西の街の静かな反乱
とある無人の倉庫。
カミノはこの地下に隠れ家を造り、魔物を隠していたのだが。
「ふーむ、これは」
倉庫の前には、人間の腕が落ちている。
斬り口を見るに、剣で切断されたものだろう。
たまたまここで戦闘が行われていたのだろうか、それともこの先で戦闘が行われているのか。
だとすれば何故、ここに隠れ家ある事が判ったのだろうか?
カミノは疑問に思いながら倉庫の入り口を開く。
戦闘は行われていなく、中は不気味な程の静寂である。
しかし、床には反乱者だと思われる死体が転がっていた。
死体の状態を見るに、まだ死んだばかりだとカミノは推測する。
カミノは面倒くさそうな表情を浮かべながら奥に進むと、地下への扉が開かれているのを見つけた。
扉は厚く、結界により保護していたのだが、どうやら強引に突破されたらしい。
その奥から、僅かに音が聞こえるが、カミノは特に警戒する事なく、堂々と扉をくぐり奥へ進む。
するとそこには、一人の兵士が立っていた。
「・・・おやおや、良く会うな」
呆れた様子のカミノ。
破壊された魔物用の檻と、床に散らばる魔物の肉塊。
そのど真ん中に立っているのは、カグリである。
「よーやく現れたな。あんまり遅いから、ぜーんぶ殺しちゃったけど?」
カグリは手に持っていた魔物の頭部を投げ捨てる。
ここには3体の魔物を隠しており、仲間の反乱者に見張りをさせていたのだが。
3体の魔物も、見張りの反乱者も、カグリ一人に始末されてしまったらしい。
「まぁ、アンタが本物なら良かったんだけどねぇ。のこのこ外を散歩してるって事は、どうせまたニセモンなんでしょ!!!」
カグリは炎の槍を生成すると、それをカミノへ向け勢いよく投擲した。
かなりの速度で放たれた炎の槍だが、カミノの展開する魔法壁を貫くには至らなかった。
だが、槍が魔法壁に衝突した瞬間、槍は激しく爆発し、強烈な炎を上げて周囲に燃え盛る。
そしてカグリは、周囲に燃え盛る炎のカーテンに紛れながら、を蹴ってカミノへ接近し、剣を振るう。
カグリの繰り出す連撃は、カミノが展開する魔法壁を掻い潜り、カミノの腕を切断した。
「ちっ、この泥人形が」
カグリの予想通り、切断されたカミノの腕は砂となって消滅する。
「だったら笑えるな。土で出来た人形と、軍の操り人形で人形遊びじゃないか」
カミノはお返しとばかりに、片腕から虹色の霧を噴射し、カグリへ吹きかける。
「土じゃ遊びにもなんねぇよ」
防御結界がカグリの身を守るが、激しく放出される虹色の霧には耐え切れず、徐々に結界が割れ始める。
だが、カグリには一瞬凌げるだけで問題ない。
その一瞬の間にカグリはカミノの脚を斬り裂き、そして胴体を真っ二つに切断する。
「あー、見事だな、兵士」
わざとらしい笑い声を上げながら、カミノの上半身が床に落ちる。
「奴隷に親を殺された逆恨みで、ここまで強くなるとはな」
「負け犬のなんちゃらかい・・・。あの奴隷共にはむしろ感謝してるよ。私に殺しとは何なのかを教えてくれたんだからさぁ」
カグリは、カミノのわざとらしい挑発ふんと鼻で笑い飛ばす。
「さて"情報"も手に入った事だし、次へ行かせてもらうよ」
そしてカグリは、カミノの首へと剣を振り下ろした。




