緊急事態
休み無く鳴り響く救援と緊急の連絡に、慌ただしく通路を駆ける兵士達。
そんな軍の基地の中を、カギツキとシンキが並んで歩く。
「状況は?」
カギツキが、シンキに問う。
突如街中に現れた大型の魔物、そして反乱者達による襲撃で、ヴァーリア軍は混乱していた。
「南の街だけではなく、他の街にも魔物と武装した反乱者が現れてます。現れた魔物は危険度Sランクの"ビースト"です。その数は、未だ不明」
シンキが冷静な様子で答える。
「まさか奴らが魔物を飼っていたとはな。だが、一番の問題は、あの霧の異界人とカミノの動向だ。奴ら二人の対処が最優先だ」
「はい。では、その二人の相手は私が?」
「そうしたい所だが、お前はいつもどおり王宮を護れ。霧の異界人だけを相手にするなら、カグリかセンリか、誰か腕の立つ剣士が居れば対処は出来る」
前回、式利とコハクが交戦した時の情報により、霧の異界人ことユークリウッドの正体には大分近づいたと言える。
だが、ユークリウッドを確実に倒せる戦法は見つかっていない。
「センリの班はすぐに準備出来るか?」
「はい、センリとフローラ、アルスフォードは待機してます。式利だけ不在のようですが」
「あいつがいないとは珍しいが、この状況で探している暇はないな。センリの班と、Aランク以上の魔術師で構成された部隊をいつでも出撃させれる用意をさせておけ」
ただし、とカギツキは付け足す。
「アルスフォードは別の班で魔物の処理をさせる。「竜のカード」の使用は禁止させろ。街が吹き飛ぶ」
「承知しました。それと、カグリの班はどうします?」
「カグリはここにはいない。朝から反乱者共の情報を探す為に任務に出ていたからな。奴の事だ。もう状況はわかっているだろう。連絡は私がを入れておく」
シンキは「了解しました」と返事を返すと、カギツキと別れ、足早に基地の奥へ向かっていった。
「・・・カミノめ。一体、何を企んでいる?」
カギツキはシンキの後姿を見送りながら、デバイスを取り出した。




