反省と出会い
目を覚ますと、そこは神殿のような場所だった。
あー、もしかして俺死んだのか。これが死に戻りの気分か。最悪だな。ドブの水を飲んだ気分だ、いや飲んだことはないけども。
けど、どうして死んだんだろうか。最後の背中への衝撃から考えて、背後から何者かに攻撃されたんだろうが、それが何者かは分からないな。たぶんスライムだとは思うが。
「まあとりあえず、今の戦いの反省でもするか。
まず、素早さ極振りはまずかったな。スライム相手にダメージ1はひどい。体力がないと長期戦は無理だ。レベル上がったらとりあえず体力を上げよう。それと、さっさと武具も手に入れないとまともに戦えない。
続いて戦闘についてだが、はっきりいってあんなに怖いとは思わなかったな。あれは慣れしかないだろうな。もうスライムの攻撃パターンは把握したから、1対1ならそうそう負けないだろう。そして1対1で戦いたいなら早く戦闘を終わらせることが一番だな。そのためには奇襲だな。正面切って戦うのは辛すぎる。そのために<隠密>のスキル取ったんだしな。」
「あの、すいません。」
<シーフ>はずれかもしれないと思いながら神殿から出ようとすると、背後から声をかけられた。振り向いてみると、けっこう可愛い女の子だった。
「なんでしょうか。」
なぜ話しかけられたのか疑問に思いつつ、そう答えた。
「あの、<シーフ>ってどんな職業なんですか?あっ、私は盗賊なんですけど。<シーフ>って通常職になかった気がして。」
なるほど、上級職が珍しかったから話しかけてきたと。でもなんで俺の職業知ってるんだ?
「シーフについて教えるのは全然構いませんが、どうして僕の職業知ってるいるんですか?」
なんとなく俺よりも僕の方がいい気がして僕といいつつ、純粋に疑問に思ったことを聞く。
「それはプロフィールが公開になっているからです。プレイヤーネームの横のところをしばらく眺めてみてください。プロフィールが出るはずです。」
言われたとおりにしてみると、確かにプロフィールが浮かんだ。職業とレベルしか分からないがそれも貴重な情報だろう。特にパーティーを組むときなんかに役立ちそうだ。
彼女は<盗賊>のレベル1だった。<盗賊>は<シーフ>になるのに必要の職業だったな。ここにいるってことは死に戻ったんだろう。そして、開始早々ここにいるということは彼女も不遇職なんだろう。
「なるほどこうやって見ることができたんですか。全然知りませんでした。貴重な情報ありがとうございます。」
「いえいえ、困ったときはお互い様ですから。」
「それにしても、お互い大変ですね。<盗賊>も不遇職でしょう?」
「えぇ、そうなんです。初期能力が、器用さと素早さ以外全然なくて。<盗賊>もってことは<シーフ>も似たような感じなんですか?」
「まあ、そうですね。それに加えて極振りしちゃいましたからね。」
「極振りですか。それはまた。ここにいるってことは死に戻ったんですよね?なら私とパーティー組みませんか?一人ではスライムですら勝てなくて。」
「パーティーですか、分かりました。では早速行きますか。」
「ええ、そうしましょう。」
一人では狩れないからいっしょに、か。いっしょにやると経験値減るんだがな。まあある程度の強さになるまでいっしょにやるか。そう思い、気になっていたことを聞きながらフィールドに向かうことにした。
「<弓使い>についてなにか知ってますか?<シーフ>って<弓使い>と<盗賊>の上級職みたいなんでなにか知ってたら教えてほしいんですが。」
「<弓使い>は最も不遇職みたいです。弓はかなり難しいみたいですね。続いて不遇職なのが<盗賊>みたいです。この二つの職業はほとんど見かけませんね。」
「うわ、それはひどい。上級職引き当てて調子に乗ってた過去の自分が憎い。」
「ふふ、まあこれから頑張って<シーフ>や<盗賊>を不遇職と言っていたやつらを見返してやりましょう。」
見た目は美人というより可愛い系なので、笑い方などから感じられる上品さとギャップがある。リアルとこっちで顔を変えてるのかもしれない。そんなことを考えながらたわいもない会話をしていたらフィールドにたどり着いた。
「この辺は人が多いのでもう少し奥に行きましょう。」
「僕もそう思っていました。不遇職二人ですからあまり人の多いところだと注目をあびてしまいそうですからね。」
そうしてまた人の少ないところを探して、人とスライムの間をくぐり抜けてゆき誰もいないところにたどり着いた。




