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ヴァーリア国と英雄 04


「あっ、コハクさんお帰りなさ・・・あれ? なんだか疲れてます?」


 広場に戻ったコハクを、フローラとセンリが出迎える。


「んと、まぁ。久々に運動したからかな」


 ただでさえ緊張で気が張っていたうえ、更にその場で戦う事となったのだ。

 コハクが疲れているのも当然だろう。



「ところで二人に聞きたいことがあるんですけど。"魔創"って、知ってますか?」



「あぁ、確か英雄の力と呼ばれているやつか。魔力が無限に成長するんだっけか?」


 そう答えるセンリ。


「無限に成長する力・・・へぇ、なんだか凄そう・・・」 


「はい! 実際、凄い力なのですよ!」


 魔法の話が好きなのか、フローラは楽しそうな顔で話題に食い付いた。


「通常、魔力とは身体の成長と共に魔力量も成長していきます。

例えるなら、筋肉みたいなものです。筋肉も魔力も訓練によって鍛える事で成長しますが、人間の身体にはある程度限度がありますし、年をとれば衰えていきます。

けど英雄の力はその限度がなく、衰える事もありません。

それに加えて"インベイジョン"という相手の魔力を吸収する魔法を扱う事が出来ます!

死竜を倒した伝説の英雄が扱う"インヴェイション"は相当強力で、魔法はもちろん、ありとあらゆる攻撃を吸収出来た、無敵の魔法だったと聞いています!」


 凄い勢いで説明を始めるフローラ。


 そんな彼女に続いて、センリが口を開く。


「ようは筋肉の例えだと、相手の筋肉を千切って自分の身体にくっつけるだけで筋力がアップ出来るって訳だ」


「・・・センリさんの説明はなんだかグロテスクです」


 フローラは、うっ・・・と具合悪そうな声を漏らす。


 センリは「そうか?」とふざけた様に笑った。



「でもほら、人間ってのは1匹魔物を倒したところでゲームみたいにレベルアップする訳じゃないだろ?

 でも"魔創"を持つ奴は、魔物を倒してその魔力を奪えば、ゲームでレベルアップしていくみたいに、どんどん強くなっていくって事さ。そう聞くと英雄っぽいだろ?」


「なるほど・・・」


 コハクはそんな力が自分にあるのかと思い、思わず微笑んでしまった。



「ところで、コハクさん? どうして急に英雄の力の事を知りたくなったのですか?」


「えっと、カギツキ隊長の話だと、僕にその英雄の力があるらしくて・・・」


「え?」



 一瞬、時間が止まったかの様に二人が固まる。  

 

 そしてその間の後。



「えええええええ!?」


 あまりに驚いたのか、フローラが声を上げる。


「は!? ほ、本当にか?」


 フローラの程取り乱してはいないが、センリも相当驚いている様子である。


「は、はい。カギツキ隊長は冗談を言う様な人に見えないし。やっぱりこの力って凄い珍しい事なのでしょうか?」


「そうですよ! "インヴェイション"は魔法としてある程度再現されてますが、無限に魔力が成長する英雄の体質はまだ再現されていません!

つまり、私達が"インヴェイジョン"を使ったとしても、英雄の体質が無ければ相手の魔力を奪えるというだけの魔法にしかなりません! それだけ特殊な、唯一無二の体質なんです!」


「そ、そんな凄い力なんですね」


「だてに"英雄"なんて呼ばれてないのさ」



「・・・でも、カギツキ隊長は僕に"英雄の力"があることをあまり良く思ってないみたいで」


「成る程、それで浮かない顔していた訳か」


「まぁ、疲れているのには他にも理由があるんですけどね」


 コハクはシンキとの試合を思い出して、はははと笑う。


「何、今すぐにそう思い詰める事ないさ」


「そうですよ! ほら、今度一緒に任務を受けましょう? お手伝いしますよ!」


「・・・ありがとうございます、二人とも」


 突然、異世界に送られてしまい色々と不安を感じていたコハクだが、センリやフローラの様な良い人達と仲良くなれて良かったと、少し安心した。


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