表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/148

まだ、終わりじゃない。


「ぁ・・・」


 コハクが目を開く。


「あれ・・・?」


 何故か、コハクは泣いていた。


 長い夢を見ていた様に感じたが、コハクはすぐに今の状況を思い出した。 



 目の前には、既に形が薄れ、頭部だけしかはっきりと残っていないユークリウッドの姿がある。


 コハクの腕がユークリウッドの首掴み、インヴェイジョンの力でその身体を喰らっている。


 しかし、ユークリウッドの表情には、先ほどまでの、殺意も、怒りもない。



「・・・アリア」 


 そうして、ユークリウッドは。


 少女の名前を呟いて、消滅した。





***





「式利!!! 大丈夫か!?」


「うぐ・・・さぁ、どう、でしょうか」


 センリの呼びかけに、式利は弱々しい声で答える。


 すぐにフローラが治癒魔法を唱え、式利の傷を癒す。


 傷口が塞ぎ、出血は収まったが、とても無事とは思えない様子である。



「あの、コハクさんは、無事ですか? 奴は、倒せましたか」


 そんな状態だというのに、式利が気にしたのは、この戦況だった。


「は、はい。僕は無事です。霧の異界人は、完全に消えたみたいです。式利さんのお陰です」

 

 それを聞いて、式利はふふ、と微笑む。

 


「じゃあ、まだ次にやる事があるじゃないですか。コハクさん、早く雪妃さんを追いかけてください」


「で、でも式利さんが・・・」


 先程、涙が出ていたで涙腺が緩んだのだろうか。


 弱々しく微笑む式利を見て、コハクの目からはまた涙が流れ出る。


「私は大丈夫です。早く行ってください。ここで雪妃さんを救わないと、身体を張って奴を倒した意味もなくなってしまいます」


「・・・わかりました」



 思えば、コハクはここ最近、ずっと式利に助けられていた。


 初めて班を組んで、その班が魔物に襲われ、皆が殺され、その責任を負わされた時。


 その時のトラウマで、魔物と戦えなくなってしまった時。

 

 霧の異界人―――救世主こと、ユークリウッドに遭遇した時。


 そうして奴にリベンジする為、雪妃を助ける為に、コハクと式利は、ずっと訓練を重ねてきた。


   

 コハクは涙を拭う。


 絶対に雪妃を救うと、心の中で式利に誓った。



「式利は、俺が軍の医療室まで連れていく。フローラも着くまでの間、魔法で癒してやってくれ」


「わかりました」


 センリは式利を抱えて立ち上がる。



「コハク、気を付けろよ。まだ反乱は終わっていないからな」


「・・・はい。センリさんとフローラさんも。それと、式利さんも。どうかご無事で」


 そうして、コハクは3人と別れ、雪妃の向かった方角へと向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ