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僕は無力だ

 

 軍基地の廊下を、コハクが息を切らしながら走り抜ける。


 カグリに斬られた腕が痛むが、そんな事は構わず、コハクは全速力で走る。


 目的地は、とある病室だ。



「あ、あの!? 式利さんは!?」


 それは式利の病室である。


 コハクが病室に入ると、そこにはベッドに横になった式利と。

 

 椅子も使わず、地べたへ座り込むセンリがいた。



「え・・・?」


 コハクは何か嫌な予感を感じながら、式利の顔を覗きこむ。 


「式利さん? 寝てるんですか?」


 コハクが問いかけても、式利は目を閉じたままである。


「ちゃんと治療したんですよね? 間に合ったんですよね? 寝てるだけですよね?」


 コハクは息を整えながら、落ち着いて式利の顔を見る。



 式利の顔色は悪く、それにぴくりとも動かない。


「・・・嘘ですよね? センリさん?」

 

 ようやくコハクの声が届いたのか、センリはゆっくりと顔を上げる。 


 センリの表情は酷く暗く、いつもの頼れる戦士のものとはとても懸け離れていた。



「間に合わなかった」

 

 センリが小さく呟く。


「式利は、助からなかった」


 センリの口から、聞きたくなかった言葉が出る。



「え・・・」


 コハクはもう一度、式利の顔を見て確認する。


 もしかしたら全部見間違いで、式利は眠っているだけなのではないかと、コハクはそう思った。



 しかし何度見ても、式利が目を覚ますことなどない。


 どう見ても、彼女は死んでいた。



「こ、コハクさん! 走るの、早すぎです! 怪我してるのですから、無理はしないで、ください!」


 フローラが、コハクと同じ様に息を切らしながら部屋に入る。 


「え・・・?」


 そしてフローラは、病室に入ってすぐにその最悪な雰囲気を感じたのだろう。


「・・・式利さん?」


 フローラは一度、式利の顔を見て、そして言葉を失った。


  



(僕は、誰も助けられなかったのか)



 コハクは、全身から力が抜けるのを感じた。


 身体だけじゃない。


 思考の隅々まで、全てまっさらに消えていく感覚。




(僕は・・・。


 式利さんが命を掛けてまで、ユークリウッドを倒したというのに。


 雪妃さんの事も、助けられなかったのだ。


 誰も、助けられなかったのだ)


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