↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/148

深が覗く 01


 コハクはマジックデバイスを手に、草木を掻き分けて林の中を進む。

  

「希少種が動いたぞ!」

 デバイスからカイの連絡が入る。


 すると繁みの中から、溶岩の様に赤い身体の魔狼が姿を見せた。


「こっちからも見えた」


 魔狼もコハク達の動きに気付いたのか、一度動きを止めると、身体から黒い霧を吹き出した。


 そして魔狼はその霧の中へと潜り込んで姿を隠す。



「おい、なにしてんだあいつは?」


 今までの魔狼とは違う行動に、カイの驚く声が聞こえる。


「よ、よく分からないけどあのままじゃ逃げられちゃう! 皆、攻撃して!


 ハルが魔法を放つ。

 無数の魔法弾が魔狼が逃げ込んだ霧の中へ向け降り注ぐが、魔狼が黒い霧の中から飛び出す。



「逃がすか!!!」


 6本の脚で素早く林を駆ける魔狼。

 だか、先回りしていたカイが魔狼へ向かい、剣を振るう。


 魔狼はそれを避けようと跳躍するが、カイの振るう剣が魔狼を捕らえる。


 しかし、魔狼の動きは止まらず、魔狼は着地して再び逃走する。


 ハルはもう一度魔法を放った。

 無数の魔法弾が魔狼に降り注ぐが、素早く動く魔狼には中々命中せず、掠り傷を付ける程度である。


 それならばと、コハクは上に飛ばしていた使い魔を降下させる。

 そして、その使い魔を魔狼の目の前で爆破させた。


 使い魔の爆発に怯んだ魔狼は方向転換するが、追いついた野乃花が盾を構えて魔狼に体当たりを食らわせる。


 地面を転がる魔狼へ、コハクは追い討ちで魔法を放つ。

 数発の魔法弾は魔狼の身体に命中したが、しかし仕留めるには至らない。

 魔狼はすぐに体制を立て直す。


「ああ、もう! チャンスだったのに!」


 デバイスからハルの声が響く。


「ご、ごめんなさい! 焦って剣が抜けなくて・・・!」


「野乃花もそうだし、コハクもよ! しっかり狙ってよ!」


「まぁ、ハルもめちゃくちゃ外してるけどな」

 カイが冗談交じりに言う。


「こんな時に冗談言ってないで、早く追いかけてよ!」


「はいはい」

 

 カイは魔狼に追いつくと、剣を振り下ろす。


 だがその瞬間、魔狼はまた身体から黒い霧を吹き出す。


「くそ、またか!!!」


 霧を避けて回り込むカイだが、魔狼の方が一瞬早く霧から飛び出し、カイの攻撃から逃れる。



「皆、巻き込まれない様に気を付けろ」


 デバイスを通じて煉の声が聞こえる。


 煉の行動を読んだのか、カイは「お、ヤバ・・・」と呟き、すぐに走ってその場から撤退する。


 そして、煉は魔狼へ向け剣を投擲した。


 放たれた剣は魔狼に当たることはなく、木に突き刺さる。

 

 その瞬間。


 剣から炎が溢れ、そして爆風を起こす。

 爆風に炙られ、魔狼が吹き飛ぶ。


「うっ、熱っ・・・!」


 コハクはその爆風からはある程度距離を置いていたが、それでも結構な熱さの熱風を感じた。


 魔狼はまだ生きており、地面でもがく様に暴れているが、しかしすぐに立ち上がらない所をみると、大分ダメージを負っているのだろう


 コハクは暴れる魔狼へ向け魔法を放つ。

 放ったのは魔法の弾丸ではなく、白い霧状の光線である。


 魔狼はようやく身体を起こしたが、コハクの放つ光線が魔狼の前足を凍結させて地面に貼り付ける。 

 魔法弾よりも、直接剣で止めを刺した方が確実だと判断した為だ。 


  

 剣を抜き魔狼へ接近するコハク。


 しかし魔狼はまた黒い霧を吹き出し、身を隠そうとする。


「うっ・・・! くそ!!!」


 一瞬怯んだコハクだが、魔狼は脚を凍らされている為その場から動くことはないだろう。

 コハクは霧に包まれる魔狼へと剣を振り下ろした。



 しかし、剣に手ごたえはない。

 そして、霧の中から溶岩の様な赤の脚が振るわれ、コハクを突き飛ばす。


「ぐっ!?」


 急いで上体を起こすコハク。 


 だが霧が晴れた後には、凍り付いた魔狼の前脚だけが残っている。


「ま、まさか自分で脚を・・・!?」


 魔狼は、凍り付いた前脚を引きちぎって逃げたのだ。   


「アイツ、大分動きが鈍くなってるぞ!」

 言いながら、カイが逃げた魔狼を追う。



 コハクが立ち上がると、その横にハルが並んだ。


「ちょっと、その脚、拾っといてね」


「え? 脚?」


「そう。その前脚、それだけでも価値あるんだから。わかってるの?」


「・・・あぁ、うん。わかった」 

  

「拾ったら早く追いかけて!」


 コハクにそう命令すると、ハルは魔狼の後を追いかけ始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。