水面の光
水面の光
私は、朝の光が好きだ。
流れに揺らぐ小さな波に、傾斜の低い光が射し込み宝石のように輝いて見える。
手を差し伸べては、今度は掴めるかもしれないと何度も挑戦した。
だが、結果は、いつもと同じ。
微かな抵抗とともに、指の間を水と共にすり抜けていく。
曇りの日は、つまらない。
どんよりとした灰色の影が一面を覆う。
流れは緩やかなのに、川底にある水草も元気がないようだ。
雨の日は、怖い。
降り注ぐ雨粒が、まるで弾丸のように私に向かって放たれる。
水はやがて濁り、いつしか何も見えなくなってしまう。
「早く雨上がらないかなぁ……」
いくら呟いても、その声は、流れの音で消えてしまう。
「きっと、雨が降らないと困る人がいるんだわ」
そう思う事で、少しは気持ちが穏やかになった。
季節は、きっと夏なのだろう。
水の温度も上がってきた。
射し込む陽射しも高い。
「おい、あっち行ってみようぜ! 」
「そこは、深いから危ないぞ」
小学生ぐらいの男の子だろうか。家族と遊びに来ているようだ。
「あっ、また、光が綺麗になった」
水面に映る光が、いつもより大きくてとても綺麗だ。
「今度は、触れるかも……」
期待を込めて少女は、その光を掴む。
いつもなら、指の間をすり抜けていく、その光は、何かをちゃんと掴んでいた。
少女は、嬉しくて、掴んだ手を引き寄せた。
大きな音がする。
誰かが慌てたように叫んでいる。
少女は、その掴んだ物を見た。
それは、さっき遊んでいた少年の足だった。
「綺麗だよ。ねぇ、見てよ」
少女は、その少年に話かける。
だが、少年は、もがき苦しんでいるようだ。
「すぐに楽になるよ。そしたら、一緒に光を見ようね」
少女は、笑顔を受けべながら少年に話しかけた。
だが、その少年は、もう、答えてくれなかった……