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防戦一方 02



 コハクを追って民家へ向かうユークリウッドを、式利が魔法で撃ち抜く。


 魔法の弾丸が炸裂し、ユークリウッドの身体の一部を霧状に散らせた。



「全く、私の事は無視ですか」


 続けて魔法の衝撃波を放つ式利だが、ユークリウッドは肩から生えた腕でそれを防いだ。

 

 肩から生える異形の腕は、ユークリウッドの身体よりもずっと硬いのだろう。


 いくら魔法を撃ち込んでも、全く形を崩すには至らない。



(どうせあの腕も、破壊したって霧化するだけでしょう。ならやはり、本体を狙うしか・・・)


 式利は衝撃波でけん制しながらユークリウッドとの距離を縮めるが。


 ユークリウッドから黒い霧が放出され、霧は濁流の様に式利へ襲い掛かる。


「うぐぅぁ!!! このっ!!!」


 式利は魔法壁を展開して黒い濁流をせき止めるが。


 ユークリウッドは黒い霧を放出したまま式利へと接近し、肩の腕を振るい、魔法壁ごと式利を吹き飛ばした。


 吹き飛んだ式利を尻目に、ユークリウッドは近くにあった店舗へ近付くと、

肩の腕でその壁を握り壊し、その瓦礫をコハクへ向け、投げ飛ばした。



「ぐぅっ!?」


 盾でそれを防いだコハクだが、その衝撃までは押し返せず、瓦礫がコハクを押し倒す。


 コハクは地面に押し潰されそうになったが、瓦礫はなんとか一人でも押し返せる程度の大きさだったのは幸いだろう。

 

「げほっ・・・くっそ・・・!」

 

 起き上がったコハクが顔を上げると、ユークリウッドが、こちらへ向かっているのが見えた。



「くそ、やっぱり僕を狙っているのか・・・!」


 立ち上がろうとするコハクだが、思ったよりも身体のダメージは大きいらしい。


 肩の力が抜けて、また地面に倒れてしまう。



「あぁ、動け、動け、このっ・・・!!!」

 

 なんとか上体を起こすコハクだが、ユークリウッドは両腕を黒い刃に変形させてコハクへ接近する。


 

「あぁ・・・」


 コハクはふと、前に外の林で黒い大蛇の魔物に襲われた事を思い出した。


 目の前に、死が迫る感覚。


 少しの間忘れていた、恐怖で手が震える感覚を、コハクは思い出した。

  


 その時。



「おい」


 ユークリウッドの両腕が、一瞬で霧状に散る。


「グxxxァァxxx!?」


 何事かと、後ろを振り返るユークリウッド。

 


「俺が相手をしてやるよ、霧の異界人」  


 そこには、剣を構えたセンリが立っていた。


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