旅日記
壊れそうだった
私のこころ
砕けそうだった
わたしの命
家を飛び出して一週間
食べるものが、なくなった
寝る場所が、なくなった
自分が生きている意味が解らなくなった
意味を考える余裕がなくなった
とりあえず今日 とりあえず今日 生き延びよう
歩き回った 一日中
夜、泊まる所が見つからないかもしれないから、日光浴をしている人達に混じって
セントラルパークで昼間に眠った
人の良さそうな女の子に話しかけ、相部屋で泊めてもらった
トイレの水を飲んだらすごくまずかった
地下鉄に乗ってsohoまで行ってみた
地べたに座って絵を描いている若者がいっぱいいた
わたしも真似して絵を描いてみた
その時、一枚売れた
靴底にドル札とパスポート
人と目を合わせないように歩いた汚れたTシャツに軍パン
荷物は持たない
全部ポケットに入れて歩いた
目がギラギラしてきた
リアルに聞く son of a bith
殺されるかもしれないという感覚
そして、限りなく自由な感覚
木賃宿を借りた払いたくなかったので、掃除をするからと交渉
日本人の青年が仲介してくれる
医大生で、休学して戦場やスラム街を撮る写真家に同行しているという
機材室を貸してくれた
「医者と、写真家、どっちになった方がいいでしょうか?」
と、聞かれる
「知るか 自分で決めろ」
恩を仇で返すわたし
タダで貸してくれたのはいいが、汚い部屋
ベッドは、カビの臭い
シャワーは、水しか出ない その上サビだらけ
電灯は、灯いたり消えたり
夜寝ているとあやしげな男の声
「door open prease」「hello hello」…ドンドン
さすがに次の日すぐ脱出
日本人青年ごめんな。感謝する
さらに日本人OLをナンパすることにした
メトロポリタンミュージアム
ダリ博があっていた
巧みな話術でナンパに成功
久しぶりに安心して眠ることになったうん、昨日は怯えながら朝までセブンイレブン
見覚えのあるマークは多少わたしを安心させた親切なOLさんで「会社から支給されたから」と食事券までくれた
「明日も泊めてあげるよ」と言ってくれたが、「それじゃ、つまんないんですよ」と脱出
又、恩を仇で返すわたし
ごめんなOLさん お礼書きたかったけど住所聞くの忘れてた
でもさ、ほんとにそれじゃ、つまんないんよ
一日だけだったけどサンキュー
バスの中で中東系の方と話が弾む
クウェート人らしい
日本人青年にはイマイチな人気の私だが、なぜか中東系の方には人気が良い
反対でも良かったのだが…
バカバカしい旅路を終えて帰国
何が壊れそうだったのか
何が砕けそうだったのか
忘却の彼方
完全にどうでもよくなっていた
とりあえず話が通じる
とりあえずご飯がある
とりあえず毛布と枕
とりあえず風呂
とりあえず…安心
ここは最高だ
しばらくすると又忘れる