をした使い魔が引く馬車が、その基地に到着する。


 金属製の精巧な造りをした馬車が開く。



「ほら、早く降りろ」


 数人の兵士に連れられ、フードを深くかぶった人物が、開いた馬車から降りた。


 手には金属製の手錠が掛けられている。



「なんでこんなゴツい手錠をかける? 

しかも丁寧に、魔法で強化までされてやがる。ちょっと大げさすぎないか?」


 そう言いながら、手錠を掛けられた手でフードを外す。



 その人物は、コハクであった。 

 

 目の下には濃いクマが出来て、その分目付きも悪くなり、

半年前のコハクとは別人かと思う程に、その顔つきは違っていた。



「そうしないと国民が納得しないんだ。

安全性とか危険性はどうとか、そういう事をこなす事も軍の努めだ」


「でも、壁外の任務には出すのは誰も文句言わない。

もしかしたら、僕が任務中に逃げ出すかもしれないのにな」

 

「一部の人間は、君の様な異界人は監禁して二度と外に出すなと言ってる」



「でもそうはしなかった。いや、出来なかったんだろう?」


 ふん、鼻で笑うコハク。


「そうしないと、魔物と戦う者がいなくなってしまうから。

危険な事ことは異界人に任せて、自分達は安全なとこでお茶でもしたいからさ」 


「余計な口を利くな、異界人」


 男性兵士が、早く進めとコハクの背を押す。 


「あぁ、そうだった。兵士にさせられるのは、18歳以上の男子、又は魔法の適正があるものも含まれるんだったな。

つまり僕ら異界人がいなくなってしまったら、次に国民共の矛先が向くのはキミらってことだ。

ということで、仲良くしようじゃないか?」


「おい」


 もう一度、兵士がコハクの背を押す。


 一回目よりも強く押され、コハクの身体が前のめりになる。


「余計な口を利くなと言っただろ」


 はいはいと、コハクは兵士達に連れられて基地の奥へと進む。



「着いたぞ。ここが君の新しい部屋だ」 


「おいおい、なんだこのドア。牢屋より分厚いんじゃないのか」


「では、また牢屋に戻るか?」


「いやそれは結構」


 コハクは金属製で頑丈そうな造りのドアを開き、部屋に入る。



 すると、そこには既に先客がいた。


「あっ、コハクさん、ごめんなさい、連絡がないので先に部屋に来ていました」


 その先客とは、フローラであった。


「あぁ、移動中は、デバイスとか、その他魔術器の所持は禁止とか言われててね。

後ろの奴らに取り上げられてた」

 

 コハクの後ろに続き、警備用の装備である杖を持った兵士達が部屋に入る。


「失礼、そこの君は誰だ? なんの用事でこの部屋にいる?」

 

 兵士達が、フローラへ問いかける。


 兵士達に敵意はないが、その冷淡で業務的な声に、フローラは少し緊張を感じた。

 


「あ、あの。私はコハクさんの荷物を運ぶ手伝いをしていたんです」


 フローラの言うとおり、部屋にはコハクの私物を収納した布袋や、箱が置いてある。

 

「そうか。女性の魔術師が荷物運びとは、珍しいな」

 

「気にしないでください。私が自分で志願したんです」


「まぁ良いだろう。任務は午後からだ。それまでは自由に部屋を片付けておけ」  


 そう言うと、兵士達は部屋を去っていく。



 ばたん、と。

 重々しい金属製のドアが閉まり、部屋にはコハクとフローラの二人だけとなった。



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