神速の剣士
「お前xxxアァxxx!!!」
ユークリウッドはセンリへ向け、肩の禍々しい形状の腕を振るう。
しかし、高速で振るわれたユークリウッドの腕は空を切った。
「xxx!?」
センリは、既にユークリウッドの背後を取っていた。
そして、虹色の魔力を纏う刃で、ユークリウッドを斬り裂く。
その一瞬で、ユークリウッドの胴体には無数の切り口が開き、
そこから虹色の魔力が炸裂した。
ユークリウッドの背は形が崩壊し、霧が吹き出す。
「ガxxxァァxxx!!!!」
だがユークリウッドはそんな攻撃などお構いなしに、センリへと反撃するが、攻撃の速さはまるで違う。
ユークリウッドが一度肩の腕を振る間に、その片足は切り刻まれ、虹色の衝撃波と共に消し飛ばされる。
「センリさん・・・!? よかった、間に合った・・・!」
センリの助太刀に向かおうと、ふらつきながら立ち上がるコハク。
「コハクさん、待ってください!」
そんなコハクを、フローラが抱きとめた。
「ふ、フローラさん?」
「動かないでください。今、魔法で身体の傷を治します」
フローラの手から淡い色の光が溢れ、コハクの身体を優しく包みこむ。
コハクは、錆びついた機械の様に動かなかった手足が、段々と楽になっていくのを感じた。
「ありがとうございます・・・」
「御礼なんて必要ありませんよ。これが私の兵士としての役目ですから」
いつもの様に、フローラは微笑む。
「それにしても・・・」
ユークリウッドと戦うセンリの姿に、コハクは思わず立ち上がる手を止めてしまった。
高速で振り下ろされるユークリウッドの腕。
センリはそれを回避すると、地面に突き刺さったユークリウッドの腕を剣で切り裂いた。
魔力を纏う刃がユークリウッドの強固な腕にヒビを入れ、続けて振るわれる一撃が腕を砕き、破片が飛び散る。
その斬撃が、一度瞬きする間に何十回と繰り出される。
飛び散った無数の破片が霧状に変化し、破損したユークリウッドの腕からは黒い霧が吹きだす。
「グxxxxxガxxxxxx!!」
肩の腕だけではセンリを相手には出来ないと、ユークリウッドは両腕を再生させようとするが。
黒い霧が腕を形成する前に、センリの振るう魔法の斬撃が、それを切り伏せる。
(・・・すごい。攻撃が速過ぎる)
戦いの次元が違い過ぎるとはこの事だろうと、コハクは感じた。
「さて、いつまでもセンリさんの戦いに見惚れてる場合じゃないですよ」
コハクとフローラの横に、式利が立つ。
「センリさんは、絶対に負けません。なんたって最強なんですから」
でも、と式利はコハクに告げる。
「でも、あの化け物を倒せるのはコハクさんだけなんです。その英雄の力だけなんです」
「・・・はい」
あの霧の化け物を倒せるのは、自分の持つ"英雄の力"だけだと、コハクはそう自分を震え立たせた。
死が近付く感覚を振り払い、コハクは立ち上がった。




