主人公のあり方とは 03
「あっ、来ていたですね、コハクさん!」
「あれ、フローラさん?」
店に来たのはフローラであった。
「おや、フローラさん。今日はお一人ですか?」
センリ達と一緒に来る事が多いフローラだが、今日は珍しく一人らしい。
「はい。今日は私だけお休みを貰ったんです。ほら、今日は私がヴァーリアに来た日ですから!」
「なるほど、そうでしたか。では、私は料理の用意をしましょうか」
そういうと、カノールは席から腰を上げた。
「あっ、カノールさん! デザートは二つでお願いします!」
「承知しました」
そして厨房へと戻っていくカノールと入れ違う様に、フローラがコハクと同じテーブルに腰掛ける。
「相席、よろしいですか?」
「えっ? あ、は、はい! どうぞ」
もう同じ席に着いているけれども!? などとツッコミを思いつくコハクだが、フローラの楽しそうな笑顔を見るとそんな事は吹っ飛んでしまった。
(こ、こ、これって、フローラさんと二人っきりで食事という事になるのでは・・・!?)
無駄に緊張するコハクである。
生まれてこの方、交際経験が無いコハクにとって、女子と二人で食事と言うのは初めての経験なのであった。
「そういえば、さっき雪妃さんが店から出て行くのが見えましたよ。お出かけでしょうか?」
「そうみたいですね。雪妃さん、あまりお店の手伝いはしてないみたいで」
すると、フローラはコハクの事を見ながら、何かにやにやと微笑み始めた。
「ふふふ、コハクさん? 雪妃さんの接客が受けられなくて残念ですね」
「な、なんで僕が残念なんですか!?」
「うふふ。あぁー、もう。コハクさんは可愛いんですからー」
そう言いながら、フローラはくすくすと笑う。
「ま、全く・・・」
そう言われて、コハクは顔が熱くなるのを感じた。




