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日常 02


「はぁ、どうせ異世界に来たのなら、可愛い女の子がパートナーになってくれるとか、あってもいいのなぁ」

 

 例えば。


(フローラさんとか? いやでもセンリさんと班を組んでいるし・・・他には、シンキさんとか? いや、シンキさんは怖そうだ。僕じゃ絶対無理だわ・・・)


「って、何考えてんだろ、僕は」


 溜息を吐きながらコハクが林の奥へ進んでいくと、大きな川が現れた。


 この川がCランクとBランクを区切る一つのラインであり、川を越えた先は危険度が上がりBランクの地域とされている。

 

 中には川を越えて渡って来る魔物も居る為、こういったランク境界線の付近は危険とされている。

 


「しょうがない、この辺で魔物を探すか」


 コハクは警戒しながら周囲を探索すと、すぐに道の脇から植物型の魔物が現れる。

 3体も束になっているが、コハクは魔物の蔓を剣で切り裂き、一匹づつ確実に仕留めていく。


「やっぱり、魔物の数が多い・・・」


 倒した魔物から魔力を吸収するコハク。


 その時、川の方から音が聞こえる。


 コハクが振り向くと、何かが川の中から這い出してくるのが見える。



「なんだ、見た事ない魔物・・・?」


 海老の様な甲殻類に見えるが、頭部に付いている大きい口に、人と同じような歯が並んでおり、奇妙な姿をしている。


 大きさは大型犬よりも一回り大きく、胴体から生えた4本の脚で陸を歩行している。


 目らしい部位はついておらず、視力があるのかわからないが、甲殻類の魔物は真っ直ぐコハクの方へ接近してくる。

 

「あー、くそっ。寄ってくるのは女の子じゃなくて魔物かい・・・」


 コハクは剣を振り上げ、接近してきた甲殻類の魔物へ振り下ろす。


「・・・っ、硬い!?」


 刃が魔物の頭部を斬り付けるが、甲羅が硬い為か両断は出来ずに刃は途中で止まっている。


 魔物は威嚇する様に不気味な口を開き、コハクに襲いかかる。


 コハクは魔法弾を生成し、大きく開いた魔物の口内へ向けて放つ。

 魔物の口内へ入った魔法弾が炸裂し、魔物の頭部が吹き飛ぶ。


「よし、この程度なら・・・ッ!?」


 魔物を倒し一安心するコハクだったが、川を見ると、同じ甲殻類の魔物が次々と岸に這い上がっていた。

 そのうえ、中には人よりもずっと身体の大きなものも見える。


「うぇ・・・!? これはちょっとまずいかも」


 コハクは後退しながら、接近してきた小さい甲殻類の魔物の口内に剣を突き刺し、インヴェイションで魔力を奪い止めを刺す。


 身体の小さい魔物はすばしっこく動き回るが、身体の大きな物はあまり素早く動くことはないらしい。


 これなら逃げ切きる事は出来そうだと安心するコハク。


 だが、コハクが草むらに入り込んだその時、草むらの中から伸び出した蔓がコハクの足に絡みつく。


「うっ!?」


 コハクは蔦を振りほどこうとするが、態勢を崩し転倒してしまった。


 コハクはすぐに剣で蔓を切断すると、草むらから現れた植物型の魔物を切り倒す。



 しかし、立ち上がろうとするコハクへ小型の甲殻類がコハクに襲いかかる。


 すぐに剣を構えるが、甲殻類の魔物が剣の刀身に喰らい付く。


 そうしているうちに、また別の植物型の魔物が蔓を伸ばしコハクの足に絡みつく。



「くそっ!!!」


 コハクは、剣に喰らい付いている甲殻類型の腹部に片手を当て、魔法弾を撃ち込む。


 魔法が炸裂し、甲羅で覆われていない柔らかい腹部を吹き飛ばす。

 コハクは足に絡みつく蔓を引き剥がして立ち上がるが、魔物の群れがすぐ傍まで迫っていた。


 逃げようと林を進むコハクだが、道の脇から生えた植物型の魔物がコハクを捕えようと蔓を伸ばす。


 先程までは弱いと思っていた植物型の魔物も、状況が変わると非常に厄介である。


 そうして魔物の蔓を処理している間に、追い付いてきた甲殻類の群れが襲い来る。


「ぐっ・・・!!!」


 逃げ切れない。

 コハクがそう思った瞬間。



 魔物の群れが、後方から順に次々と切り倒されていく。

 


「な、何・・・!?」


 突然細切れになっていく魔物の姿に、困惑するコハク。


 更に、巨大な魔物もどこからか放たれた光線で焼き払われ、一瞬で灰となる。



「やけに魔物が多いな」


「この程度ならすぐに片付きます」

 


 現れた兵士達に、コハクは見覚えがあった。

 

 センリに、式利。そして後から二人を追って来るのは、竜を連れたアルスフォードに、フローラであった。

 

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